ールドカットのジョナサン・モアとマット・ブラックが初来日ツアー中に見つけた忍者のコンセプトに共感し、90年にスタートしたUKブレイクビーツ界きっての人気レーベル〈ニンジャ・チューン〉。2010年に20周年を迎えて以降もフォルティーDLやマシーンドラムら刺激的な精鋭たちを迎え入れ、レーベルのカタログは充実の一途をたどるばかりだ。その中にあって、ジャズ、ソウル、ファンク、ハウス、エレクトロ、ブレイクビーツ、ディスコなどを飲み込んだジャンル不問の音楽性や、コレクター魂が炸裂する6時間も続くDJセットでいぶし銀的な存在感を放つのが、マンチェスターを拠点に活動するミスター・スクラフ(=“ミスター・だらしない髭面”)。彼が今回、6年ぶりの新作『フレンドリー・バクテリア』を引っ提げて久々にシーンに帰ってきた!

紅茶とDJは、似ている……?! 海、パイ、紅茶を愛するユーモア職人。

マンチェスター出身のミスター・スクラフことアンディー・カーシーは、ジョン・ピールやグレッグ・ウィルソンといったラジオ/クラブDJに影響を受け、80年代からDJミックスを開始。97年に『Mr. Scruff』でデビューすると、続く『Keep It Unreal』からは〈ニンジャ・チューン〉と契約。02年の『Trouser Jazz』では自身最高の全英29位を獲得した。その後は一時期一線から退いた感もあったものの、09年に『Keep It〜』が再発されたことや、スター・スリンガーらが影響を公言するなど若手からの再評価も手伝って、ここにきて再び注目を集めつつある印象だ。

Mr Scruff“Sweet Smoke”

そんな彼の最大の個性は、何と言っても音楽だけにとどまらないおかしなユーモア感覚。実は大の紅茶好きとしても知られ、クラブで飲んだ明け方の紅茶に感銘を受けたのをきっかけにオンラインで紅茶の販売を開始すると、現在はマンチェスターのレコード・ショップ、ヴォックス・ポップ・ミュージックの跡地にカフェもオープン。彼のクラブ・ナイトでは何故か紅茶が振舞われる他、取材時にこの話になると「紅茶とDJは似ている……」と持論を展開するほどの入れ込みようだ。また、カートゥニストとしても活動し、高校の時に生み出したゆるキャラ=ポテトマンを筆頭に、海(魚、クジラ)やパイ、紅茶が頻出するオフビートなイラストを自らアートワークに提供。そればかりか、前作『Ninja Tuna』(≒『Ninja Tune』)ではタイトルで〈ニンジャ・チューン〉をもじるだけでは飽き足らず、架空のレーベル〈ニンジャ・ツナ〉を設立し、ツナ缶に入ったUSB仕様の限定音源もリリース。そう、彼の活動にはいつも決まって、一匙のセンス・オブ・ユーモアが添えられていて、楽しげな音楽性との相乗効果を生んでいるのだ。

Mr Scruff“Kalimba”

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