07. Aretha Franklin – ‟Day Dreaming”

これは須長の選曲。アレサ・フランクリンについては、説明不要だと思いますが、この曲はメロディーが素晴らしい。フリー・ソウルのコンピレーションなんかにも入ってたかな。須長のアレンジが原曲のよさを伝えるものだったので、それをローズでどう表現するかを考えました。幻想的な雰囲気をピアノでどう表現するか。理論的な話をすれば、ホール・トーン(全音音階)でかけあがるフレーズを使って、“Day Dreaming”というタイトルの雰囲気に近づける形で、須長と話し合いながら作った曲です。

08. Boys Town Gang – ‟Can’t Take My Eyes Off You”

これを選んだのは松岡。フランキー・ヴァリではなくて、ボーイズ・タウン・ギャングのヴァージョンですね。僕は個人活動でジャズ・クラブで頻繁に演奏するんですけど、シンガーの人がアンコールの際に「盛り上がりましょう」と歌う曲で、そういう意味でもよく耳にしていました。この曲は、意外とコードが少なくて、普通にメロディーを弾くとスカスカになってしまう。そこで初めの出だしのAメロの辺りは崩して弾いてます。この選曲とアレンジとても松岡らしいです。彼はパーカッショニストだけに、キメがバシバシッと入るような、起承転結がはっきりしてるような感じがらしいなぁと。歴代のquasimodeの中でもアゲアゲの曲を数々手掛けてきた彼の面目躍如ですね。

09. Bud Powell – ‟Cleopatra’s Dream”

この曲は僕の選曲ですね。うちの親父も聴いていたし、昔親父がやっていたジャズ喫茶に来ていたお客さんからのリクエストも多かったと聞いたことがあります。村上龍さんがホストをしていたTV番組『Ryu’s Bar 気ままにいい夜』のテーマ曲にもなっていて、日本のジャズ・ファンにも馴染みのある曲。だからこそ、アレンジに関してはチャレンジしました。もともと4ビートで演奏される機会が多い曲なんで、それに終始したくないという気持ちがあって。そこでラテンを意識して、ちょっと普段とは違う‟クレオパトラの夢“にしました。

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