有名どころでは小室哲哉ヒャダイン(前山田健一)中田ヤスタカ、最近ではtofubeatsなど、音楽プロデューサーやDJ、演奏者が歌ったりアートディレクションをしたり、なんてことが多い音楽の世界。今回はそんな作曲家・DJ・アーティストなど、ひとつのジャンルにとらわれず、挑戦し続ける先鋭4名をピックアップ。それぞれがどのような経歴でマルチアーティストになったのか、リサーチしてみました。

小袋成彬

音楽を作り、つなぎ、歌う……。挑戦を続ける若手新鋭マルチアーティスト特集! music180221_newartist_01-1200x1798

大学在学中にR&BユニットN.O.R.K.を結成した小袋成彬は、ユニット解散後、インディーズレーベルの〈Tokyo Recordings〉を設立し、これまでに綿めぐみやCapesonなど、ジャンル問わずさまざまなアーティストの楽曲を手がけてきました。

綿めぐみ – 災難だわ

また、水曜日のカンパネラOKAMOTO’SきゃりーぱみゅぱみゅKeishi Tanaka、OBKR名義で環ROYなど、アーティストの作品にも多く携わってきました。そんな小袋成彬がついに1歌手としてデビュー。彼がデビューシングルとして歌っちゃった楽曲が、宇多田ヒカルプロデュースの“Lonely One feat.宇多田ヒカル”。アーティストに寄り添うことで作り出されてきた小袋成彬の“音楽”が、宇多田ヒカルという“音楽”に包まれ、新たなアーティスト“小袋成彬”が形作られたかのよう。

「人の曲をプロデュースすることをやっていたけれど、アーティストと一緒に抱えている問題に寄り添って音楽にしていくことをやりたかった、しかし創作と販売はまったく違くて自分は売れる曲を作りたいのではなくて、その人の音楽ではいけない何かを作りたいとおもった。だからまずは自分でやってみよう!と曲を作った」(下記Youtubeより)

そう語るように、没頭し、挑戦し、全身で“音楽”と向き合い続けてきた小袋成彬だからできるような、今後の楽曲にも期待していきたいところです。

小袋成彬インタビュー ~ 宇多田ヒカルプロデュースで話題のアーティストの創作のルーツとは【SPACE SHOWER NEWS】

YONYON

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Qeticのコラムニストでも知られるYonYon。ソウル生まれ東京育ちという個性的なバックグラウンドからはじまり、DJ、トラックメーカー、SSW、プロモーターなど数多くの肩書きを抱える、まさに“マルチアーティスト”そのものです。そんな彼女は2016年からは海外と日本・韓国を繋げるためのブッキングエージェント“BRIDGE”のプロモーターとしての活動を始動。Interfm897のラジオ番組“Tokyo Scene”のパーソナリティーとして各国のユースカルチャーを発信するなど、日本にいるだけでは知り得ない現地のリアルな情報を、グローバリゼーションを進めるYonYonならではの視点で提供しています。

そんな多忙な彼女ですが、シンガーとしての活動も引き続き継続中。先月baticaでのイベントに出演したYunBとのコラボや、最近では日韓のプロデューサー×シンガーで楽曲を生み出すという新たな試み、 “The Link”の活動の一環として、R&B系シンガーソングライター・向井太一とのコラボ楽曲“Period(過程)”をリリースしました。リリックは日本語と韓国語で紡がれ、つらつらとラップするYonYonと抑揚がありメロディカルに歌う向井太一の歌声が異なる2つの世界という観点で日韓のオマージュとも捉えられる作品となっています。

国と国、人と人、音楽と音楽の新しい見え方を提案し続けてきた彼女だからこそ、それぞれの掛け合わせや描かれる楽曲たちに注目です!

AAAMYYY

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Tempalay呂布(KANDYTOWN)のライブサポートやトラックメイカーとしても活躍するAAAMYYYは、なんでもCAになりたくてカナダ留学→22歳から突然日本で音楽制作を始めちゃったという、なんともアクティブな女の子。ゲストボーカルという裏方ともいえる立場を経験していた印象ですが、その他にもラジオMC、DJ、モデルとしても幅広く活動しており、経歴からそのアクティブさにも納得です。

2017年からはAAAMYYY名義でソロとして活動を開始し、今年2月にはアルバム「MABOROSI WEEKEND」をリリースしました。以前自主制作としてカセットテープで出したものの完全版とのことですが、カセットテープを手作りするそのアナロジーな感覚、ZINEを発行するアーティストたちと似通った独創性を感じます。

その少しあまめなボイスとサンプリングされたような音の展開がマッチし、ポップでキャッチーな、だけど強いエレクトロポップ感を醸し出した楽曲が魅力。留学経験が功を奏したのか(?)、流暢で聴きやすい英語を盛り込んだ、オリジナリティあふれる面白いリリックも注目です。ソロとなったAAAMYYYは、今後どのような活動で私たちを楽しませてくれるのでしょうか?目が離せません!

TENDRE

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バンドampelの河原太朗が数年前から活動を続けているソロプロジェクト、TENDRE。Ampelではベース・ボーカルを担当していますが、ギター、キーボード、サックスなども演奏できるので、Yogee New WavesKANDYTOWNといったアーティストのレコーディングに参加したりと、多方面でマルチプレイヤーとしても活躍しています。SoundCould上ではソロで活動していましたが、レーベルとの出会いやバンドだけに限らない、音楽への思いからソロデビューを実現させました。

TENDRE – DRAMA(Official Music Video)

ソロ名義だから実現できるR&B感溢れるサウンドにampelを思わせるチルみの深い音が聴くひとを魅了します。SoundCouldで活動していた頃は実験音楽とでもいうようなサウンドが印象的だったTENDRE。さらに音を濃密に、展開されていくTENDREワールドは引き続きチェックしていきたいですね。

クリエイティブの自由化が進む中、アーティストという肩書きが多様的に使われるようになってきた昨今。マルチなアーティストたちのさらなる活躍を追いかけるのも、自分のクリエイティブな部分を見出すきっかけになるかもしれません。ぜひ、チェックしてみては?

Text by mine