日本とスペインで開催される<日本 スペイン交流400周年>のファイナルを飾る、<特別展 ガウディ×井上雄彦─シンクロする創造の源泉―>が7月12日(土)から9月7日(日)まで森アーツセンターギャラリーで開催される。
間もなく始まる展覧会では、出展作品のメインを飾るひとつとして漫画家・井上雄彦氏が、面積で世界最大級となる手漉き和紙にガウディの世界観を筆で描いた作品を展示。手漉き和紙には、福井県越前市の上山製紙所が制作した高さ3.3m×幅10.7mにも及ぶ「平成長尺大紙」が使用された。
また、土地に根差した伝統技術を大切にしたガウディに倣い、井上氏も越前へ足を運び、職人の指導を受けながら一緒に和紙を漉くというプロジェクトも実施。このときの制作の様子&コメントは下記をチェック。
制作の様子
漉き手を鼓舞する太鼓が、平成長尺大紙の制作の始まりを告げる。紙漉き唄に合わせるように、原料の楮(こうぞ)を木の棒を使って皆で練り混ぜる。大紙の紙漉きに参加したのは、総勢20人。井上雄彦氏と柳瀬彦左衛門氏を中心に、職人14人と井上氏の事務所のスタッフ4人が巨大な簀(す)を取り囲む。
柳瀬氏の掛け声を合図に縦3.3メートル、横10.7メートルの簀が、波打つように動き始めた。大切なのは漉き手が呼吸を合わせることだ。「すくいます」「返します」と声を掛け合いながら、息がだんだんと合っていく。楮の繊維を含む粘り気のある水は、簀の上を引いては返す波のように、何度も往復する。その度ごとに楮の繊維は積層され、しなやかで強い和紙へと姿を変えていく。
50往復はしただろうか。重い簀を上げ下げしていた漉き手の額に汗が浮かんだ頃、簀の動きが止まった。会場で平成長尺大紙の制作を見守っていた人々は皆、拍手で和紙の漉き上がりを喜んだ。
漫画家・井上雄彦氏のコメント
腰が痛い。思ったより大変でした。柳瀬さんから手は添える程度でよいと指導されていたんですが、波の勢いがすごくて。そんなこと言ってられなくなりました。今回、和紙の制作から手掛けたいと思ったのは、紙の材料や水の力も活用した絵を描きたいと思ったからです。そして、ご縁があって越前に来て和紙を漉かせていただいて改めて感じたのは、この伝承されてきた文化を大切に残していかなければならないということです。展覧会に向けて、この大きな紙にどんな絵を描くかは、紙が大きすぎて、まだ僕の視界に入りきっていないので分かりませんが、これからこの紙と対話を続けながらガウディの世界観の創出に取り組んでいきたいと思っています。
アントニ・ガウディ ≪大学講堂:横断面≫ 1877年10月22日 ©Càtedra Gaudí
≪サグラダ・ファミリア聖堂模型≫ 制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室 ©Junta Constructora del Templo de la Sagrada. All rights reserved.
ジュアン・マタマラ ≪サグラダ・ファミリア聖堂内観≫ 1949年 ©Càtedra Gaudí
Event Information
特別展 ガウディ×井上雄彦 —シンクロする創造の源泉—
Takehiko Inoue interprets Gaudi’s Universe
2014.07.12(土)〜09.07(日)@森アーツセンターギャラリー ※会期中無休
OPEN 10:00/CLOSE 20:00 (最終入場 19:00)
一般・大学生 ADV ¥1,600/DOOR ¥1,800
中学・高校生 ADV ¥1,300/DOOR ¥1,300
4歳〜小学生 ADV ¥600/DOOR ¥800
ガウディ×井上雄彦 越前和紙ブックカバー付チケット ADV ¥2,500
07.11(金)まで。限定枚数に達し次第終了
TICKET:チケットぴあ(Pコード:766-258)、ローソン、イープラス、森アーツセンターギャラリー、CNプレイガイド
お問合わせ:0570-063-050(10:00〜20:00)ローソンチケット内
主催:東映、テレビ朝日、BS朝日、朝日新聞社、森アーツセンター
共催:AUREA、カタルーニャ工科大学バルセロナ建築学部ガウディ記念講座
後援:スペイン大使館、J-WAVE、セルバンテス文化センター東京
協賛:木下グループ 株式会社木下工務店
協力:サグラダ・ファミリア聖堂建設財団、聖家族贖罪教会文書館、カタルーニャ財団 ラ・ペドレラ、アイティープランニング、日経BP社、ローソンチケット、エールフランス航空
メディアパートナー:アメーバピグ、Antenna
監修:ジャウマ・サンマルティー(カタルーニャ工科大学バルセロナ建築学部ガウディ記念講座所長)
日本側学術監修:鳥居徳敏(神奈川大学教授)
展覧会公式ナビゲーター:光嶋裕介(建築家)