スマートフォン時代の腕時計は、自己演出のためのアクセサリーである。ということは、ファッションやTPOに応じた使い分けが重要になる。例えば気の抜けた休日や趣味に没頭する時間の場合は、高級な腕時計だと逆に場違い。機能やデザインに個性を持ったカジュアルウォッチの方が、ドレスコード的にも正解なのだ。あるいはスーツスタイルの腕元にポップな腕時計を取り入れたり、半袖シャツの腕元に遊び心のあるデザインの腕時計をつけたりして、ハズしのアクセサリーにするのも正解だろう。ただしここで気をつけなくてはいけないのは、“あえて感”の演出である。10万円以下というカジュアルプライスであるために、「あえてこれを選んでいますよ」という雰囲気がなければ、むしろ子供っぽく見えて逆効果だ。そのためにも見た目の良さだけでなく、語りのあるモノ選びが大切になるだろう。大人のカジュアルウォッチは、高級腕時計より格段に難易度が高いのだ。
――デザインウォッチ界不滅の傑作は、今なお刺激的
LIP(リップ)『マッハ2000 クロノグラフ ブラックラバー』
フランスの高速鉄道TGVのデザインを担当した工業デザイナー、ロジェ・タロンを起用して生まれたアシンメトリックなクロノグラフ。ニューヨーク近代美術館の永久所蔵品にもなった傑作デザインは、誕生から45年たった現在でも唯一無二の独創性がある。リューズやクロノグラフ操作用のプッシュボタンがカラフルに色分けされているが、ここがシャツやジャケットの腕元からチラリと見えるだけでも、視線を引き寄せる効果あり。ドレスダウンの小技として使いたい。
INFO/画像提供:DKSHジャパン株式会社
――あのカルトウォッチが、50年の節目に復刻
Hamilton™(ハミルトン)『ハミルトン PSR』
1970年に誕生した“世界初のLED式デジタルウォッチ”である『ハミルトン パルサー』は、90年代後期に裏原宿界隈でカルト的な人気を博した。この時計が復刻。オリジナルモデルをデジタルスキャンして、ケースフォルムを克明に再現する一方で、弱点であったLED式デジタル表示の電力消費量にも対処し、通常時は省エネの液晶画面で時刻を常時表示しつつ、プッシュボタンを押すと進化したOLEDが時刻を赤く表示する仕組みになった。Tシャツに合わせてサラリと使いたい。
INFO/画像提供:ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
――美しく時を刻むデザイン系ドレスウォッチ
ISSEY MIYAKE WATCH(イッセイ ミヤケ ウオッチ)『U』
国内外のデザイナーを起用し、創造性に富んだカジュアルウォッチを作っているISSEY MIYAKE WATCH。このモデルはカーデザイナーの和田智が手掛けており、美しくて普遍的な時計を目指してデザインされた。ダイヤル表示には古典的なローマ数字を使って上品に仕上げつつ、ケースサイドは大胆に絞り込みを効かせてシルエットを強調する。ケース厚が9.75㎜と薄型ゆえにシャツの袖にもすっと馴染むので、スーツと合わせたい。
INFO/画像提供:セイコーウオッチ株式会社
――初代モデルが洗練されたメタルボディに
G-SHOCK(ジーショック)『GMW-B5000-1JF』
世界的ブランドへと成長したG-SHOCKは、そのタフな設計ゆえに、アウトドアでガシガシ使う時計だと思われがちだ。もちろんそれは正解なのだが、ラグジュアリー方面にも華麗に進化中である。このモデルは1983年に誕生した初代5000シリーズのデザインをそのままメタル化したもの。ルックスは断然スタイリッシュになったが、耐衝撃性能は新たに開発しているという。日本流の“伝統と革新”を堪能できる時計は、大人のハズしとして腕元を演出してくれる。
INFO/画像提供:カシオ計算機株式会社
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Text:篠田哲生