■時にヘヴィーに、時にハートフルに、“大切な何か”を探す「人生探求」系
『それでも夜は明ける』
『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
『あなたを抱きしめる日まで』
何と言っても注目株は、スティーヴ・マックイーン監督の『それでも夜は明ける』だろう。名前も身分も奪われ、12年間も奴隷として生きねばならなかった黒人ヴァイオリン奏者の生涯を描いた本作は、批評家および観客からの大絶賛を浴び、<アカデミー賞>の前哨戦<ゴールデングローブ賞>をはじめとする様々な映画賞を受賞。<第86回アカデミー賞>では9部門にノミネートされており、「今年もっともオスカーに近い作品」と称される1本だ。今まで黒人が作品賞(と、監督賞)を受賞したことは一度も無いため、歴史を塗り替えるであろう1本として当然期待も大きい。
『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』は、オトコの自分探しや“旅”を描かせたら右に出る者はいないアレクサンダー・ペインによる新作ロード・ムービー。インチキな100万ドル当選の手紙を信じ込み、一路ネブラスカ州を目指す父子をモノクロームで撮影した今作は、監督にとっても『サイドウェイ』、『ファミリー・ツリー』に続く3度目の作品賞ノミネートとなる。
オスカー女優のジュディ・デンチが主演を務める『あなたを抱きしめる日まで』は、離ればなれになってしまった母子の行方を追う感動の実話を元に、<第79回アカデミー賞>で7部門にノミネートされた『クィーン』の製作チームが再結集したドラマ映画。3作品とも日本公開がまだ先なので確信を持てないのが残念だが、映画ファンなら伝説を目撃したい――ということで『それでも夜は明ける』に1票!!