ジャズアレンジでメタルの名曲をカヴァーする……そんな斬新かつユニークなコンセプトによるジャズトリオ、New Heritage Of Real Heavy Metalのデビュー・アルバムが先日リリースされた。

今作には、元メガデスのメンバーであるマーティ・フリードマンやアングラのキコ・ルーレイロといったスーパープレイヤーからも熱い絶賛のコメントが寄せられている。

ディープ・パープルからベビーメタルまで。時代性もジャンルもバラエティーに富んだ収録曲は、ジャズの即興性が加わったことによって、新たな輝きを放ちつつも、原曲のメロディーやフィーリングはキチンと残した、まさに「メタルマナーに乗っ取ったジャズカヴァー」となっている。メタルファンには勿論のこと、普遍的なロックミュージックのアルバムとしても、幅広い層にオススメを出来るアルバムなのだ。

本プロジェクトの中心人物が、数多くのオリジナル作品を世に送り出している西山瞳さん。有名ジャズピアニストである彼女が、どうしてジャズによるメタルカヴァーに挑戦しようと思ったのか?

西山さんとメタルの出会いは、高校生の頃にまで遡るという。それまで学んでいたクラッシックピアノに対する反発から、学生時代はヘヴィメタルのギターサウンドに惹かれたという西山さんに、アルバム製作やメタルに対する思い入れについて聞いてみた。

『New Heritage Of Real Heavy Metal』PV NHORHM

Interview:西山瞳

ジャズピアニスト西山瞳がメタルに注ぐ愛。アルバム制作への想い interview151026_nishiyama_6

——先ずは、『New Heritage Of Real Heavy Metal』のいきさつを教えていただけますか?

今年の頭に、イタリアの有名ジャズピアニストが日本のアニメソングをカヴァーしたアルバムを出したんです。そこから、周りの人たちと「アニメソングのカヴァーって色々あるけれど、私はアニメタルUSAが良かった!」という話になって。もうその30分後には「じゃあ、逆にジャズでメタルをやりましょう!」となりました(笑)。アニメのカヴァーじゃなくて、メタルのカヴァーをやりましょうという流れになったんです。

——メンバーは、どのような経緯で集められたのですか?

元々、それぞれがセッションを行っていた顔なじみのミュージシャンではあったんです。ベースの織原(良次)くんはすぐに決まったのですが、ドラマーはさすがに探しましたね。私が選んだメタルの楽曲が分かるような年代が近い人じゃないと、なかなか出来ないかなと思って。それに、コンテンポラリー・ジャズにするのに感性の近い人じゃないと難しいということで、最終的にドラムは橋本(学)さんが良いなということになったんです。

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織原良次

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橋本学

——ジャズのプレイヤーとしては勿論のこと、感性や年代も近しい方々に声を掛けられたという感じですか?

皆、2、3歳ぐらいしか年齢が変わらないので、大体、楽器を始める時にミスター・ビッグを演奏していたりとか。そういうフィーリングやムードを共有できるメンバーじゃないと……というのが第一にあったので、同世代で探しましたね。

——今回の収録曲は、西山さんが選曲をされたそうですが、メタルの名曲でも年代的に満遍なく曲が選ばれていますよね?

そこは意識しました。レインボーかブラック・サバス、ディープ・パープルは絶対に入れようと思いましたね。

——メタル、ハードロックの原点的なバンドということですね。そこからスラッシュメタルがあり、プログレがあり、ジャンルもバラエティーに富んでいます。

そこに関しては、結果的にそうなった感じですね。私は、イングヴェイ・マルムスティーンが好きなので、そういった王道メタルに偏り過ぎないようにはしました。

——ディープ・パープルとレインボーが一曲ずつ収録されていますが、やはりリッチー・ブラックモアはお好きなんですか?

完全にイングウェイの流れです! (収録曲の)“In the Dead of Night”と“Demon’s Eye”はイングウェイのカヴァー・アルバムで最初に聴いているので。イングウェイから辿って、色々聴いていましたから。

——そのエピソードからもメタルへの愛が伝わってきます! アイアン・メイデンをカヴァーするにしても、“撃墜王の孤独”のような超有名曲ではなく、“Fear of the Dark”を選んでいらっしゃいますよね?

他にも色々聴いていたんですが、今聴くと、この曲のメロディーは、とても強いなと思って、わりと最初に選んだんです。本当は、大合唱するところも入れたかったんですけど(笑)。

Iron Maiden – Fear Of The Dark

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