――なるほど。 DYTHの音楽性は共同生活の中から生まれたんだね。

Deme ルーツを辿ってみるとそれぞれ音楽の好みは共通しているところもあるけれど、バラバラだったりする箇所もありました。そういったところを一緒に住んだ環境の中で、共有から共鳴へと変化していき、曲として具現化されていくようになりました。差異があればそれを糧として、広く深くお互いの音楽性をつなげていく。こういった流れ から、DYTHの幅広い音楽性が実現しているのだと考えています。

――9月25日(水)に発売する最新作『UNREAL PLACE』を先行して聴かせていただきました。テクノやエレクトロ、ロックが中心となりますが、実に多様性に富んでますね。

yoshe そうですね。僕らは先にも述べたような環境の中で、多くの時間を費やして音楽の方向性を話し合いました。強い共通点は、クラブやフェスを通して「より多くの人々を本能的に踊り狂わせたい」ことです。そして、この音楽性に最も適しているのは、海外でも通用するグルーヴ感とサイケデリック(中毒性)、そして聴きやすさの3つが必要であると考えています。加えて、メンバーそれぞれが共鳴したジャンルが幅広かったこともあり、結果的に独自性のあるダンスミュージックを作り出すことができているのだと考えています。

――デジタリズムやシミアンモバイルディスコ、ケミカル・ブラザーズを彷彿とさせる要素がありますよね。

hiroaki 2007年のエレクトロブームに強く影響されたと思います。どれも聴きやすく踊り続けることができる。それでいていろんな感情にうったえる要素があるんです。「これってすごい!」と思ったのですが、国内にはそういったアーティストがなかなか見つからなかったんですよね。だから僕らが作りだそうと(笑)。

DYTH -“Niagara”

――また、今作のテーマはどういったものでしょうか? 『UNREAL PLACE』というタイトルに何かリンクされるのでしょうか?

yoshe 『UNREAL PLACE』は僕らの音楽性を維持しながらストーリーをとても意識して作りました。作曲過程は先に頭の中に映像があって、それを音に落とし込んだぐらいです。

Deme 僕らは今作から作曲に対して本格的な活動を始めましたが、最初の1歩として重要なことはリスナーがDYTHの世界に遊びにきていただくことです。今までになく、どこか分からない世界(UNREAL PLACE)を体験してもらい、楽しんでいただけたら幸いです。

――楽曲についてもお聞かせください。“Niagara”は前曲から雰囲気が急展開しましたね。大きな力に引き込まれたというか。

hiroaki “Niagara”は作品を通して、最もDYTHらしさをもちあわせる曲です。そういう意味でも前曲から不安感、焦燥感を作り、急展開させることによって引き寄せる効果を作りたかった、というのが構成上の考えになります。

yoshe 人って不思議で、実際に恐怖や不安を体験することは嫌うのに映画やゲームでは人気のあるカテゴリでもあるじゃないですか。それって(日常では得られない)非日常感として、自分に危害がないという範囲で擬似的に経験したいと思っている人が多いと思うんです。つまりは、僕らDYTHの音楽性もそういった要素を使って、先に述べたように「踊り狂わせたい」んですよね。それがDYTHの基本的な考えであり、ポリシーです。

【インタビュー】“より多くの人々を本能的に踊り狂わせたい”―ダンスミュージック界の新星DYTHに迫る。 interview130919_dyth_live-2

次ページ:【DYTH、斬新なライヴスタイルについて語る!】