「とんかつもフロアもアゲられる男」を目指すDJが主人公のマンガ、『とんかつDJアゲ太郎』の更新を毎週楽しみにしている。音楽が好きな一読者として、気になるのはアゲ太郎はどんな選曲をするDJなのだろうか? という疑問。

マンガの中ではアゲ太郎がかけたレコードのジャケットと、アーティスト名、タイトルが記載されている。たとえばアゲ太郎がよくかけるFavoriteなレコードのひとつに、「Curt Sheffield」の“MOVING”という曲がある。どんな曲なのだろうか? とGoogleで検索したがヒットしない。コピーライトもないので実在するアーティストの楽曲ではないのだろう。

ただ描かれているレコードのジャケットにはどこか見覚えがあった。寝転がったパンツ姿の構図といい、右上にあるCURTのタイポグラフィ。「Curt Sheffield」というアーティスト名と“MOVING”というタイトル。もしかしたらこの曲は、ソウルミュージックの名曲中の名曲、「Curtis Mayfield」の“Move On Up”がモチーフなのではないだろうか。

Curt Sheffield / MOVING →
Curtis Mayfield / Move On Up

音楽が好きな読者なら、アゲ太郎がかけている曲が実在する曲のパロディである事には気づいているだろう。しかし『少年ジャンプ+』のメインターゲットである少年たちはおそらく気づかないと思う。

そこでアゲ太郎がかけた曲のモチーフを探してみることにした。第75皿でアゲ太郎は大阪で100曲MIXを行い、おおいにフロアをアゲる。その時に使用された曲を中心に検証した。

Minna Summer / Hot Obiect → 
Donna Summer / Hot Stuff

「Minna Summer」 とはミナ・サマーと発音するのだろうか? これはQueen of Disco「Donna Summer」の代表曲、“Hot Stuff”がモチーフで間違いないだろう。飲料水のCMで使用されていたので聴いたことがある方も多いはずだ。

彼女はこの曲でグラミーアワードの最優秀ロック・ヴォーカル・パフォーマンス部門を黒人女性シンガーとして初めて受賞する。残念ながら2012年に肺がんにより亡くなってしまうが、その歌声は色あせることなく今も多くのCLUBで響いている。

Nature and Nature / HIPHOP A PARADE →
Naughty By Nature / Hip Hop Hooray

「The Jackson 5」の“ABC”や、「Bob marley」の“No Woman No Cry”などをサンプリングした楽曲で人気を博した90年代を代表するヒップホップ・グループ「Naughty By Nature」がモチーフだと考える。

「Hey〜 Ho〜 Hey〜 Ho〜」という掛け声に合わせ、フロアの皆が左右にゆれる風景が想像できる。HIP HOP 永遠のクラシックのひとつ。

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