秋田発、5人組ネオパンクバンドWaaterの今年5月に発売された2nd EP『Escapes』の各種サブスクリプションサービスでの配信、実店舗での流通が始まった。それに併せ、EPからは6本目となる”Mistaken”のMVも公開。
5人組ネオ・パンク・バンドWaater
日本における「インディー・ロック」が本来的な反体制や実験の場としての機能を失い形骸化して、単なる音楽ジャンルと認知されるようになって久しい中、突如現れたのがネオ・パンクなるジャンルを標榜する5人組のオルタナティヴ・プロジェクトWaater。楽曲制作はもちろんのこと、グッズ製作やMVに及ぶまで完全DIY体制が敷かれ、徹底した美学を貫いている彼ら。自主制作でリリースされた1st EP『Waater』に顕著なように、昨今のアナログブームに逆らうかの如く2000年代初頭、デジタル黎明期特有の歪みを逆手に取ったそのアプローチは国内外を見ても例を見ず、その革新性に疑いの余地はない。
およそ他のバンドとは比較できないほどのオリジナリティを放つヴィジュアルや、新しくもどこか懐かしさを覚えさせるエヴァーグリーンなソングライティングから一部のコアリスナーからは既に絶大な支持を得ており、アンダーグラウンド・ロックシーンにおいてその存在は異彩を放っている。継続的なMVのリリースやライブなどハイペースな活動で着実にファンベースを広げる中、満を辞してリリースされたのがこの『Escapes』だ。
ブリットロックさながらに人生の喜びを歌い上げる”Ocean”に始まり、迷えるキッズたちの背中を後押しするかのような爽快なパンクチューン”Just Say It”、叙情的なバラード”Honey”など全曲を通して幅広いバックグラウンドと実験精神を提示している今作。前作にあったような浮遊感は影を潜め、より幅広い層に訴えかける普遍性を獲得しながらも、海外シーンとの共鳴などという言葉で表される音楽すらも一時代前の遺産だと切り捨てるかのような彼らのステートメントが読み取れるものになっている。楽曲は全てVo/GtのAkiyaによりダンスミュージック向けのDTMソフトFL Studioで制作されているというのも驚きだ。
Waater “Mistaken” (Official Music Video)
同時に公開された”Mistaken”のMVは全7曲のEPから6本目となる。No Busesなどを手がけるRyogo Suguroをディレクターに迎えて制作。色の反転を効果的に取り入れ独自のサイケデリアを駆使して一目で従来のバンドシーンとは異質な手触りを感じさせる、令和の始まりを告げるかのような仕上がりとなっている。
常に時代の最先端を切り拓くようにインディーの精神性を体現する彼らの姿には、永らく停滞していたシーンに風穴を開けてくれることを期待せずにはいられない。イギリスはサウスロンドンのシーンなどを皮切りに、ロックバンド再興が密かにささやかれる中で、Waaterは日本のインディーキッズたちにとって救世主と成り得るかも知れない。
Waater – Ocean (Official Music Video)
Waater – Stardust (Official Music Video)
Waater – Honey (Official Music Video)
Waater – Feel Slow (Official Music Video)
RELEASE INFORMATION
Escapes
2019年9月25日(水)
製品番号:DFRC-066
レーベル:Dead Funny Records
¥1,620(tax incl.)
01. Ocean
02. Just Say It
03. Honey
04. Mistaken
05. Stardust
06. Crash
07. Feel Slow
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