Kyne(キネ)がAWA公式アカウントにプレイリスト「夜の街をドライブ」を公開した。このプレイリストはKyneが実際に選曲をし、ジャケットは今回のために描きおろしたもの。
Kyneにとっての音楽と絵の関係性とは?
Kyneは福岡を拠点に活動するグラフィティアーティスト。80年代のアイドルやコミック、レコードジャケットからインスピレーションを受け、シンプルな線画でありながら、モノクロで独特の表情を持った美少女の作品が人気を集めている。不定期で個展の開催やアーティストのジャケット、ファッションブランドとのコラボレーションなど、その活動は多岐にわたる。最近だと、福岡の薬院でイラストレーター、NONCHELEEE(ノンチェリー)とのアトリエ兼ショップ「ON AIR」が1周年を迎えたばかり。そんなKyneにAWAでプレイリストを作ってもらい、すこし話を聞いた。
そもそも絵を描き始めたのは、いつからだったのだろう。
「小学生の頃から絵を描くのが好きでした。勉強もスポーツも得意ではなかったので、高校も大学も絵の勉強ができる学校へ進学して。漠然と絵を描く仕事がしたいと思っていたので、大学卒業後も制作と発表を続けていましたね」
Kyne自身、80年代の音楽が好きと聞いているが、その時代の音楽に触れるきっかけはなんだったのか。
「姉が友人から借りてきた氣志團のメジャーデビュー前のミニアルバムを聴いたのがきっかけですね。氣志團を知っていくうちに、歌のなかに使われているオマージュやパロディの元ネタに興味を持って探すようになり、80年代の音楽を聴くようになりました。80年代の音楽には自分が生まれた時代の曖昧な記憶を辿るようで懐かしいような新鮮な気持ちになれるので、アイドルの曲やAOR(アルバム・オリエンテッド・ロック)など、よく聴いています」
80年代の音楽とKyneの作品は具体的にどう関係しているのか聞いてみた。
「80’sアイドルのレコードジャッケットの構図に影響を受けてます。顔のアップを正方形でトリミングしたり、限られたサイズでインパクトある絵を考える上で参考にしています。また音楽を聴いて浮かぶ情景から、こんな絵を描きたいなと思うこともあります」
なるほど。ジャケットの限られたスペースのなかに描くためのヒントやリリックの情景から思い浮かべて描いたりもしているのか。いつも作業しているときに音楽は聴くのだろうか。
「作業中はパソコンやスマートフォンで好きなアルバムをフルで聴くことが多いですね。好きな曲はレコードやCDを買うことが多くて。レコードで持っている曲はデータでも買うこともあります」
初めてプレイリストを作ってみた率直な感想を聞いてみた。
「いつもはアルバムで順番通りに聴くのが好きなので、好きな曲を1曲ずつ並べたときに曲の雰囲気がバラバラで難しかったですね。車に乗ってる描写がある曲や運転中に聴きたい曲をイメージして作りました。ジャケットの作品は、僕が音楽を夜に聴くことが多いので、夜の街をイメージして描きました」
プレイリスト「夜の街をドライブ」は、杏里の隠れた名曲「HE’S MY MUSIC」や庄野真代の「中央フリー・ウェイ」、中森明菜の「ドライブ」など、Kyneらしい選曲でドライブにぴったりの内容となっている。そして、夜の街をイメージして描いたというジャケットは懐かしさや艶やかさがあり、選曲とばっちり合い、Kyneが作ったミックステープのような仕上がりだ。実際にAWAを使ってみて、どうだったか。
「AWAは、そのときの気分で思いついた曲を聴くことができて便利でした。曲によっては歌詞を見れるのもいいですよね。音楽ストリーミングサービスって便利だし、気になったアーティストの曲やレコードを買う際の試聴としても使えそうでよね」
Kyneが言っているように、レコードを買う際の試聴として音楽ストリーミングサービスを使うのはありかも。最後に今後の展望を聞いてみた。
「より大きな作品や空間を使った表現をしていきたいと思っています」
今年も至るところでKyneのアートワークをみる機会が増えそうだ。
Text:Toru Miyamoto