USインディー界の重要バンド・ヨ・ラ・テンゴ(Yo La Tengo)が芸術家・奈良美智の展覧会用に提供した楽曲が、EP『Sleepless Night』として一般発売されることに。また同作より、キャロル・キング(Carole King)とジェリー・ゴフィン(Gerry Goffin)が作詞作曲したザ・バーズ(The Byrds)の人気曲“Wasn’t Born to Follow”のカバーが公開された。

Yo La TengoのEP『Sleepless Night』が発売決定

ロックダウン中も新作『We Have Amnesia Sometimes』の発表や、配信チャリティ・ライブの敢行、そして〈Matador〉が発足したリイシュー・プロジェクト「Revisionist History」の一環で『Electr-o-pura』のリマスター再発を予定するなど、精力的に活動を続けるヨ・ラ・テンゴ

この度リリースが決定した『Sleepless Night』は、ヨ・ラ・テンゴと奈良美智が共同で選曲を手掛けており、今回公開された“Wasn’t Born to Follow”とオリジナルの新曲“Bleeding”に加え、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、ザ・デルモア・ブラザーズ(The Delmore Brothers)、フライング・マシーン(Flying Machine)、スモール・フェイセス(Small Faces)のオリジナル・メンバーであるロニー・レーン(Ronnie Lane)のカバーを含む全6曲が収録されている。

オリジナル・アートワークは奈良が手がけており、アナログ盤のA面には楽曲を収録。B面はバンド・メンバーのジェームズ(James)によるイラストが施されたエッチング仕様に。尚、本作は全世界で2500枚の限定生産盤となっている。

Yo La Tengoが奈良美智の展覧会に提供した楽曲がアナログ盤に!EP『Sleepless Night』が数量限定リリース決定 music200827_yolatengo_1-1920x1525
ヨ・ラ・テンゴ
Photo by Noah Kalina
Yo La Tengoが奈良美智の展覧会に提供した楽曲がアナログ盤に!EP『Sleepless Night』が数量限定リリース決定 music200827_yolatengo_3-1920x1920
奈良美智
Photo by Ryoichi Kawajiri

さらに本作『Sleepless Night』について、バンド・メンバーであるアイラ・カプラン(Ira Kaplan)のコメントが到着した。ヨ・ラ・テンゴと奈良が選曲した6曲について紹介されているので是非チェックを。

奈良美智さんと会ったのは2003年で、奈良さんの個展や、僕たちのコンサートで彼に会うようになった。僕たちはアジアソサエティのオープニングでDJをしたり、奈良さんはジョージアが私の首を絞めている絵をグルーミーのペンケースに描いてくれたこともありました。そのペンケースはシェパーズ・ブッシュのK-Westホテルのバーで盗まれるまでジョージアの自慢の品の1つだったんだ。2020年のLACMAでの展示会の奈良さんカタログをよりパーソナルなものにするために、彼の好きな曲をLPに収録してそれをデラックス版にするという案があった。私たちはLPの片面(1曲は新曲)を提供し、もう片面は奈良さんがセレクトした6曲をオリジナル・バージョンで収録することになった。ではそのLACMA用レコードに提供した、奈良さんと一緒に選んだ6曲をご紹介します。
 
私はおそらくNRBQのLP『Workshop』で“Blues Stay Away from Me”を初めて聴き、そこから、ルービン・ブラザーズやデルモア・ブラザーズへと遡っていった(ダグ・サーム・アンド・バンドへの寄り道もあった)。僕たちのバージョンは、2011年2月にマーク・ネヴァースが録音したもの。チャーリー・ルービンがその数日前に亡くなっていた。僕たちはウィリアム・タイラーとツアーをしていて、ツアーはナッシュビルで終了した。僕たちバンドと、ウィリアムとカート・ワグナーで“Blues Stay Away from Me”をトリビュートとしてアレンジして、Exit/Inで演奏してライブを締めくくった。自宅に戻るまで数日間ナッシュビルに滞在していたから、マークのスタジオに行って曲をレコーディングしたんだ。
 
Wasn’t Born to Follow”は、『Stuff Like That There』を生み出したセッションの一部としてジーン・ホルダーによって録音された。リード・ギターはデイヴ・シュラム。初めてザ・バーズの曲を聴いたのは確か、母が僕や大勢の友人たちを連れて『イージー・ライダー』を観に行った時だった。(一人の子供は、僕の弟と同様、その映画を観ることを親に禁止されて一緒に来れなかった。父は弟を連れて代わりに『明日に向って撃て!』を観に行き、友人はおそらく家で宿題をしていたのだろう。)
 
Roll On Babe”を作曲したのはロニー・レーンではないが、僕たちがカバーしているのは彼のバージョンだ。ジェイムズがホーボーケンで録音した。(この曲は、アジアソサエティでDJをした時にジョージアがかけた曲の1つだった。)
 
ナッシュビルで僕たちが『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』を制作している時に、ロジャー・ムテノはジョン・ピールのバースデー番組のためにディランの“It Takes Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry”を録音した。僕たちの知る限りでは、唯一無二のマスター版をイギリスに送ってしまったらしい。そう、僕たちも、君たちと同じように、むしろそれ以上に唖然としているよ。いろいろと詮索した結果、この曲にたどり着いた。
 
Bleeding”は僕たちが作曲して、ジェイムズがホーボーケンで録音した。
 
また、ジェイムズはマイケル・シェリーの“Super Hit Tsunami!”のためにザ・フライング・マシンの“Smile a Little Smile for Me”をレコーディングしていて、この曲はWFMUの2019年募金マラソンに寄付をしてくれた人が入手可能となっている。

アイラ・カプラン

Yo La Tengo – “Wasn’t Born To Follow” (The Byrds cover)

RELEASE INFORMATION

Sleepless Night

Yo La Tengoが奈良美智の展覧会に提供した楽曲がアナログ盤に!EP『Sleepless Night』が数量限定リリース決定 music200827_yolatengo_2-1920x1920

2020.10.09(金)
Yo La Tengo
label:Matador

TRACKLISTING:
01. Blues Stay Away (The Delmore Brothers cover)
02. Wasn’t Born to Follow (The Byrds cover)
03. Roll On Babe (Ronnie Lane cover)
04. It Takes a Lot to Laugh (Bob Dylan cover)
05. Bleeding (Original track)
06. Smile a Little Smile for Me (The Flying Machine cover)

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