04.Thelonious Monk – ‟Round Midnight”
これは僕の選曲。最初はマイルスの演奏で知ったのかな? そのあと、デクスター・ゴードンが生きてたから……。86年だと思いますけど、映画『ラウンド・ミッドナイト』を観てますます好きになった。プロデューサーから「映画しばりでやろうよ」と提案された時に提出した曲のひとつです。この曲は基本的にバラードなんで、最初はバラードにしようと思ったんですけど、プロデューサーと話してこの最終形にしました。ただ、それは「メロディーを伝えたい」という思いからのテンポ・アップだったんです。だから踊ってもらっても嬉しいけど、曲本来のメロディーを楽しんでもらいたいですね。これまでカヴァーというと原曲のテンポに近い形でアレンジしつつコードを変えるということが多かったんで、この曲や‟Smoke Gets In Your Eyes”には新しい息吹きを感じるというか、また新たに一から考えさせられました。
05. Stevie Wonder – ‟Overjoyed“
これはドラムの今泉くんが選んだもの。スティーヴィー・ワンダーの大名曲ですね。個人的にそれほど思い入れがあるわけではないですけど、つねづね「素晴らしい曲だな」とは思っていて。昨年だったか、パーカッションの松岡とジャズとレゲエを混ぜたようなバンドをやっていた時に、初めて人前で演奏しました。この曲は普通に聴いてる分にはピースフルですけど、実はやってみるとめちゃくちゃ難しい。転調の嵐で、特に盛り上がるところで凄くエグい感じで転調していくんです。今泉だけではコードのニュアンスが出ないんで、アレンジを僕が手伝ったりもしたんですけど、本当に難しかった。トランぺッターの川崎太一朗くんも吹いてくれてますね。(他の曲も含め、今作のトランペットは川崎太一朗が、テナー・サックスは岩本義雄が担当)
06. Love Theme From Sunflower *映画『ひまわり』より
松岡さんの選曲。もともと原曲が、かなりもの悲しいメロディーじゃないですか。それもあって、(アップ・テンポな曲を手掛けることが多い)彼がどう作ってくるのかと思ったんですけど、出来上がったデモがレゲエで、「ああ、彼のルーツとうまく合わさってるな」と。あと、彼はピアノが弾けないはずなのにデモにピアノが入っていて、それもなかなかエグいことになっていた(笑)。要はシーケンサーで録り重ねたものだったんですけど、『生演奏でこれに近づけられるか』という変な心配もしました。でも素晴らしいピアノだったんで、出来るだけそれを残したくて、相当練習してやりましたね。