動画共有サイトで公開された「Tokyo Reverse」という動画作品が、英BBCをはじめとした様々な海外メディアで取り上げられ、SNSを介して日本でも話題が拡がっている。
東京の雑踏をゆっくりと歩く一人の外国人男性。日本に住む私達とって見慣れたはずの光景が写し出されるこの作品の奇妙さに視聴者はすぐに気づくだろう。実際には外国人男性がひたすら後ろ向きに歩いており、その姿を撮影した映像を逆再生したものがこの「Tokyo Reverse」だ。
シンプルな手法ながら、街の風景や私達の日常的な姿を異質なものとして映しだすこの作品は、ニュー・メディア・アーティストである、Simon Bouissonによるもので、街を歩く男性は写真家のLudovic Zuili、音楽はクラシック界の貴公子と呼ばれるピアニスト、フランチェスコ・トリスターノ(Francesco Tristano)が担当。彼の作品”The Melody”(アルバム『Not for Piano』収録)が使用されると共に本人もこの動画の中に登場する。
Ludovic Zuiliと日本の女子高生が歩道で戯れ合う姿や、Francesco Tristanoが合流し2人で大通りを歩く姿はどこか可笑しげ、そして何故か神秘的でもある。この動画は、3月にフランスの公共テレビネットワーク”FRANCE 4”で放映された番組のトレーラー映像であり、実際には9時間にわたって東京を後ろ向きに歩く姿の逆再生映像が放映されたとのこと。
番組コンセプトは“Slow TV”と呼ばれるもので、ノルウェイでは6日間にわたりフィヨルドを巡るフェリーの旅、ただひたすら暖炉で薪が萌える映像、手芸する手元の映像などが番組として放映され、驚異的な視聴率を獲得している。この作品はそのフランス版といったところだろうか!
TOKYO REVERSE – EXTRACTS #01 from Simon Bouisson on Vimeo.