11月21日(金)原宿アストロホールにて、北欧の新進気鋭アーティスト5組が一堂に介したライブイベント<北欧MUSIC NIGHT>が開催された。今年が開催4回目となる同イベントの会場には、寒雨にも関わらず多くのオーディエンスが押し掛けていたのだが、雰囲気から察するところ、その半数近くはおそらく北欧出身の外国人なのだろう。まるで海外のライブハウスのような情緒が漂っていたのが印象的であった。
多種多様なジャンルのアーティストたちがステージを繰り広げる中、オーディエンスたちの熱い歓声と拍手を受けて颯爽と登場したのが、デンマーク出身の女性シンガー・ソングライター、ナビア(Nabiha)だ。2013年にリリースされた(日本では今年4月に発売)最新アルバム『マインド・ザ・ギャップ』が、自国のラジオ・エアプレイ・チャートNo.1 を記録し、プラチナムセラーを獲得。「Billboard」や「BBC Radio」といったUKやUSのチャートの各部門でも首位をマークし、多くのアワードにノミネートされた彼女は既に北欧では周知のスターであるようだ。
ロック、エレクトロ、R&B、ヒップホップ……多様なジャンルを飲み込んだカラフルな音楽性は、キーボードにドラムというシンプルなセットながら遺憾なく発揮され、表現豊かなヴォーカルとキレのあるパワフルなパフォーマンスが会場を揺らす。明るくチャーミングな彼女のキャラクターも相俟って、終止会場はポジティブかつエナジェティックな空気に包み込まれていた。Qeticは今回が初来日だと言う彼女にインタビューを敢行。大ヒットとなった『マインド・ザ・ギャップ』について、自身の音楽観や日本へ抱いた印象などを語ってもらった。
Nabiha – “Mind The Gap”(Official Video)
Interview:Nabiha
——初めて訪れた日本の印象はいかがですか? 観光はしました?
美味しい食事とお酒を堪能できたし、空いた時間でショッピングもできたし、日本で私の音楽と関わっているレーベルのスタッフたちとも会うことができて、すっごく幸せよ。今回3日間だけの滞在なんだけど、全然時間が足りないわね。もっと長くいたいって心から思うわ。日本は昔からずっと強い憧れを抱いていた国なの。小学生の頃、自由課題のブックレポートで日本について書いた位よ。それに私の叔母は日本人とスウェーデン人のハーフなの。日本とは縁があると思ってるわ。今回は短い期間だけど来られて本当に嬉しいし、(日本の)ファッションも食べ物も住んでいる人も最高!
——今回ナビアさんは、北欧のアーティストとしてイベントに出演されたわけですが、現在の北欧ミュージックシーンって一体どんな感じなんでしょうか?
北欧も他の国々と同じように、ヨーロッパやアメリカといった巨大な音楽マーケットの影響は受けているわ。EDMや最新のポップスはもちろん流行っているし、アーバンシーン(ヒップホップ・R&Bシーン)も当たり前のようにそういった音楽とミックスされているしね。私の故郷、デンマークも同じよ。でもね、良く言えば今ってどんな音楽もジャンルを超えてクロスオーバーしやすい時代になったんだと思うの。そしてそれは私が求めているスタイルだとも言えるわ。
——『マインド・ザ・ギャップ』も色々なジャンルがクロスオーバーしたカラフルな作品ですよね。自身ではどんな作品だと感じていますか?
私は自分の音楽のことを“ポップミュージック with ハート”って形容しているの。特定のジャンルにカテゴライズしたくないし、やりたいことを何でもやっていきたいから、幅広いジャンルを包括した“ポップミュージック”って言葉を使っているんだけど、作詞作曲をする上で大切にしているのは、自分の人生で起こった出来事、自分の思っていることやフィーリングによってインスパイアされたものを常に書き留めて、それを歌詞や曲にするって作業なの。両親も色々な音楽を聴いていたし、私もそうやって育ってきたのから、ジャンルへのこだわりはないわ。歌を始めた頃からロック、ハウスミュージック、ジャズっていった異なるジャンルのバンドで歌っていたしね。好奇心旺盛だから常に色々試してみたいと思っているし、そんな風にして今まで音楽をやってきたものだから、必然的に今回の『マインド・ザ・ギャップ』もその延長線上にある作品だと言えるわ。
Nabiha – “Ask Yourself”(Official Video)
——辛口で有名な人気ブロガー、ペレス・ヒルトンがブログの中であなたの作品を絶賛していましたよね。
私多分その記事見てないのよね……。でも彼みたいな有名なブロガーが私の作品をフィーチャーしてくれたことはすごく嬉しいし、ありがたいことだわ。私の音楽をより多くの人に知ってもらう機会を与えてくれたわけだしね。そうそう、実はペレスとはテキサスで会ったことあるんだけど、すごく面白いナイスガイだったわよ。
——面識があったんですね! ブログ記事は見ていないとのことですが、彼はその中でビヴァリー・ナイト、ルトリシア・マクニールの名前を挙げた上で、貴方の作品を「90年代後期のサウンドを彷彿させる」と形容していました。これについてはどう思いますか?
彼に限らず、私の音楽を取り上げて「これは○○だ」って感じで様々な表現をしてくれる人たちはいるんだけど、私自身はそこまで深く気にしていないの。その意見に賛成だろうが、反対だろうがね。私の音楽はそもそも色々なジャンルをミックスしたものだから、色々な捉え方ができて当然だと思うし。だから何とも言えないところね。