■ 歌モノ志向、生バンド志向を強め、名実ともに絶頂期へ

ニューオーダーやペット・ショップ・ボーイズのようなシンセ・ポップに傾倒し、デペッシュ・モードからも強い影響を公言しているロイクソップの2人だが、より「歌モノ志向」「生バンド志向」が強まったのが2ndアルバム『ジ・アンダースタンディング』(05年)である。アメリカのマルチ・アーティスト=チェロニス・R・ジョーンズを迎えた“49 Percent”や、先日解散を表明したスウェーデンのエレクトロ姉弟、ザ・ナイフのカリン・ドレイヤーが客演した“What Else Is There?”のようなフィーチャリング曲以外にも、スヴェインとトルビョルン自らがヴォーカルを務めたトラックも収録され、新境地を切り開いた。同年、再び<フジロック>で来日した彼らはジェダイのような衣装でステージに降り立ち、レッドマーキーの外までパンパンに膨れ上がったオーディエンスをアゲアゲのバンド・セットでノックアウト。熱気でサウナ状態と化したフロアの光景は伝説として語り継がれているが、翌年には初のジャパン・ツアーも行い各地でソールドアウトを連発。当時の彼らは、名実ともに絶頂期を迎えていたといっても過言ではない。

Röyksopp -“What Else Is There?”

少しのブランクを経て、ロイクソップは2年連続となるフル・アルバムをリリースする。09年の『ジュニア』と、10年の『シニア』だ。タイトルからも連想できるように、「光と影」とも言える対照的な作品で、前者はパーラメントを大胆にサンプリングした先行シングル“Happy Up Here”を筆頭に、彼らの「ヒップホップ愛」も伝わってくる全編ポジティヴなエナジーに満ちた作品。後のソウルメイトとなるシンガー・ソングライターのロビンや、先述のカリンはもちろん、トロムソの大御所アンネリ・ドレッカーやリッキ・リーら豪華な女性シンガーたちを招き、なんと“Vision One”では大沢伸一&チバユウスケが手がけた信近エリの楽曲“Sing a Song”を英訳カヴァーするサプライズも。いっぽう後者の『シニア』ではグッと音数を絞り、インストゥルメンタル寄りのダークで内省的なアンビエントを展開。商業的には過去3作ほど振るわなかったが、ロイクソップの新たな魅力を引き出した1枚としてファンの多いアルバムだ。

Eri Nobuchika – “Sing a Song”(eng subs)

憧れのデペッシュ・モードやレディー・ガガ、キングス・オブ・レオンらの楽曲リミックス、夜聴きコンピ『レイト・ナイト・テイルズ:ロイクソップ』(13年)などへの参加を経て、昨年末には新曲“Running To The Sea”と“Something In My Heart”を発表。さらに今年5月にはロビンとの連名プロジェクト=ロイクソップ&ロビンを始動し、ミニ・アルバム『Do It Again』をリリースした。イギリス、アメリカ、ドイツ、スウェーデン、オランダ、カナダ、そして日本でiTunesエレクトロニック・チャートを総なめにしただけでなく、フェスティバル出演を含むジョイント・ツアーも各地でソールドアウトを記録し、いよいよロイクソップは再度シーンの最前線に踊り出ることになる。

【新作記念】<フジロック>出演から早5年。ロイクソップの歴史をいま、振り返る! music141107_royksopp_sub3

Röyksopp&Robyn

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