2012年にヒオール・クロニック(Hior Chronik)とのデュオ、ピル・オー(Pill-Oh)として、アルバム『Vanishing Mirror』をリリー スした、ギリシャ出身フランス在住の女性作曲家、ジノヴィア・アルヴァニティディ(Zinovia Arvanitidi)。セルフプロデュースによるソロ・デビューアルバムがシンガポールの〈KITCHEN.LABEL〉よりリリースされる。
序盤のミニマリスティックなピアノ曲から、ストリングス、エレクトロニクス、フィールドレコーディング、ウィスパーボイズなどを非常にエレガントに取り入れながら、過去と現在が向かい合う不思議と見覚えのある風景へとリスナーを誘うような、シネマティックな美しいコンポジションが展開されていく。
さらに、モダン・クラシカルのジャンルでは珍しいメロディカの音色が、彼女の音楽のコントラストにより魅力的な深みを与えている。
アルバムを通して、たとえばピアノのアイボリー(白鍵)とエボニー(黒鍵)、もしくは、季節の始まりと終わりのように、相反する2つイメージが偏在する。
それはアルヴァニティディの音楽が、アルベール・カミュの言葉である(“There is a life and there is a death, and there are beauty and melancholy between”.「生と死の間には、美しさと憂鬱がある」)のエッセスを昇華しているからであろう。
アートワークは、『Pill-Oh / Vanishing Mirror』と同じくフランス人写真家Aëla Labbéの作品。ピル・オー作品のファンはもちろんのこと、坂本龍一やダスティン・オハロランのファンにもオススメの1枚。
Zinovia Arvanitidi – Fluttering (Official Music Video)