日本のクラブ・カルチャー最大の発信地、渋谷区道玄坂。その中心に位置するSOUND MUSEUM VISIONは、地下に広がる300坪もの巨大なスペースに4つのフロアと世界最高峰のサウンドシステムを擁する、スタイリッシュなクラブです。
2011年のオープン以来、テクノ、ハウス、ヒップホップ、ポップ等々、ジャンルの枠を超えたイベントやライヴを開催。国内外から気鋭のアーティストやDJがVISIONのフロアに立ち、多くのオーディエンスを魅了してきました。
今回は、そんなVISIONがどんなイベントを開催し、他のクラブとはどこが違うのかをVISIONの佐渡文吾さんへのインタビューやVISIONにゆかりのあるアーティストの方々のコメント、佐渡さんによる各フロア・お酒の紹介をもとに徹底解剖していきます。
さらにVISIONで開催される周年イベントに予定しているイベントも紹介! 早速VISIONに行きたくなること間違いなしです!
Interview:佐渡文吾
——SOUND MUSEUM VISIONがオープンしたのは2011年10月28日。オープン当初に想定していたコンセプトを教えてください。
SOUND MUSEUM=音の博物館ということで、フロアが4つあって、それぞれのフロアによって違った音が楽しめることが最大の特徴です。メインフロアであるGAIAにはREY AUDIOという世界最高峰のサウンドシステムを使っていて、音響の面でも最高の環境を用意しています。一貫したコンセプトはジャンルにとらわれず、良い音楽を届けるということ。オープン当初からハウス、テクノ、ヒップホップ等々と、ジャンルにとらわれずにイベントを行ってきました。
——他のクラブにはない、VISIONならではの魅力はどこにあると考えていますか?
後に世界的にブレイクしていくアーティストをいち早くピックアップする力は、VISIONならではの魅力だと思います。例えば、今年全米チャート1位にもなったトラヴィス・スコット(Travis Scott)は、まだ今ほどの人気ではなかった5年前の2013年にVISION2周年パーティーで来日ライブを行っています。他にも、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)、ディロン・フランシス(Dillon Francis)、カルヴィン・ハリス(Calvin Harris)など、多くの大物アーティストがブレイク前にVISIONでライブを見せてくれました。一つのジャンルに特化して見れば、ブレイク前のアーティストをいくつも紹介してきたライブハウスやクラブはあるかもしれませんが、多ジャンルに渡ってそれを行い続けているのは、VISIONのユニークなところだと思いますね。
——これまでVISIONに関わってきた中で、特に印象深い出演者やイベントはありますか?
個人的には、2014年5月にファッション・ブランド「UNDERCOVER」の25周年記念イベントで、トム・ヨーク(Thom Yorke)が来たことは印象に残っていますね。私個人としても思い入れの深いアーティストでしたので、トム・ヨークを目の前で見た時は感動的でした。ただ、VISIONとしては、シーンに携わるものとしては、その時、その場でやるべきアーティスト、イベントをやってきたという自負があるので、全てのイベント・出演者が、その瞬間では一番に印象深く、選べないです。
——VISIONは国外アーティストのライブやイベント出演だけでなく、様々な定期イベントも開催しています。それらのレギュラー・パーティーにはどのようなものがありますか?
クラブにあまり来たことが無い方にも楽しんでもらえるようなDJ KAORIさんを軸にしたパーティーもあれば、tofubeatsやSeihoを軸に今が旬なトラックメイカーを集めたライブハウス/ 野外ロックフェス好きも楽しめるパーティーもあります。他にも、90年代のヒップホップに焦点を当てた<CLASSICS>、最新のハウスを軸にした<MODERN DISCO>、今の若いヒップホップ・アーティストにフォーカスした<B.L.K>と、ジャンルや年代によって様々な切り口のイベントを毎月開催しています。
——VISIONに訪れるお客さんは、どのような人が多いのでしょうか?
お客さんの中には、ミュージシャンはもちろん、俳優やイラストレーターなど、カルチャーの現場にいる業界人の方々も多いです。そういったインフルエンサーと、その情報をフォローしている感度の高いお客さんがVISIONのカルチャー発信力を信頼し遊びに来てくれていると思います。
——固定したジャンルというよりも、情報感度の高いお客さんが多いということですね。
先ほど言ったように、VISIONはジャンルを問わず様々なイベントを行っているため、お客さんによって、イメージはバラバラだと思うんですね。人によってはハウスの会場、ヒップホップの会場、あるいはファッション・イベントの会場と、色んなイメージがある。それも働いている側が一つのジャンルではなくいろんな音楽が好きだからこそなんです。ただ、一つだけ変わらないのは、常に新しいものを発信していたいという気持ちがある結果、情報感度の高いお客さんが集まっているのだと思います。
——客層は若い方が多いのでしょうか?
やはり若い世代に向けて発信していきたいという思いは強いので、お客さん自体は20代前半〜半ばの若い子を中心ですが、30代・40代まで幅広くいます。クラブというのは、ユース・カルチャーだと思うんです。ユース・カルチャーを支える若い世代が「これこそが自分の音楽、自分のカルチャー」なんだと思えるものを提供していきたい。私も今は30代半ばなんですが、20代の頃はクラブで働いたり遊んだりする中で、失敗も含めた数えきれない思い出がその時々の音楽と結びついています。10年前のユース・カルチャーと今のユース・カルチャーを支える音楽は全く違いますから、「これがクラブなんだ、これがクラブの音楽なんだ」という押し付けはしたくないんです。今、この時代を生きている若い子達の思い出に残るような場所になれれば良いですね。
——クラブの現場に長く関わってきて、昔と今でお客さんの楽しみ方に変化を感じる部分はありますか?
今の若い子たちは、音楽を聴きに来るというよりも、よりパーティー空間が好きで来てくれる人が多いのかなと感じることはあります。もちろんクラブの楽しみ方は人それぞれで、音楽を聴くだけじゃなく、お酒を飲んで騒ぎたいとか、普段出会えない層へと、交友関係を広げたいと言う方もいるでしょうし。あるいは、今だとインスタ映えを求めてくる人もいるかもしれません。そういった楽しみ方は私が若い頃にはありませんでした。これはクラブへの認知が一般的になったのが要因だと思います。よほどの音楽好きじゃないと行きづらかったのが、もっと気楽に遊びに来られる場所になっているのは、すごく良いことだと思います。
——VISIONのある渋谷区道玄坂は、日本有数のクラブ・カルチャーの発信源です。この地域の魅力はどこにあると思いますか?
一口にクラブといっても、いろんなクラブがあるのが渋谷の面白いところじゃないですかね。ヒップホップのクラブもあれば、テクノやハウスのクラブもあって、その日の気分によって選ぶことができる。ここまで色んな場所があって、しかも徒歩圏内に密集している地域というのは全国的にも少ないと思います。現在はクラブ業界全体で連携を取り合って、一丸となってカルチャーを盛り上げていこうという動きもあります。その一環として、2016年からは渋谷のクラブ16店舗を自由に行き来して遊べる<渋谷エンタメフェス>というクラブ・サーキットも開催しています。色んな個性があるクラブを体感してもらうことで、男女の出会いに限らず、色んな音楽や人との出会いを楽しんでもらえるはずです。
——VISIONは多ジャンルに渡るイベントを開催していますが、客層も一つのジャンルに固定されずに混じり合っているのでしょうか?
混じり合ってる、と信じたいですね(笑)結局、そこがVISIONの最終目標なのかなと思います。音楽に興味を持って来たわけじゃないお客さんが音楽に触れて、音楽の良さを実感して帰ってもらえるといいですよね。そしてVISIONが提供している音楽はハズレがなく、VISIONに出演するアーティストは知らなくても、またまだ無名でも注目すべき、すごいアーティストなんだと感じて欲しいです。そこもミュージアムの役割に近いと思うんです。美術館やギャラリーもずっと同じものを飾っているわけではなく、シーズンごとに展示物が変わっていくものじゃないですか。なかにはまだ無名のアーティストの展示もあったり。それでもそこに注目しているミュージアムの次の展示も気になるから足を運んでみようとか、そういうふうに思われたい。そうして新しい音楽を発見したり、来場した結果、人との関わりが増えたりして、人生を振り返った時に「VISIONで遊んでいた、あの時は楽しかったな」って思ってくれたら、それが一番ですね。
——最近の渋谷は、海外から来るお客さんも増えてきている印象があります。
年々、海外のお客さんが増えてきている印象はありますね。また、訪日する方だけじゃなく、日本のお客さんやアーティストにもハーフの若い子達が増えてきていると思います。最近、若いラッパーが集まるイベントをやった時には、13人いるラッパーのうち8人がハーフだったんですよ。そういった点では、日本全体が確実に多国籍化しているという実感があります。
——日本の多国籍化はVISIONの運営方針にも何か影響があるのでしょうか?
オープン当初から世界基準で音楽を発信してきたとは自負しているのですが、今はさらにグローバルなサービスを徹底していこうと考えています。海外の動向をさらに詳しくチェックして、リアルタイムで発信できるようにしていきたい。今後は、アメリカやロンドン、ベルリンといった海外のシーンで”今”流行っているものを東京に集めようというのがVISIONのテーマになります。その中に混じって日本人のアーティストも出演してもらうことで、経験値やスキルを向上させて、海外でも通用できるようになってもらえれば良いですね。
——渋谷におけるクラブ・カルチャーの発展について、今後の目標を教えてください。
ナイトライフっていう意味では、まだ海外から来たお客さんが絶対に訪れたい場所にはなっていないように思うんですね。例えばテクノの本場ベルリンだったら、ベルリンのクラブに行くためだけに旅行するとかあり得るじゃないですか。でも、クラブ遊びのためだけに東京に来る方はまだ数少ないと思うんです。ゆくゆくは渋谷のクラブ・カルチャー全体をそういった地位にまで持って行きたい。渋谷と言えば、ハチ公かクラブ、みたいな(笑)
——そのような発展の中で、VISIONは果たすべき役割は何だと考えていますか?
まずは多ジャンルを混じり合わせることで、新しい化学反応を起こしていきたいですね。そこはVISIONじゃないと出来ないことだと思っています。あとは、常に若い子が活躍できる場でありたい。才能があって、あと少しで突き抜けられるようなアーティストをフックアップすることで、シーン全体の活性化に繋がればいい。ダンスミュージックにおいては若い子にとっての新しいスターが生まれる、初めの一歩はいつだってクラブなんですよ。クラブからキャリアをスタートさせて大きいステージへと巣立っていったアーティストが、さらに若い世代に刺激を与えて、また次のスターが生まれていく。常にそういう最先端の場所であり続けたいと考えています。
VISIONにゆかりのある人たちが語るVISIONならではの楽しみ方
tofubeats
1. 他のクラブにはないVISIONならではの魅力を教えてください。
4つのフロアと地下なのにいつも賑やかな感じはVISIONならでは、だと思います。 「渋谷」に来たな〜と思います。
2. まだ訪れたことのない方に向けて、VISIONのおすすめの楽しみ方などありましたら教えてください。
一晩ガッツリ遊ぶでも、なんとなく夜中まで渋谷で遊んでから夜中に来るでも、浅い時間だけ遊んでスルっと他の場所にハシゴしても、便利な場所ですし思い思いに楽しんで欲しいです。そうやって遊べるところがVISIONの良いところだと思います。
3. あなたにとってVISIONを一言で表すとどんな場所ですか?
祭り会場! といったところでしょうか(笑)。
5lack
1. 他のクラブにはないVISIONならではの魅力を教えてください。
お店総合のクオリティと数種類のフロアによって作られる、クラブサイズのフェス感
2. まだ訪れたことのない方に向けて、VISIONのおすすめの楽しみ方などありましたら教えてください。
一見さんにも入りやすい雰囲気なので、行った事がなくて抵抗がある貴方こそ訪れてみては??
3. あなたにとってVISIONを一言で表すとどんな場所ですか?
最終集合地点
Chocomoo
1. 他のクラブにはないVISIONならではの魅力を教えてください。
ライブハウスに来た気分になれるメインフロアから、昔からある老舗のクラブに迷い込んだような長い廊下を抜けたら、アンダーグラウンドな雰囲気のフロアが出て来て、そのまた奥に進むと賑わったBARが現れる。部屋によっていろんなお顔があって、様々なジャンルの音楽が聴ける所が魅力です。
2. まだ訪れたことのない方に向けて、VISIONのおすすめの楽しみ方などありましたら教えてください。
聞きたい気分の音を求めて全ての部屋をウロウロ探検するのも面白いと思います!
3. あなたにとってVISIONを一言で表すとどんな場所ですか?
会いたかった友人に偶然会ったり、普段会えない海外にいる友達がライブをしに来て会えたり。
一言で表すと “再会の場所” かな。
地下フロアを歩いてみよう!
各フロアやお酒を紹介
VISION佐渡文吾さんがVISIONの地下スペースにあるメインフロアのGAIAやフォトジェニックなWHITE、その名の通り音楽だけに集中できるDEEP SPACE、休憩スペースのD LOUNGE4つのフロアごとにそれぞれの特徴を紹介していただきました。さらに、どれもクオリティが高いと語るカクテルの中から今夏おすすめのカクテルを教えてくれましたよ!
GAIA
「GAIAというメインフロアは、国内外で活躍するアーティストを招聘してライヴなどを行うスペースです。一番の特徴はREY AUDIOという世界最高峰のサウンドシステムを設置していることで、他のクラブではなかなか体感できない最高のサウンドを堪能できるフロアになっています。」
WHITE
「アパレルの関係者やクルーがパーティーすることも多い、オシャレなスペースです。白を基調にしているため、とてもフォトジェニックな空間になっていると思いますね。」
DEEP SPACE
こちらはアンダーグラウンドなクラブスペースになっています。真っ暗で“映え”はしませんが、音楽にのめり込みたいという方には最適な場所です。」
D LOUNGE
「ここはラウンジなので、少し疲れた時に休憩できるスペースですね。」
お酒
「シーズンごとに違ったカクテルを用意しています。今夏はフローズン・カクテルを出していました。おすすめはモヒート。クラブで飲めるカクテルとしては、とてもクオリティの高いものを提供していると思います。」
VISIONを訪れてみよう!
11・12月に開催される注目イベントをご紹介
SOUND MUSEUM VISION 7th Anniversary Appearance by A$AP Rocky
11月30日(金)に開催されるVISION 7th Anniversaryの初日を飾るのはエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)!
VISIONの7周年の幕開けにふさわしいアーティストの登場が決定しています! また日本からはKoco aka ShimokitaやDJ KANGOも登場しVISIONの7周年を盛り上げてくれます!
A$AP Rocky – Praise The Lord (Da Shine) (Official Video) ft. Skepta
EVENT INFORMATION
SOUND MUSEUM VISION 7th Anniversary
Appearance by A$AP Rocky
2018.11.30(金)
OPEN 22:00
ADV ¥3,000(別途1Drink・優先入場)
DOOR ¥4,000 / UNDER 23 ¥2,000(No Drink At Door)
SPECIAL ACT
Appearance by A$AP Rocky
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本公演では20歳未満の方のご入場は一切お断りさせて頂きます。年齢確認の為、ご入場の際に全ての方にIDチェックを実施しておりますので、写真付き身分証明書をお持ち下さい。
VISION 7th Anniversary ‘trackmaker’
ドリアン・コンセプト(Dorian Concept)、Seiho、TORIENA、YOSA&TAARに続き、okadada、DÉ DÉ MOUSE、ZEN-LA-ROCK、G.RINA、Licaxxxら豪華ラインナップが集結!
5月開催時、過去最高の入客数の1400名を記録し、広くその名が知れ渡るようになった<trackmaker>。今回はフライング・ロータス(Flying Lotus)のレーベルである〈Brainfeeder〉より、ウィーン生まれの天才演奏家/プロデューサーであるドリアン・コンセプトが登場します!
Dorian Concept Boiler Room Vienna Live Set
EVENT INFORMATION
VISION 7th Anniversary
‘trackmaker’
2018.12.01(土)
OPEN 22:00
ADV ¥3,000 / DOOR ¥3,500
ACT
Dorian Concept
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本公演では20歳未満の方のご入場は一切お断りさせて頂きます。年齢確認の為、ご入場の際に全ての方にIDチェックを実施しておりますので、写真付き身分証明書をお持ち下さい。
いかがだったでしょうか。クラブ・カルチャーの最先端を行くクラブとして色々な音楽ジャンルがミックスされたVISIONの存在感は今後増していくことでしょう。VISIONは他のクラブと比べてもクラブ独特の敷居の高さがないので、クラブが初めてという方は音楽好きであればどなたでも楽しめること間違いなし! インスタ映えするフォトジェニックなスペースを狙ってくるのもありですね!