近年のスマホゲーム・コンシューマーゲームでは、ゲームの世界観をより細やかに表現できる没入感とオリジナリティのある音が欠かせない。Cygamesは、こうした音の表現を達成するために、これまで外部に頼っていた効果音の制作を効率的かつハイクオリティに制作することを目的に、自社専用のスタジオを設立した。
今回、Qetic編集部ではスタジオの完成式に潜入!
エキシビションとして、実際のゲーム画面に合わせて録音する様子も披露された。
Cygames サウンド部のこだわりを詰めた最高のフォーリースタジオ
「最高のコンテンツをつくる会社」をビジョンにかかげるCygamesでは、ゲーム開発のため最新鋭の技術を導入した設備を自社内に設置。この度、コンシューマーゲーム開発を中心に手掛ける大阪Cygamesに、ゲーム作りに欠かせない「SE(サウンドエフェクト)」を収録する新スタジオ「大阪サウンドフォーリースタジオ」をオープンすることに。
収録エリア内は、反射面、吸音面、拡散面を用意し、デッドになりすぎないナチュラルな音環境となるよう設計したルームアコースティック(室内音響特性)をベースに、その空間内にアスファルトやコンクリート、大理石、フローリング等の様々な床面を配している。また、ピットには、土、砂、水、破砕を備え、それぞれに金属製や木製の蓋を用意。様々なバリエーションのSEを収録することが可能に。
破砕ピットの上部には、重量物を吊り下げるための吊り格子も用意され、打撃音や破壊音の収録も可能。ドアプロップには通常のドアの他に重量ドアや鉄の門扉、ドアノブのみのセクション等を用意し、各種稼働音、タッチ音等のバリエーションが用意されている。天井のパイプからはマイクスタンドの吊り下げを可能とし、自由なマイクの配置ができるので、より繊細なレコーディングもできる。ゲームの世界観をより細やかに表現するためのSEを収録する、最高の環境が整えられた。
エキシビションでは、実際のゲーム画面にあわせてサウンド収録の様子を披露。ガイコツのキャラに合わせたサウンドでは、木を擦り合わせたり、将棋のコマが入った箱、そして動物の骨などを使って、骨が鳴る様子を再現。
剣士が歩くシーンでは、剣士にみたてた革のブーツでタイルの上で足踏みをしたり、革をすりあわせて剣士の服の擦り切れ音を再現するなど、リアルな音を目指すための創意工夫がみられた。
フレキシブルな活用や効率的な作業が可能なコントロールルームも
さらにコントロールルームには、フォーリースタジオでありながら天吊による5.1chのスピーカーを配置。映像作品の視聴やMAのEDIT等、収録以外の目的にも対応できる仕様に。大小様々なカメラ、モニターの映像は全てマトリクススイッチャーによりどこにでも出力が可能。スタジオと東京本社をリモートでつなぎ、スタジオ内の映像を見ながら遠隔で指示を出すなど、現代の働き方に合わせ収録作業を効率的に進行することができるものに。今回のスタジオ設立のように、ゲームのクオリティ向上を目指し、あくなき追求を続けるCygames。今後の作品にもぜひ注目してほしい。