エレクトロユニット・phaiで活動するトラックメイカー・Xamdが2月3日(水)にソロ初アルバム『青狗』を〈Ajam guild Z〉よりリリースすることに。この度、アルバムから4曲が先行配信となった。Qeticでは、今回のリリースに際し、メールインタビューを実施。アルバム制作の経緯やコンセプトについて語ってもらった。
Xamdがソロ初アルバム『青狗』をリリース!先行4曲を配信
今回、先行配信されたのは“青狗 Wolf”、“疾駆 Speed”、“制圧 Control”、“統語 Syntax”の4曲。アルバム『青狗』は、古代中華王朝風近未来ディストピア社会を生きる一人の人間の半生というフィクションがテーマとなっており、『Ghost of Tsushima』などのオープンワールドのゲームをインスピレーションに制作されたという。
アルバム『青狗』は、ベースミュージック方法論を用いつつ、トランス・IDM・アンビエントなどの要素をふんだんに取り入れた意欲的な作品となっている。昨年12月にはコレクティブ・SPEEDで映像を手がけるVideographer/DJのMt.Choriの監督した“制圧”のMVも公開。そして、リリースパーティが1月27日(水)に予定されていたが延期を発表。本イベントは、Ajamと共催で、moreruやGQOMZILLA,ARUTAらを迎えclubasiaで開催予定となっていた。初のソロアルバムをリリースし、意欲的に活動を続けるXamdの今後にも、ぜひご注目していただきたい。
Xamd – 制圧(MV)
メールインタビュー:
Xamd
「現実逃避の結果、ミックステープを作ろうとした」
──ソロ名義でのEPをつくろうと思ったきっかけは?
昨年、緊急事態宣言が出て、その間しばらくは茫然自失としながら家に引きこもっていました。ずっとゲームをやっていた気がします。そうしたらS亜TOHが「2021 Survive」をやり始めたり、Charli XCXが『how I’m feeling now』をロックダウンの1ヶ月後に出していたりしたわけです。
どちらにも途方もなく喰らってしまったし、おれは何をやっているんだろう、と一瞬嫌になってしまったんですけれど、一方でもう2019年と2020年以降は確実に違う時代になったのだと確信めいた気持ちにもなりました。そんな中できた曲がphaiの“World Map”や“COSMO LOUNGE”で、今までとはサウンドを変えたものを昨年はリリースしました。
変わらなきゃ、という気持ちが本当に強かったし、実際おれらは変わったと思います。このサウンドに自信を持っています。ただ、おれらだけじゃなくて皆にも変わっていって貰いたいと、傲慢にもそういう曲を作って数ヶ月ぐらい思っていて、ずっと頭が茹だったみたいになっていました。
何でいつまでもチルでシティポップなサウンドを引きずり続けているんだ? もう時代は明らかに変わったのに何で? っていう風に。そういう空気をぶっ壊したい、ぶっ壊すためには何をするべきか、とか色々考えて、phaiの曲を作っていました。
ただ“for hometown baby”のデモを送り終えたくらいに、なんというかそうやって世界に屹立していくことが嫌になってしまったんです。全部放り出したくなりました。何が嫌になった原因なのかはその時は分からなかったんですけれど、嫌でしょうがなかったし、現実逃避をしたくなった。
それで不思議だったのはそこで何もしなくなるわけでなく、その現実逃避の結果、ミックステープを作ろうとした。自分の現実逃避先の場所としてのミックステープを。それは明らかにphaiのものでは無かったので、ソロ名義で出すことにしようと思いました。せっかくだし名前も変えようと。それがXamdであり、『青狗』でした。
──今回のEPのコンセプト・世界観は?
とにかく現実逃避をしたくてこのアルバムを作り始めたので、そもそもこのアルバム自体のコンセプトが「現実」にあってはいけない、と思いました。なので完全な架空の世界と、そこで起きる物語がテーマになっています。昨年、家に引きこもって沢山のゲームに触れた影響も大きい気がしています。特に『Ghost Of Tsushima』。だから、下敷きとなっている世界はゲームっぽいです。
時代は近未来。古代中国王朝のような様相をしているけれど、ネットワークはさらに発展していて、巨大な監視機構が敷かれたディストピア社会。そこに暗躍する「青狗」という名で呼ばれる一人の傭兵の物語…。みたいな設定のオープンワールドのゲームが仮にあったとして、そのオリジナルサウンドトラックが今回出すミックステープということです。
おれの頭の中のバーチャルな世界が根底にあるから、本当に実体を伴わないんです。タイトルが漢字二文字で統一されているのも、その世界の漢字圏っぽさを出すためというのと、この虚構に統制を与えることでつけいる隙の無い虚構にしたかったからですね。
PROFILE
Xamd
東京で活動するエレクトロユニットphaiに所属するトラックメイカー・DJ・プロモーターのKazutaka Sawaによるソロプロジェクト。トランスやインダストリアル、ガバなどの攻撃的なサウンドと、アンビエントや音響系の抒情的なサウンドが入り乱れ、暴力と美の混淆一体とした表現を成している。コンセプチュアルなコンセプチュアルかつ野心的なアプローチで音楽そのものを模索し続けている。
RELEASE INFORMATION
青狗
2021年2月3日(水)
Xamd
Ajam guild Z
Track:
1.青狗 Wolf
2.疾駆 Speed
3.制圧 Control
4.統語 Syntax
5.高原 Plateau
6.揺籠 Cradle
7.激突 Face
8.星屑 Stardust
9.歴史 History