楽曲のタイトルはほとんどが適当だよ。
特別な意味はない(笑)。どんな名前だってあり得るんだ
――楽曲についてもお聞きしたいのですが、2曲目のタイトルとなった“Simon Ferocious”とは何者ですか? 検索するとクイーンのフレディ・マーキュリーの発言が出てくるのですが…。
そうそう、その通りだよ。バカげた名前なんだ(笑)。セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスのことを、フレディ・マーキュリーが「Simon Ferocious」だと思ってたらしいんだ。完全に間違ってるよね(笑)。マジで笑える。このタイトルはそこから取ったんだよ。
――どこでそれを知ったんですか(笑)?
ベースのドミニク(・アイチソン)がYouTubeでビデオを見てたんじゃなかったな。その時彼は酔ってたんだけど、「これ見ろよ! マジでウケるから!!」ってみんなにメールしてきたんだ(笑)。曲とはまったく関係ないよ。ただ遊びで付けただけ。
Queen: Days Of Our Lives – Simon Ferocious (BBC2 May 2011)
――もしかして、タイトルをつけるときはほぼ適当なんですか?
ほぼ全曲って言っても良いかもね。ソング・タイトルがないまま曲を作って、途中で曲を識別するために、「これはああ呼ぼう」、「あの曲はこう呼ぼう」っていう感じで、とりあえず呼び名を付けるんだ。ホントに適当だから、意味はないんだよ(笑)。
――実は、The NeedlesというバンドのEPも検索で出てきたんですよね。
マジで!? ウソだろ? 今ちょっと調べさせて(笑)。それ最高! なーんだ、すでに同じタイトルの曲があったのか。それは残念(笑)。ちょっと待って、ホントに今調べたいから……。あ、ホントだ(大爆笑)。すごいな! 最高だよ。教えてくれてありがとう(笑)。
――どういたしまして(笑)。そういえば、『ザ・ホーク・イズ・ハウリング』(08年)収録の“I’m Jim Morrison,I’m Dead”以降、前作収録の“You’re Lionel Richie”など、フルネームの固有名詞を冠したトラックが続いてますね。これは意図的なもの?
たしかに。でも、なぜかはわからない(苦笑)。“I’m Jim Morrison, I’m Dead”もドミニクが酔ってる時に言った言葉だったような気がする。なぜ彼がそれを言ったかはわからないけど、とりあえず俺たちは笑ってて、それを誰かが書き留めていたんじゃなかったかな。アイディアの出所は毎回違うんだ。有名人の名前だから選んでるってわけでもないし、特別な意味はない。どんな名前だってあり得るんだ。
――また、5曲目“Repelish”で引用されている音声は誰のものですか? ミック・ジャガーやアリス・クーパーらの名前も聞こえますが、これはロック・スターについての歌?
あの声は俺たちの友人であるリー(・コーエン)のものだよ。彼は以前、俺たちの昔の曲“Stanley Kubrick”でもヴォーカルをやってるから…。あ、これもまた有名人の名前が入ってるね(笑)。だから、彼は前にもモグワイのレコードに参加したことがあるんだ。これは、アメリカのクリスチャンがやってるラジオ局のナレーターの音声を、再レコーディングしたものなんだ。著作権のことが心配だったから、リーに歌ってもらってるんだよ。悪魔について、ただそのナレーターがベラベラ意味のないことを話してるだけ。ヴァイナルに指を乗せて逆回転させると、クレイジーな悪魔のメッセージが聞こえてくるとか、そういう馬鹿げた話をしてるんだ(笑)。信仰深い人の中にはそういうことを言う人もいるんだよね。バカげてるけど、それが逆に面白いと思ったから使ったんだ。
――“Repelish”や“Remurdered”というタイトルも、アンデッドが登場する『レ・ルヴナン』との関連性を疑わずにはいられません。また、過去にも“I’m Jim Morrison,I’m Dead”や“George Square Thatcher Death Party”というトラックがありましたが、「死」はモグワイにとってインスピレーショナルなモチーフですか?
pelish=(突然または非業な死に方で)死ぬ
murdered=不法に殺される
ははは! もしかしたらそうなのかも(笑)。どうなんだろう、考えたことなかったな。退屈な答えだってわかってるけど、本当に無意識だから(笑)。たまたまだよ。
――別に、死を望んでいる…とかじゃないですよね(笑)?
ないない(笑)。それは一生ないね。
――誰かの死を望んでるわけでもないですよね(笑)?
それもない。とりあえず、今のところはね(笑)。
――いっぽうで、何よりも興味深いのが6曲目の“Master Card”です。差し支えなければビハインド・ストーリーを聞かせてください。
あれはもともと“Visa”って呼ばれてたんだ(笑)。ジョン(・カミングス)が彼の居住ビザをロンドンに取りにいかないといけなかったとかそういう時で、それでまずその名前がついて(笑)。でも、“Visa”ってタイトルはなんかイヤだったから、他のクレジットカードの名前に変えたんだ(笑)。“Visa for USA”とか、“Working Visa”とか、そんな風なタイトルだったかな? でもそれが転じて“Master Card”に…。バカげた名前だよ、ホント(笑)。別に“American Express”とか“Diners Club”でも良かったんだけどね(笑)。
――“Blues Hour”はゴスペルのように美しいヴォーカル&ピアノに始まり、ギター・ノイズの洪水に飲み込まれる圧巻のトラックです。これもまた『レ・ルヴナン』収録のヴォーカル・トラック“What Are They Doing In Heaven Today?”からの繋がりを感じさせるのですが、歌詞は何からインスパイアされたのでしょうか?
あの歌詞は俺じゃなくてスチュアート(・ブレイスウェイト)が書いたんだけど、インタビューで答えてるのを聞いてたから答えは知ってる。あまり意味はないらしい。ギリギリで歌詞を乗せたくなってあの歌詞を書いたんだ。だから、やっぱり深い意味はないと思う(笑)。楽器のひとつみたいな感じさ。あのメロディは曲の完成間近にすごく短時間で出来たから。どちらかといえば、俺にとっては“What Are They Doing In Heaven Today?”よりも『カム・オン・ダイ・ヤング』(99年)に収録されている“Cody”って曲に近いかな。“Cody”のアップビート・ヴァージョンって感じだね。
――クロージングの“The Lord Is Out Of Control”ではお馴染みのボコーダーも登場しますね。アントニー・クルックが手がけたビデオも印象的でしたが、どんなテーマがあるのでしょうか?
そう、あの曲はボコードを最初から使って作った最初の曲なんだ。いつもは後から乗せるんだけど、これはボコードがメインになってる曲。いつもはやらないことなんだけどね。アントニーがハワイにビデオを撮りに行ったんだけど、もともと彼は火山とか、それっぽいものを撮りに行ったんだ。でもその日の天気が最悪で、雨や風のせいでそれが撮れなかった。だから彼は俳優とかじゃなくて、地元のその辺にいた人々を使ってビデオを撮ったんだ。あれは彼のアイディアだから、テーマまではわからない。俺たちが「こういう曲だから、こういうビデオを頼む」ってリクエストしたわけじゃないからね。彼はイギリス人で、ずっと前にニューヨークへ引っ越したんだ。彼とは来年、もっと一緒に活動すると思うよ。彼は今、ニューヨークにあるガラクタを使ってボートを作って、ハドソン川に流す…っていうアート・プロジェクトに関わってるんだけど、そのプロジェクトのために、俺たちがサウンドトラックを書く予定なんだ。
――新曲をライヴで聴けるのが待ちきれませんが、、2月の<Hostess Club Weekender>でのカムバック、すごく楽しみにしてます。何か特別なセットなどは計画していますか?
俺もすごく楽しみ! でも、これと言って特別なことは何もない。ただみんなに向けて音楽を演奏するだけさ。だから、ダンサーとか花火は期待しないで(笑)。まあ、俺たちのオーディエンスは、そもそもそういうのを期待してないと思うけどね。俺らがやるのはエンターテインメント・ショーじゃなくてコンサート。新曲はもちろん、お馴染みの曲もいっぱい演奏するつもり。日本に行くのが待ちきれないよ!!
質問作成・文: Kohei Ueno
インタビュー協力:ホステス・エンタテインメント
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Event Information
Release Information
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