世間では新年を境に心機一転する人も多いんじゃないだろうか。
歌舞伎町では、1年の初めに新しいホストに指名を変えるお客様も多い。
だからこそ、12月をしっかり乗り切らないといけないし、
次の年も指名され続けるホストでいないといけない。
新人時代の初めての年越し。
4ヶ月目の僕には、
なかなか定着して指名してくれるお客様がいなかった。
が、出会いとは急に訪れるものだ。
今日はそんな新年の素敵な出会いの話。
僕をホストとして成長させてくれたお客様のことを書いてみようと思う。
2016年が始まってすぐのことだ。
初回で来店された2人がいた。
歌舞伎町っぽくないと言ったら“歌舞伎町っぽい”ってなんなんだろうってなるんだけど、
明らかに歌舞伎町っぽくない一人の女性が来店した。
今でも初めて会った日の服装を覚えている。
当時、藤原ヒロシが青山にthe POOL aoyamaというお店を出していた。そのお客様はそこのセットアップを着ていた。
藤原ヒロシには失礼だが、歌舞伎町で藤原ヒロシの名前が出ることってあんまりないと思う。
初回の席についた僕は、10分くらい話して連絡先を聞いた。
ホストクラブには送り指名という文化がある。
お客様は帰る前にその日一番気に入ったホストを選ぶ。お客様の送り出しを最後できるホストはそこで送りに指名されたホストだけた。
でも、そのお客様は送り指名を誰も選ばずに帰っていった。
連絡先を聞いていた僕はすぐにお礼のLINEを送った。
大しておもしろい話もできていなかったが、
向こうから「明日、お店にいっていい?」と連絡がきた。
僕から営業をかけたわけでもないのに、お店に来てくれることが当時は不思議だった。
ホストクラブで遊ぶことに慣れていそうな印象だったそのお客様が、ホストを初めて間もないペーペーの僕を指名してくれる。
あの初回の10分間でなにを伝えられたのだろうか……。
僕を指名してくれる理由ってなんなのだろうか。
正直、初指名でお店に来てくれたときのことは緊張しすぎて覚えていない。
その日から、そのお客様は毎日来るようになった。
毎日同伴してくれて、毎日アフター。
同伴とアフターがあるときは新人でも掃除は免除された。
掃除や終礼のタイミングで、他のスタッフとコミュニケーションを取ることが僕にとってはけっこう大事だったから、それができないことに寂しさがかなりあった。
次は、気づいたときにはそのお客様が飼っている犬の散歩が日課になった僕の話をしようと思う。
続きはまた今度。