MOURN(モーン)が今年3月に来日するというBIG NEWSが届いた。
決まっている公演は以下の通り。
3月9日(土)@Circus OSAKA
3月11日(月)@新代田FEVER
3月12日(火)@新代田FEVER
MOURN
MOURN – Misery Factory
ここで、改めてMOURNの紹介をしよう。
2015年に〈Captured Tracks〉よりデビュー。当時はフロント・ウーマンのJazz Rodríguez Bueno、ギター&ボーカルのCarla Pérez Vas、ドラムのAntonio Postius Echeverríaは18歳、Jazzの妹でありベーシストのLeiaは15歳。
「きっと気にいるはずだ」とPJ Harveyを父親から渡され夢中になったJazzが高校生の時にCarlaと出会うことをきっかけにバンドは結成へと向かう。そして結成から2年足らずで”驚異の10代”として世界に名を知らしめることになった。
尖ったパンクサウンドと美しいピュアネス。それは昨今一つの大きなムーブメントの成しているShameが象徴するUKのシーンやIceageが象徴するコペンハーゲンのシーンとも共鳴する。2018年にShameがRough Tradeの年間ベスト1位の獲得を灯火のように感じた人は筆者以外にもいるはずだ。スペインはMOURN。間違いない。
MOURN – Irrational Friend
再結成が話題となった日本のNUMBER GIRLの鋭利なサウンドも彷彿とさせるMOURN。
知っている人も知らない人も今回の機会はマストで見逃せないはず。
その理由を3つに分けて述べさせて頂く。
①待望の初来日!
Captured Trucksからデビューし音源が日本にも流通されて以降、MOURNの来日を待ち望んでいた人も多かったはず。そしてなかなか実現しなかったことに涙したであろう。
言うまでもなく海外のアーティストが来日公演を行うのは大変だ。バンドメンバー+バンドスタッフの旅費交通費。会場のレンタル料。日本国内でのプロモーション費用…etc 考えるだけでも頭を抱えてしまう。採算の見込めそうなメジャーアーティストでさえもかなり慎重な判断が必要であるのは想像できる。
ここで思い出すのはMOURNが1stアルバムをリリースした直後にその国内盤の取り扱いをしていたTugboat Recordsも国内盤の売れ行き次第で来日公演を実現させたいとツイートしていたこと。当時それが実現できなかったことも現実的な難しさを物語っている。
2/18リリース!Captured Tracksがサインしたバルセロナ出身、驚異の10代4人組MOURN。来日公演実現には日本盤の購入がサポートになります AMP編集長(@AMP_Music_)照沼さんが解説執筆。対訳付、ボートラ収録https://t.co/cbhPKaFER4
— Tugboat Records (@tugboatrecords) 2015年2月14日
だからこそ来日公演を決断したMOURNと招聘元のDUM DUM LLPはリスペクトすべきだし、その舞台裏には涙ぐましい経緯があったに違いない。
しかも今回は東京の2公演と大阪の1公演と日程的にも観るチャンスが多いのでは?こんな機会はもう訪れないかもしれない。
②バンドの成長を確信させる大名盤、3rd アルバム『Sorpresa Familia』を昨年リリース!
MOURN // Barcelona City Tour
退屈を感じていた学生時代の中でJazzとCarlaが出会い、その衝動の中で生まれた衝撃のデビューアルバム『MOURN』。
モノクロームの世界線に続く美学を更に鋭利でアグレッシブな形に進化させた2ndアルバム『Ha, Ha, He.』。
新作ではどんな進化が見られるか…大きな期待(と少しばかりの不安)を憶えていたリスナーも多いのでは?
MOURNが昨年リリースした3rdアルバムはこれまで傾向として見られたモノクロの世界で語るには尽くせない、”色”を感じられるのではないだろうか? 決してカラフルという意味ではない。デビューから約4年が経過し大人になった。ベーシストのLeia以外はベニューで堂々とお酒も飲める。もっと日常に入り込んでリアリティを感じられる”色”。もちろんMOURNがこれまで築き上げたアグレッシブなサウンドの良さを欠くことはない。バンドの進化を決定付けた最高の1枚となった。
MOURN // Fun At The Geysers
③2018年に欧米での怒涛のツアー。ライブは今最高の出来!
MOURN Live Session at FEEEL (betevé) “DOING IT RIGHT”
3rd『Sorpresa Familia』のリリース後のMOURNは怒涛の勢いでライブをこなした。
7~8月はUS/CANADAツアー。25日間で21本。
10~11月中心のヨーロッパツアーも母国スペインを除いて年間27本こなしている。
母国スペインでも年間10本。
昨年下期を中心にとにかくライブをしまくったのだ。
ARCというスペインの音楽プロモーション会社がBest International Touring ArtisとしてMOURNを選出しているのがそれを象徴している。
Congrats to CT fam @OHMOURN who just won Best International Touring Artist at #PremisARC2018 ! Head over to their Instagram stories for the inside scoop 🏆 pic.twitter.com/CV0s8HQ46Q
— Captured Tracks (@capturedtracks) 2018年12月11日
ツアーの様子はMOURNのInstagramのストーリーズにもまとめているので、是非チェックしてみて欲しい。
タフな日程のツアーだったと思うが、非常に楽しそうにツアーをこなしているとこにもバンドの強さが垣間見られる。
筆者も幸運なことに2018年10月22日にUKのBrightonで行われた公演を観ることができた。
まだ20代前半の若者らしくおちゃめな一面がありつつも、演奏は音源以上にキレッキレ。
若手バンドにありがちな”ライブは微妙だった”みたいな心配はMOURNには一切不要である。
以上、3月のMOURNの初来日公演を観るべき理由を3つ挙げさせてもらった。
今、MOURNを観ないのであればあなたのこの約4年間は無駄なものだったかもしれないし、一生リバティーンズの来日を夢見ていればいい。観たいけど。
大入りのお客さんでMOURNを迎えることがカルチャーの希望。
イケてるやつらは絶対にMOURNを観よう。幸福な1日を迎えるはずだ。
ちなみに、3/9(土)の大阪公演に関しては筆者がオーガナイザーを務めるSchool In LondonがAlffo Recordsと共同で主催。大阪公演はもともと予定が無かったところを急遽やらせてもらうことになり、そこには素晴らしいドラマがあった。その経緯をこちらのブログに記載しているので是非チェックしてみて欲しい。
文章:村田タケル(School In London)
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