先日妙なことに気がついた。
私の知っているマイバスケットの店員さんは
どこも口数が少なく虚ろ目な店員さんが多いことだ。
元気爛々で余計なことをしそうな店員さんを見た記憶がない。

近所のマイバスケットには2つのレジがある。
5.6人並べば十分行列に感じられる程の狭い店内。

先日買い物へ行ったとき、いつものおばちゃん店員さんが迎えてくれた。
何もいつもと変わらない。

まずは入り口に近い野菜コーナーを眺める。
商品の確認でもしているのか私のすぐ後ろにはおばちゃん店員さんが立った。
私は奥の乳製品のコーナーへ。
またしても後ろにおばちゃん店員さんが 立った。
しかし私は昔から勝手な想像をしすぎる癖があることを自覚している。
例えおばちゃん店員さんの目が泳いでいようと、気にしないことにし、
さらに奥にある飲料コーナーへ。
しかし今日はいつもと少し違う。
またしても後ろにおばちゃん店員さんが立ったのだ。
私が移動すればおばちゃん店員さんも移動し後ろに立つ。
動き方も少々個性的でちょこまかちょこまか動き回っている。
それははまるでGメン。

確かに私はスーパーの中で献立を考えるタイプで店内での滞在時間はいつも長めだ。
そのうえそれなりの頻度通っているのだから怪しまれても仕方がないのかもしれない。
だがそれにしても露骨な付きまとい方だった。

(そうそう、そのおばちゃん店員さんは雰囲気がオオタスセリに似ている。)

次の日、そんな出来事も忘れいつものように例のマイバスケットへ。
テレビでキウイが体にいいという情報を知りすぐに影響された。
キウイをかごに入れ、その他納豆やかいわれ大根、ヨーグルトなどいつものものを買ってレジへ。

よくみると私のレジの店員さんは昨日のGメンこと、おばちゃん店員さんだ。
だがなんとなくいつもと違う。
よくみると左目が心配になる程真っ赤に充血していたのだ。
一体どうしたんだと喋ったこともない相手のことが気になって仕方のない状態になった。
目が見えにくいのかレジ打ちがやたらゆっくりだ。私は急いでいないから構わないのだが
それにしてもとても心配になるスピードだった。
とはいえよく考えてみると私は昨日万引き犯として追われてたかもしれない身だ。
それなら慎重になる気持ちも分からなくないなと納得した。

すると、左目だけがやたら赤いおばちゃん店員さんが
「このキウイどうも痛んでるわね。相当悪そうにみえるけど他にいいのなかった?」と私に話しかけてきた。
まさかの展開だったがその表情があまりに優しいので、先に疑問が湧いたてきた。
昨日の行動は一体なんだったのかと。
しかし、そんなことを今考えるべきではないと思いすぐその疑問に蓋をした。

「あ、そうですかね!ありがとうございます、ちょっと他見てみます!」
なぜか照れたような返事をしてしまった。
自分でもよくわからないが、湧いた疑問に慌てて蓋をしたもんだから頭の中が散らかってしまったのだろうか。

テレビは今でも私たちに与える影響はすごいらしい、実はキウイは2個だけしか並んでおらず
そのうち大きくてほどよく熟して甘そうな方のキウイを選んでいたのだ。
しかし左目だけがやたら赤いおばちゃん店員さんからすれば
私は万引き犯なのかもしれないのだから
これは友好的にGメンとの距離を縮める千載一遇のチャンスであり、
なによりも私は「いえ、このキウイでいいんです。」と答えられるタイプの人間ではない。

レジからUターンさせられた大きくてほどよく熟して甘そうなキウイと、
ぽつんと陳列された少々小さく硬そうなキウイを交換し、レジへ戻った。
その間約5秒くらいだが、私の後ろにはすでに3人程並んでいる。
これは左目だけがやたら赤いおばちゃん店員さんも余計なこと言わなければよかったと
後悔してるだろうなと素早くキウイを差し出した。

「これがよさそうだった?」
背の低い左目だけがやたら赤いおばちゃん店員さんが熱のこもった真剣な眼差しで聞いてくる。
あまりにもまっすぐな眼差しで目をそらしたくなるほどだった。

「はい、多分これが一番おいしそうでした!ありがとうございます!」

理想より甘くなさそうなキウイを買ってしまったことなんてすぐに忘れて
左目だけがやたら赤いおばちゃん店員さんのことで頭がいっぱいになった。
あの人の人生を勝手に想像し、嬉しくなったり悲しくなったりを繰り返しながら家に帰った。
(オオタスセリと似ていると気づいたのは確かこの頃。)

帰宅後はだらだらと過ごしiphonをいじる。
そのうちに左目だけがやたら赤いおばちゃん店員さんの存在は少しずつ薄くなっていった。
数時間して冷蔵庫に入っているキウイを取り出しスプーンですくって食べた。
今年食べたキウイの中でトップ3に入るほど甘く美味しかった。
一瞬頭の中で存在の薄くなっていた左目だけがやたら赤いおばちゃん店員さんのあの眼差しを思い出した。
記憶の中でもあの眼差しの威力は衰えないもので目をそらすように余計な事を考えた。
“残されたもう一個の大きくてほどよく熟して甘そうなキウイは
このキウイよりもっと美味しかったのだろうか” と。

だがすぐにキウイの甘さなんてもうどうでもいいと思った。
Forget about the Price Tag 。
たった93円のキウイが私をこんなに味わい深い出来事に巻き込んでくれたのだ。

MAHARU/カルロスまーちゃん
https://twitter.com/muuushu

 

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