――それには何かきっかけがあったんですか?
何かがあったわけではないですけど、鬼龍院くんやFukaseくんと友達になってから、そういう風に思い始めたところはあるかもしれないです。僕らみんな歳が近いんですけど、彼らってオリコンチャートの1位を取ってるじゃないですか? それもあって、「自分も頑張らないと」って。Fukaseくんとは月イチで2時間ぐらい電話してるんですけど(笑)、話を聞いてると「ああ、色々考えてるんだな」と思ったりするんですよ。僕は僕で、彼がいかないクラブシーンの話をしたりして。友達が増えたなって思いますね。だから今回のアルバムには、ダンスチューンもあるけど、ギター・サウンドもあって、色んなタイプの曲が入ることになりました。最近の僕の音楽しか知らない人は驚く部分があるかもしれないですけどね(笑)。
マナーとしては取り入れますけど、僕はもうダンスミュージックを作ろうとはあまり思っていなくて。もちろん、トラップとかジュークも好きだし、今回も“ファンタジア”とか“Dear You”とかにはEDMのエッセンスを取り入れたりしてますけど、たぶん、11年に“Tell Your World”を作った時ぐらいから、ダンスミュージックに固執せずに、ポップで歌いやすい曲を作ろうという風に意識が変わったと思いますね。僕はダンスミュージックと言ってもテクノをずっと聴いてるような人間ではなかったし、UKロックも好きで……オアシスなんて凄く好きだったし、結局は歌モノがずっと好きだったんですよ。
それに、DJをやっていてもそうなんですけど、歌モノがかかったら一番盛り上がるじゃないですか。そういう光景を現場で沢山見て、「そりゃそうだな」って(笑)。それなら歌モノが作れるんだから、そっちに焦点を当ててみようって凄く思ったんです。
livetune adding Fukase(from SEKAI NO OWARI)-“Take Your Way”
――完成に向けたターニングポイントのようなものを感じた瞬間はありましたか?
ずっと暗中模索でした。そもそもボーカルの人にオファーを出して、実際に歌ってもらえるかどうかも分からない状態で進んでいたんで、最後までどうなるか全然分からなかったです。今回のアルバムはトータルコンセプトもなかったんですよ。
――曲ごとにやりたいことをやって、それをアルバムとしてまとめちゃえ、と。
そう。だからアルバム全体を聴けたのもすごく遅くて、7月とかで。それでようやく、自分でも「ああ、こういうアルバムなんだ」って分かった部分があって(笑)。
――では、タイトルやアートワークについてはどうでしょうか。まずタイトルの『と』は「adding」のことですね? アートワークではその『と』が将棋の「と金」になってますが、これは様々な人とコラボレーションして曲が「と金」になる……という?
タイトルはその通りで、「with」という意味の「と」ですね。本当に大変だったけど、楽しかったし、終わった後も関係が続いてる人がいるんで、そういう意味ではよかったなぁと思います。でもアートワークを「と金」にしたのは、実はもっとアグレッシブな意味なんです。ヒップホップマインドで言うところのメイクマネー的な、成り上がってやるぜって意味で。要はドン・キホーテに置かれたいって話と同じなんですけど、僕は、自分が出てきたインターネットで人気を集めて……という経緯って、完全に「歩」だと思ってるんです。音楽を始めた頃ってまだ学生だったし、それこそ「歩」ですよね。でも、そこから色々仕事をしたりして、もう7年ぐらいやってきて思うんですけど、やっぱり敵陣に切り込んでいかなきゃいけないなって思ったんですよ。少なくとも僕はそうしたいし、そこで「と金」になりたい。そういうマインドで活動を続けて、いつかそうなれたらいいな、と思いますね。
――最後に、kzさんの今後の目標があれば教えてください。
僕は東京ドームでやるとか、武道館でやるとか、そういう具体的な目標を掲げるのが好きなんです。だから具体的なもので、その上夢はでっかくですね(笑)。海外でもLAで色々やってみたいなと思いますし、ベルギーの<Tomorrowland>にも出てみたいし。そうやって色々とやっていけたら嬉しいですね。
(interview&text by Jin Sugiyama)
livetune “addingシリーズ” Full Album『と』クロスフェード
Event Information
livetune コラボアルバム“と“リリース記念 「豪華ゲスト・トーク&プレミアムDJライブ」
2014.09.10(水)@六本木ニコファーレ
OPEN 19:00/START 19:30
※ニコ生はOPEN 17:30/START 18:00
LINE UP:livetune、Yun*chi、やのあんな、岩田アッチュ&稲寺佑紀(from ニルギリス)、鬼龍院 翔(ゴールデンボンバー)、三代目パークマンサー
Release Information
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