フェスティバル2日目(火)の夜の部の目玉として登場したカマシ・ワシントンは、昨年フライング・ロータスのレーベル〈Brainfeeder〉からいきなり、その名も『The Epic』という3枚組の超大作アルバムを発表し話題をかっさらったロサンゼルスのジャズ・アーティスト。作曲とテナー・サックスの演奏をこなし、まだ35歳という若さながら成熟した重厚な楽曲と演奏で、一気に新世代を担うジャズ・ミュージシャンとして注目を集め、今や様々なジャンルのフェスティバルやイベントから引っ張りだこだ。彼のバンドのライブが凄い、という評判は聞いていたが、それを水平線をバックにテアトル・デ・ラ・メールで初めて味わうことが今回の最大の目的だったと言っていい。そして、それは期待以上だった!ツインドラム、ベース、キーボード、トロンボーン、女性コーラスとカマシという編成だったが、まあ見事に全員が超絶な演奏テクニックな上に若さが爆発するようなエネルギーだった。これほどパワフルなジャズ・バンドはこれまで見たことがあっただろうか。この若さで(貫禄ありまくりだが)これだけ上手いということは、一体どれだけの時間をこれまで練習してきたんだろうか… と考えたら胸が熱くなった。アルバムからの曲を中心に演奏しながらも、それぞれキャラ立ちしたメンバーのソロ回しも圧巻。カマシのお父さんリッキー・ワシントンもクラリネットで登場し、本当に熱いステージを見せてくれた。たまたま会場を出ようとした時にバンドのサウンドエンジニアと知り合い、カマシとお父さんも交えて少し話したところメンバーは皆14歳の頃からの地元の仲間だという。話していたらツアーマネージャーから集合がかかり、翌日は朝から<North Sea Jazz>のリハーサルがあるからとそのまま空港へ向かっていった……。
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