■アートワーク、MV、曲名もとことんミステリアス。
神秘度:★★★★

さて、ここでFKAツイッグスの作品を並べてみると、デビューEP『EP1』、アルカと組んだ2作目『EP2』、そして豪華コラボレーターを迎えたデビュー・アルバム『LP1』……と、作品のタイトルが思わずツッコミを入れたくなるほどシンプル。どんな想像を膨らませる余地も与えないような、そしてそれが逆に想像力を掻き立てるような……不思議な効果を生んでいる。一方、MVは凝りに凝っていて、本人の首が関節の可動域を越えてカタカタと揺れ動いたり(“Water Me”)、口の中に指を突っ込まれたり(“Papi Pacify”)、体が溶けてぐにゃぐにゃ変形したりと(“How’s That”)、エクストリームな表現を追究。また、初期からの相棒にして、アルカとのコラボでも知られるロンドン在住のアート作家ジェシー・カンダ(12歳まで逗子に住んでいたそう)が手掛けたアートワークもその雰囲気を増幅。アーティスト写真で自分を縄で縛ったりする本人の奇抜なアート志向も手伝って、価値観を倒錯させ、ものごとの本質をえぐり出すような魅力が随所に広がっている。この辺もやはり、自分の肉体を使って様々なものごとを表現するアート=コンテンポラリー・ダンスなどを得意とする彼女ゆえなのだ。

FKA twigs -“Water Me”

次ページ:【アヴァンギャルド×エロティック。官能的な歌詞も魅力!】