東京の玄関口・八重洲で、2023年3月にグランドオープンした「東京ミッドタウン八重洲」。この都会のど真ん中で昨年に続き開催されたのが、晩夏を楽しむ納涼イベント<八重洲夜市>だ。
2024年は「伝統×革新」をテーマに、8月23日(金)・24日(土)、30日(金)・31日(土)、9月6日(金)・7日(土)という3週にわたって開催。イベント限定アイテムを販売する夜店、多彩なグルメとドリンクを楽しめる角打ちスタイルの納涼酒場、浴衣のレンタルサービス、そして総勢17組の出演者によるフリーライブなど、昨年以上にパワーアップした内容で開催された。
今回は、新感覚の納涼体験を味わうことのできる<八重洲夜市>の23・24日をレポート!
EVENT REPORT:<八重洲夜市>WEEK 1
2024.08.23(金)- 24(土)
at 東京ミッドタウン八重洲
八重洲のビルの狭間に現れた、涼やかな風吹く夏空間
“夜店”や“納涼酒場”がお出迎え
東京駅の八重洲口を出て、大通りを反対側へと渡る、8月23日金曜の16時ごろ。
普段であればこのエリアで働く多くの人たちが、「もうすぐで今週も終わりだ……」なんて思いながら、まだビルの中にいるような静かな時間帯。だが、この日ばかりは様子が違う。東京ミッドタウン八重洲のビルの狭間に現れたのは、煌々と光る提灯と立派なのれんに彩られた櫓(やぐら)。そして祭囃子の音色が聴こえ、入口には浴衣を着て談笑する人々の姿も──。
この日からスタートした<八重洲夜市>は、2023年3月にグランドオープンした「東京ミッドタウン八重洲」を舞台に、同年の8月10日から8月27日の週末で第1回目を開催。東京の新たなサードプレイス(自宅や職場などとは別に存在する居場所)の誕生を祝うかのように、大きな盛り上がりを見せた。そして今年も再び、東京の晩夏を楽しむ納涼イベントが開催! さらにパワーアップしたコンテンツが用意されていると聞き、イベント初週の8月23日と24日に足を運んだ。
まず注目は、イベントでしか手に入らない限定品を含め、こだわり満載のアイテムを販売する“夜店”! 初週の1Fアトリウムの夜店には、ビーズのアイテムをメインに制作するアクセサリーブランド「Mädchen(メートヒェン)」や、“何を作っても良い、誰でも参加できる、自由をモットー”にした陶芸教室「フリースタイル陶芸」などが軒を連ねていた。
また、<八重洲夜市>のビジュアルを手掛けるイラストレーター・カワグチタクヤ氏の限定アイテムもお目見え。風靡なイラストのうちわや手ぬぐいが、来場者の目を引いていた。
さらに、来場者に好評だったのが浴衣レンタル着付け「花影きもの塾」。古典的から現代的まで好きなデザインの浴衣や帯・下駄を選べるレンタルサービスで、利用した来場者がこのイベントに花を添えて会場の雰囲気がさらにUP! 浴衣で彩られた来場者は浴衣特典を利用して、無料で撮影できる韓国発のセルフフォトブース「Photomatic」で、思い出をすぐにカタチに残していた。
そう、このイベントで忘れてはいけないのが、夏祭りに欠かせないグルメとお酒! 飲食エリアには、角打ちスタイルの“納涼酒場”が登場し、喉と腹を満たしたい来場者を出迎えた。お茶割りのパイオニアとして話題の人気店が期間限定でオープンした「茶割 BAR TRUCK」や、店舗を持たずに全国で食通を唸らす料理を届ける「中むら食堂」などに列が生まれ、神楽坂の裏路地酒場「喰家(ショッカー)」、夏祭りと言えばのかき氷「かしや」も人気を呼んでいた。
そして<八重洲夜市>と約100基の灯籠が東京駅八重洲口グランルーフを彩るイベント<宵路灯籠(よいみちとうろう)>を回遊できる施策<やえす提灯あるき>も初実施。参加者の中には、ヨーヨーや扇子、提灯など昔ながらの日本の夏のモチーフを描いたデジタルアート「光の錦絵 夜祭夢灯」を堪能しながら、無料貸し出しの手持ち提灯を片手に八重洲の宵の街を夜歩きする姿も。
Seiho、KOPY×鎮座DOPENESS、あっこゴリラ……
八重洲の夜を踊らせたフリーライブ
そして、<八重洲夜市>のメインコンテンツがフリーライブ! 今年のテーマである「伝統×革新」を体現する豪華17組のアーティストやDJが、期間中の各日で夏の宵を盛り上げる。
23日にまず登場したのは、トラックメーカー・DJ・プロデューサーとして、日本のみならず海外でも活躍するSeiho。三つ編みに赤のチャイナドレス風の衣装で登場したSeihoは、古今東西のダンサブルなビートやアジアンテイストの楽曲で場を温めていく。そしてステージを装飾する提灯がともるころに、耳と体が慣れ始めた観客を踊らせるビートを次々と繋ぎ、今最も旬を迎えているNewJeansのリミックス曲などPOPな楽曲もチョイス。初見の観客も多い中、八重洲の場を見事にロックした。
続いて登場したのは、MCバトルで名を馳せ、楽曲においても変幻自在のフロウとスキルフルなバイリンガルラップで独自の世界観を描くラッパー・ID。不穏で重厚なビートに乗り、ときおりシャウトしながらスローなスタートを切ったIDだが、中盤からギアをON! 時に吠え、時にステージを下り、スキルフルでエモーショナルなラップを汗だくになりながら披露した。
24日は、クリエイティブ集団「VIBEPAK」の主宰者&サウンドプロデューサーのFKDでスタート。自身のルーツであるヒップホップからベースミュージック、IDM、エレクトロニカまで、ダンスミュージック全般を往来する多様なインストゥルメンタル曲を中心にしたビートライブで、都会の夜の時間に誘うFKD。ステージ最前列で体を揺らす、浴衣の女性の姿が印象的だった。
次に登場したのは、呉山夕子のエレクトロニックソロプロジェクト・KOPYと、HIPHOPアーティスト・鎮座DOPENESSの2組によるスペシャルユニットだ。このユニットライブへの期待感は高く、ライブがスタートする段階で、前日から通じて初めての入場規制に! ライブが始まるやいなや、KOPYの重厚感あるトラックに合わせ、鎮座DOPENESSは八重洲をはじめとした東京の地名をネームドロップしながらフリースタイル。一気にギアが入ってからは、変幻自在のフロウと強烈なパンチラインが止まらない“鎮座劇場”を見せつけた。
この日のトリは、ラッパー&ドラマー&ラジオパーソナリティとして、自らのアイデンティティを表現するあっこゴリラ。開口一番で「今日は新曲しかやらないから!」と宣言したあっこゴリラは、初聴とか関係ないと言わんばかりのバイブスと確かなラップスキルで、自身の最新を見せつける。合間のMCでは「みんなすごい言ってくるよね。それでも私は私!」と高らかに宣言。ラスト、情感豊かに歌い上げた“開戦前夜”のリリックは、心に葛藤を抱えている人ほど沁みたはず。
「ナンダコレ……!?」という表情
普段の八重洲では体験できない非日常空間
多くの人にとって八重洲は、いわゆるビジネス街であり、働く場所であり、「娯楽ある街」をイメージする人は少ないかもしれない。そこに憩いの場としての新たなサードプレイスを創出する東京ミッドタウン八重洲が、<八重洲夜市>のようなイベントを開催することは必然的。なおかつ今年は「伝統×革新」をテーマに、さらにパワーアップした新しいチャレンジをしていたのは素晴らしいことだと思う。
個人的にはフリーライブの最中に、仕事終わりの人々がビルから出てきた瞬間の「ナンダコレ……!?」という表情が、このイベントの裏ハイライト。<八重洲夜市>では、普段の八重洲では体験することのできない、五感を刺激する非日常空間が生まれていた。今週8月30日(金)・31日(土)に引き続き、来週9月6日(金)・7日(土)まで続く大人の宵の祭りを存分に楽しんでほしい!
Text:ラスカル(NaNo.works)
Photo:Wada
Akama(TOW)
INFORMATION
八重洲夜市
2024年8月23日(金)~9月7日(土)
期間中の金・土曜日開催
場所:東京ミッドタウン八重洲 1F ガレリア、アトリウムほか
入場:無料/入退場自由
主催:一般社団法人八重洲二丁目北地区エリアマネジメント
特設サイト:https://www.yaesu.tokyo-midtown.com/special/2024/yaesuyoichi/