ハッカー、マルウェア、ランサムウェアなどは長年にわたり個人のコンピューターや電子化されたネットワークなどをターゲットにサイバー犯罪を繰り返してきたが、なんとデジタルカメラもその標的となっていると専門家が危惧している。

Check Point Researchの研究によると、ハッカーたちは画像転送プロトコルと呼ばれるデジタル・カメラからパソコンなどのデバイスに画像を転送する際に用いられるプロトコルに侵入することができるという。このプロトコルはデジタル一眼レフカメラ(DSLR)に搭載されており、専門家によるとハッカーたちはマルフェアを使用して写真ファイルを手に入れ、身代金を要求してくるという。

Ransomware on a DSLR Camera|Latest Research from Check Point

また、カメラは常にインターネットに繋がっているわけでないにも関わらず、それらは非常に感染しやすく「元来、画像転送にフォーカスしていたプロトコルは、機能が進化するとともに多くのコマンドやライブ写真など、カメラのファームフェアがアップグレードされた」ことによると上記の動画内で語られている。

セキュリティー研究家のEyal Itkinによると、デジタル一眼レフカメラはWiFiに接続可能であることから、他のスマートデバイスと同様にサイバーアタックに遭いやすいとのこと。「WiFIに接続することは、ハッカーたちにとって、カメラと接続しているPCの両方にランサムウェアを投入することを容易にし、結果的に身代金を払うまでその写真で脅されることになる」とItkinは語る。Check Point Researchはキヤノン EOS 80Dでテストをした結果を発表しているが、それはすべてのデジタルカメラにおいて言えることだ。

ハッカーは、デジタルカメラもハッキング可能に。身代金を要求される事件が全国各地で発生 art-culture190814-camera-hacker
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この研究結果から、キヤノンは声明を出し、ユーザーたちに安全でないフリー、もしくは公共のネットワークにカメラを接続しないこと、感染が考えられるデバイスには接続しないこと、またカメラを使用していないときはカメラとインターネットの接続を切る、最新のファームウェアをダウンロードすることを推奨している。アンチウイルスソフトのMalwarebytesの発表によると、デジタルカメラが受けている被害は去年に比べて363%となっている。

「サイバー犯罪は投資へのより高いリターンを求め、個人から組織へと標的を変えて利益を得ている」とMalwarebytesは発表。Check Point Researchやキヤノンからの警告は、アメリカ国内で起きた数少ないが被害が大きかったランサムウェアの事件を振り返るものであり、フロリダ州の2つの町(Riviera BeachとLake City)は100万ドル以上をビットコインで支払いハイジャックされたファイルを取り戻した。また、ボルティモアやルイヴィルでは、コンピューターが使用不可になった例も挙げられた。ヨーロッパでも同様の報告がされている。

Check Point Research