1963年に創業し、電子楽器の製造やシンセサイザーの開発に早くから取り組み、常に時代をリードする製品を発表してきた事で知られる、株式会社コルグ

近年では、同社から1978年に発売された、アナログ・シンセの名機「MS-20」をミニ・サイズで復刻した「MS-20 mini」や、米ARP Instruments社が1972年に発表した伝説のアナログ・シンセ「ARP ODYSSEY」のミニ・サイズでの復刻と、フル・サイズ・バージョン、「ARP ODYSSEY FS」などの発表が記憶に新しいところです。

DAWやソフトウェア・シンセを使いながらも、往年の名機と言われたアナログ・シンセが復刻され、アナログ回路を搭載した新世代のシンセも次々と登場し、使われるようになってきた現在の音楽制作環境。今回、それらの機器を接続して自在にコントロールできる、とても便利なハードウェア・ステップ・シーケンサー、KORG『SQ-1』をご紹介したいと思います。

かつてKORG「MS-20」を自動演奏するために使われていた、アナログ・ステップ・シーケンサーの「SQ-10」という製品がありました。「MS-20 mini」が復刻されたのに合わせ、「SQ-10」を最新の技術で大幅に改良し、復活させた物がKORG『SQ-1』なのですが、本製品は実用的でありながら、アナログ・シンセと接続して鳴らすと抜群に面白いのです。

コストパフォーマンス最高のステップ・シーケンサー、KORG『SQ-1』でアナログ・シンセをコントロールすると抜群に面白い technology180220_sq1_02-1200x802

こちらがKORG『SQ-1』です。本製品は豊富な接続端子を装備し、新旧を問わず、様々なメーカーのアナログ・シンセに接続でき、MIDI端子が付いているシンセサイザーや、ソフトウェア・シンセ、同社から発売されている「Volcaシリーズ」、「Little Bits」などと接続して、幅広い機器をコントロールする事ができる、最新式のステップ・シーケンサーです。

黒い板金製のボディーに、白い文字や線が描かれた『SQ-1』のルックスは、「MS-20」シリーズと同じカラーリングなので、一緒に使えばとても良くマッチします。コンパクトに作られたボディーは、ずっしりと重みがあり頑丈に作られています。

16個の「ステップ・ノブ」と「ステップ・ボタン」を操作してパターンを作る

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まず、操作パネル正面にズラリと並んだツマミとボタンが目を引きます。DAWを使って曲を作る時は、鍵盤を弾いてMIDIデータを入力するのが一般的ですが、『SQ-1』では「A」、「B」と書かれた、計2チャンネルの8ステップ・シーケンサーが搭載され、計16個の「ステップ・ノブ」と「ステップ・ボタン」を操作してパターンを作ります。

その操作方法はとても感覚的で、ループ再生しながら「ステップ・ノブ」を1つずつ指で回して音階を設定し、「ステップ・ボタン」を押して発音するタイミングを決めて、好みのパターンを作ります。これらの「ステップ・ノブ」、「ステップ・ボタン」は赤く光るので暗い場所でも視認性が良く、再生すると順番に光りカッコいいです。

ファンクション・ボタンを押すと、ステップ・ノブの音階を変えて鳴らす事ができ、そのままの音程か、メジャー、マイナー、クロマチック・スケールの4つ音階から選ぶ事ができます。

「SEQUENCER MODE セレクター」で、様々な動きのシーケンス・パターンを選択できる

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左上の「SEQUENCER MODE セレクター」を回すと、シーケンス・パターンが様々な動きに変化します。

どのような動きかと言うと、「A列」と「B列」が順番に再生され、16ステップで動いたり、「A列」と「B列」が同時に再生され、8ステップで動いたり、右端まで行った後、折り返して左に戻って来たり、「A列」と「B列」が1ステップごとに交互にギザギザに進んだり、ランダムに再生されたりと、様々な動きのバリーションを選べます。

通常、DAWのシーケンサーに打ち込みをすると、左から右に向かってパターンが再生されますが、『SQ-1』は、この「SEQUENCER MODE セレクター」で色々な動きを選択でき、それによって予想していなかったパターンが飛び出して来る事もあります。意図的に曲を作ると言うよりも、パターンを鳴らしたままにして、思いつきで操作する事で、カッコいいフレーズが姿を現すのがとても面白いです。

筆者の気に入っているモードは、「A列」と「B列」が同時に再生され、16ステップで動くパターンです。このモードにすれば、『SQ-1』に装備された2つの「CV・ゲート・アウト端子」から、アナログ・シンセを2台接続し、片方はシンセ・ベース、もう片方はシーケンス・フレーズなど、異なるフレーズを同時に鳴らす事が可能です。

4つのモードを切り替え、即興的なライブ・パフォーマンスが可能

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その下にあります、「MODE/CLEARボタン」は、押す度に4つのモードが切り替わります。本製品を再生しながら、このモードを切り替えて「ステップ・ボタン」を操作し、好みのシーケンス・パターンを作ります。

この4つのモードは、どのような効果かと言うと、「GATE ON/OFF」は、ステップ・ボタンをオン・オフして、発音するかしないかを設定でき、「ACTIVE STEP」は、オフにした箇所は再生されず、飛ばしてフレーズが再生され、「SLIDE」は、オンにすると次のステップにいく時に音が滑らかに繋がり、「STEP JUMP」は、再生中に押した「ステップ・ボタン」に音が飛びます。

いくつかの「ステップ・ボタン」を同時に押せば、その箇所だけがループ再生され変則的なリズムになります。これらの機能をうまく使えば、シーケンスそのものを思いつきでコントロールする即興的なライブ・パフォーマンスが可能です。

「FUNCTIONボタン」を押しながら「MODE/CLEARボタン」を押せば、これらの設定を全部リセットできるので、何度でもやり直しできます。

特に面白かったのは、「SEQUENCER MODE セレクター」で「A列」と「B列」が同時に16ステップで動くモードにした上で、「ACTIVE STEP」モードを使い、「A列」と「B列」のステップ数を意図的にずらして設定すると、同じテンポのまま、違う長さの2つのフレーズがどんどんずれていき、グルーヴ感のあるパターンが簡単に作れる事です。テクノ系のトラック制作や、ライブをする方におすすめの機能です。

豊富な接続端子を装備、様々な機器と接続できる

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『SQ-1』は豊富な接続端子が装備され、様々なシンセと接続できます。

計2チャンネルの「CV・ゲート・アウト端子」から、2台のアナログ・シンセに接続してコントロールできるだけでなく、同社から発売されている「Volcaシリーズ」に接続するための「SYNC・イン・アウト」や、「Little Bits」と接続するための「little Bits・アウト」も装備されています。さらに「USB-MIDI」接続や、ステレオ・ミニ・ジャックの「MIDI・アウト」に、付属のMIDI変換ケーブルを接続すれば、MIDIが付いている機器をコントロールする事も可能です。