VR/AR技術を筆頭にした先端テクノロジーが広く世の中に浸透しつつある今日この頃。日本で生まれた大注目のARスポーツ『HADO』はもうご存知だろうか?
『HADO』とは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とアームセンサーを装着して手から放出する「エナジーボール」を使って、3対3で対戦する最先端のテクノスポーツ。1セット80秒間の中で、シールドなども駆使しながら、エナジーボールで相手のライフを破壊して多くポイントを獲得したチームが勝利となる。
今年に入ってからは選手がエナジーボールの速さ、大きさ、チャージ時間、シールドの有無を個別にカスタマイズすることで、より深い戦術戦も実現可能に。AR(拡張現実)ならではの可能性とスポーツの競技性とを兼ね備えた、まさに“未来のスポーツ”として話題を呼んでいる。
HADO WORLD CUP 2017
その『HADO』にとって一年に一度の祭典<HADO WORLD CUP 2017>が、12月3日(日)に開催される。この大会は国内外の各大会を勝ち抜いた猛者たちが集結し、賞金総額300万円と世界の頂点を目指す『HADO』のワールドカップ。第一回開催となった昨年はランニングクラブが優勝し、アイドル・シーンで人気を集めるバンドじゃないもん!が3位になったことも話題になった。
果たして、今年はどんなドラマが待っているのだろう? Qeticでは今年の大会に向け、個性溢れる3チームに連続取材を敢行! 第一回は<HADO WORLD CUP 2016>で準優勝した強豪で、配信番組『HADO部』も配信しているSLAMDIVAから、SHEARTさんと佐々木淳平さんに話を聞いた。
普段はアイドル、声優、シンガー、ラッパーとして活動する面々が集まったSLAMDIVAは、春の<MHADO SPRING CUP 2017>で優勝して今年の出場権を獲得。昨年惜しくも決勝で敗れた彼らの、今年の目標とは!?
Interview:SLAMDIVA(SHEART&佐々木淳平)
——まずはSLAMDIVAの自己紹介をお願いします!
SHEART SLAMDIVAは5人+マネージャー1人の6名で活動しています。普段はそれぞれが音楽活動や声優活動をしている人間の集まりで、全員が「DivA Effect Project」(ポニーキャニオンによるソロヴォーカリストによるアニソンカヴァー企画)にかかわっているメンバーなので、そこからDivAという名前を取りました。それに加えて、週刊少年ジャンプの『SLAM DUNK』から「SLAM」を取って「SLAMDIVA」というチーム名にしています。実は、書体もほぼ『SLAM DUNK』に合わせているんですよ。去年の<HADO WORLD CUP 2016>で2位になったり、<超人スポーツゲームズ>(スポーツとテクノロジー、文化を融合させた新領域のスポーツの大会)でいい成績を残すことが出来ました。
——みなさんが『HADO』を知ったきっかけはどんなものだったんですか?
SHEART もともと、僕とぴよひなは共同で仕事をすることが多かったのですが、その中で、幕張メッセで行なわれた<CEATEC 2016>で『HADO』を体験して「これは面白れえぞ!」と思ったのがはじまりです。そこでいい成績が残せたこともあって、部長がその気になってしまったんですよ(笑)。
それで、運動神経のいい、もしくはゲームに長けている、さきはまりみこと佐々木淳平を加えた4人組で<HADO WORLD CUP 2016>に出場し、世界2位になりました。萱沼千穂はその後僕らが活動していくうちに『HADO』に興味を持ちはじめて、「レッドドラゴン(『HADO MOSTER BATTLE』ドラゴン戦の強敵)を討伐したら入部!」と入部試験を課したところ、それを2回で討伐してしまって……。
「これはすごい」ということでメンバーに加わりました。マネージャーの月永一朗は、彼自身も『HADO』プレイヤーですが、戦術の分析などが好きなところもあり、マネージャーとしてチームを支えてくれています。
——『HADO』はAR技術を使って自らの手からエナジーボールを放つことができるという、まさに夢のようなスポーツですよね。みなさんはどんな魅力を感じましたか?
SHEART 『HADO』はゲーム性も非常に高くて、体を動かすこと自体も気持ちいいですよね。僕としては、好きなツボをすべて押されてしまったような感覚です(笑)。手からエナジーボールが出ることにも感動したし、相手が打ってきたものをシールドで防げるのもロマンを感じました。VR/ARに関しては、もともとぴよひな部長や萱沼千穂がVRゲームに出演していたこともあったりして、やっぱりパソコンアイドルとして活動しているぴよひなの存在が大きかったですね。衣装も女性メンバーのものはもともとぴよひながダンサーも含めて使っている衣装で、それに合わせて男性のユニフォームを決めました。
——メンバーのそれぞれの性格や、選手としての特徴というと?
SHEART ぴよひな部長はチームの象徴的な存在で、僕たちを『HADO』の世界に引き込んだ張本人ですね(笑)。彼女はアタッカーで攻撃的ですが、シングルタスクが得意なタイプで、『SLAM DUNK』で言うなら流川楓です。他のメンバーについては、『SLAM DUNK』に詳しい佐々木淳平が到着したら聞いてみてください(笑)。
さきはまりみこは沖縄出身ということもあって、海と太陽がすごく似合うムードメイカーですね。アタッカーとしての振り幅がかなり広いので、同じアタッカーでも、ぴよひな部長と比べると全体を見渡す得点ゲッターというイメージだと思います。
萱沼は……目で人を殺す人間です(笑)。写真撮影のときにHMDに隠れている顔を横から見ると、まるでスナイパーのような目をしているんですよ……。とはいえ、役割としては守備の要であるシールダーですね。そして、全体を見渡しているもうひとりのメンバーが“アニキ”こと佐々木淳平。アニキはオールラウンダーで、「他の2人がこう動くならこうしよう」と柔軟に動きつつ、どの仕事もまっとうしてくれる人ですね。
——SLAMDIVAさんは様々な戦術に柔軟に対応していくチームというイメージですが、それが出来るのは佐々木さんの存在も大きいということですね。
SHEART その通りですね。まさに柱です。本人がもともと異常なゲーマーということもあって、体力面だけでなく、戦術面でも色々と研究をしてくれるんですよ。そして、そういったバランスがいいメンバーが揃う中で……極端にバランスが悪いのが僕です(笑)。一番プライドが高くて、ケンカになるときも多くの場合は僕がただ暴走しているだけです(笑)。それはプレイスタイルにも出ていて、僕は前線を張って得点を取りまくるタイプですね。
(ここで佐々木淳平が到着)
——今ちょうど、メンバーのみなさんの性格/特徴についてSHEARTさんに話してもらっていたのですが、その中で部長のぴよひなさんは『SLAM DUNK』で言うと流川楓だという話になりまして。他のメンバーをキャラにたとえるとしたら、誰だと思いますか?
佐々木 いきなり難しいなぁ(笑)。僕はもともとバスケ部にいて、湘南の赤木剛憲のようなポジションだったんですが、陵南の仙道彰のような天才肌になりたくて他の練習もしてしまったという感じで。だから、2つを合わせて海南の牧紳一でどうですかね(笑)。さきはまりみこは左利きでオフェンスなので、翔陽のサウスポー、藤真健司。萱沼千穂は……ディフェンスなので山王工業の一之倉聡。そして、SHARTは動きが速いんですよ。謎の速さを持っていて、無駄な動きもあるという意味では、桜木花道なのかもしれないですね。
——SLAMDIVAはどんな戦い方を大切にしていますか? 試合を観させていただいたイメージは、相手の出方をみて戦術を切り替えていくバランス型のチームという印象でした。
佐々木 確かに、そういう戦い方を目指していますね。『HADO』は(相手チームのステータスが試合開始まで分からないため)ジャンケン要素も強いので、それなら「向こうが選んだ戦術に対して、あいこでもできるだけ強いあいこを出したい」ということなんですよ。
——とはいえ、この戦い方は、『HADO』をかなり研究していないと難しいですよね? どんな風に今のスタイルを目指していったのでしょう?
SHEART そこに至るまでに、おそらく大きな転機は2回あって、まずは<超人スポーツゲームス>のときに、どういう攻撃をするかという立ち位置を決めはじめたのがそのひとつですね。もうひとつは、萱沼千穂の加入です。それまではぴよひながシールドを兼任することも多く、SLAMDIVAはアタッカーがメインのチームだったんです。そこにシールド選任の萱沼千穂が入ってきたことで、戦い方の手札が増えたと言いますか。それを生かすことができた結果、<
HADO SPRING CUP 2017>の優勝にも繋がったと思うんですよ。
佐々木 あとは、練習で施設に8時間入って、『HADO』を分析した経験も大きかったですね。僕らはオタクなので、ゲームで「この敵を重点的に倒した方が経験値がもらえる」と効率よくレベル上げをするのと同じような感覚で、その日に「シールドは(エナジーボールの大きさが)1だったら何発当たったら壊れるか、2だったらどうか、3だったらどうか」など、色んなことを研究しました。それを初めてやったのは、たぶん僕らだと思いますね。その結果を見て、「このステータスは必要」「これは捨てていい」と戦術を考えていきました。
——チームによって練習方法も異なると思いますが、みなさんはどんなことを実践していますか?
SHEART たとえばダッシュは練習に取り入れていますね。戦術で補える部分があるとはいえ、『HADO』はスポーツなので、体力はやはり大切です。特に<HADO WORLD CUP 2016>の決勝の相手は走るのが得意なランニングクラブでしたし、体力や瞬発性をつけるためにもダッシュをするようになりました。
佐々木 戦術に関して言えば、自分が得意じゃないパラメーターで練習をしたりもしています。そのおかげで、僕に関しては色んなことが出来るようになったりもしましたね。
——それは先ほどの「ゲームの話」とも繋がるかもしれませんね。たとえば格闘ゲームで、自分のメインキャラ以外の行動パターンや弱みを把握することで、自分の効果的な行動パターンがより見えてくると言いますか。だからこそ、相手によって戦術を変えられるという。
SHEART ああ、それは大いにあると思います。
佐々木 そうですね。実際、シールダーとして練習をしてみることで、その強みも弱みも実感できる部分がありましたから。
SHEART そういう話し合いを、全員で密にすることは大切にしていると思います。
——では試合中、「ここを見てほしい!」というポイントを挙げるなら?
SHEART そうですね……たとえば、試合中の「声かけ」ですね。声かけも含めたチーム・プレイを見てもらえるときっと面白いんじゃないかと思います。それによって戦術も変わっていくので。特に、アニキ(佐々木淳平)の声かけは面白いですよ。
佐々木 仲間の行動を見て「ありがとーう!」とかね(笑)。そんな風に声がかけられているときはいい状態だと思うんですよ。一般的なスポーツと一緒で、ダメなときって、試合中にみんな黙ってる。これはテクニック的な部分ではないかもしれないですけど、メンタル的な部分で動けなくなってくるんです。「アウト!」って言われても「誰がアウトじゃ!?」って(笑)。試合中は、周りの状況を出来るだけ把握しないといけないですから、
SHEART 練習のときだけですが、相手を煽ってアウトにしたりもしていますね(笑)。「アニキ、アウト! ありがとうございまーす!」とか。声かけもSLAMDIVAの特徴です。
佐々木 実際、本格的に声かけをはじめたのは僕らが最初だったんですよ。マネージャーの月永もコートの外から声をかけてくれて、そのおかげですごくやりやすくなっていますね。逆に、アウトじゃなくても「アウト!」って言ってみよう、みたいなこともありますしね。
——ああ、相手との心理戦でもあるわけですね。
SHEART そうです。ステータスをシールドに全振りして試合をはじめたからといって、そのシールドを使わないことだってあるかもしれないですし。