昨今のコロナ禍中、おうちにいる時間が増えたという方も多いことだろう。

これほどまで多く、そして唐突におうちにいる時間が増えてしまうと、余暇をどう過ごしたらいいのかわからない。なかには、家でヒマを持て余してしまっている方もいらっしゃるはずだ。

かくいうQetic編集部も、おうちで何をしたらいいんだろう、なんて思いにふけりながらNetflixで配信中の映画やドラマなんかを観ていたところ、こんな考えがふと頭をよぎった。「アーティストの人たちってこの作品を観て、どんなことを考えているんだろう?

ということで、Qeticではこの度、Netflixで現在配信中の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの映像作品の中から、アーティストの方々にひとつの作品を選んでいただき、その作品に対してどんな思いや感情を抱いているのかを赤裸々に語っていただいた。彼らの意見を聞いた上で作品を観れば、きっと思いを共有できるはず!

第10弾となる今回は、エレクトロバンドのgatoage(Vo)、kai(Manipulator)、sadakata(VJ)が語る『ブラックミラー』『このサイテーな世界の終わり』、『ミッドナイト・ゴスペル』。

age – 『ブラックミラー』

インターネットやテクノロジーが発展し変化を続ける昨今、実際にSNSやVRといった身近にあるコンテンツで起こり得るリスクを現してるドラマ(?)です。基本的にバッドエンドでリアリティがあり、考えさせられる内容なので咀嚼しやすく気に入っています。

ブラック・ミラー <シーズン3> 予告編 – Netflix [HD]

Netflix『ブラック・ミラー』

kai – 『このサイテーな世界の終わり』

ブラックな雰囲気もある英ボーイミーツガールコメディです。互いに別のベクトルで拗らせた2人の逃避行劇は毎話、次が気になるラストで1シーズン一気に見切ってしまいました。劇中流れる曲も良く没入してみることができます。

『このサイテーな世界の終わり』シーズン2 予告編 – Netflix

Netflix『このサイテーな世界の終わり』

sadakata – 『ミッドナイト・ゴスペル』

この作品は、スペースキャスター(ポッドキャスターの宇宙版)である主人公のクランシーが仮装宇宙空間にある様々な惑星にシュミレーターを通して訪れ、そこで出会った人々にインタビューしていくという内容のお話です。ここだけ聞いても???となると思いますが、まぁ見たらわかります……。笑 1話完結で全8話のアニメーション作品なのですが、とにかく映像も話の内容も深いです。まず、クランシーのインタビュー相手は1話ごとに毎回変わっていくのですが、このゲストがすべて実在する人物なんですよ。ある時は薬物依存症のスペシャリストだったり、またある時は元死刑囚だったり。ここで登場するゲストは皆独自の観点を持っていて、話すテーマとしては存在や死について、瞑想や心理についてなどなど..広範で哲学的な話を繰り広げていきます。そんな壮大なテーマを取り扱ったこの作品のオススメのポイントは、インタビュー内容とアニメーション映像の中で起きている出来事が一致していないという所です。音と映像が乖離しているんですよ。例えば、映像では街がゾンビに襲われて激しい戦闘を行なっているのに対話の内容は大麻の合法化についての議論だったり。

映像では食肉工場で自分自身の肉体が加工されていっているのに対話の内容は身近な人の死に直面するということについてだったり。なんというか、この違和感は初めての体験でした。そしてこの違和感が生み出す不思議なテンションがくせになるんです。でも、映像と会話の内容がまったく関係していないわけではなく比喩的に繋がっていたりもして、映像を何度も見返す中でいろんな発見があります。話をすすめていくごとに自分の中の思想に変化が生まれたり、まるで夢を観ているかのようなサイケデリックでポップなアニメーションの世界にどんどん引き込まれていったりと……まさに新感覚のアニメーション・ドキュメンタリーだと思いました。映像と会話とで情報量が多く、一度見ただけではとても理解しきれないので、2週3週してみるのがオススメです。

『ミッドナイト・ゴスペル』予告編 – Netflix

Netflix『ミッドナイト・ゴスペル』

▼合わせて読む
Vol.7 Mom – 『ジェラルドのゲーム』
Vol.8 Kan Sano – 『オクジャ/okja』
Vol.9 CIRRRCLE – 『アナ&ヴィトリア』、『Dexcter』、『ドロヘドロ』
バックナンバーはこちら

INFORMATION

gato

アーティストの視点から観るNetflixの映画・ドラマ・ドキュメンタリー|Vol.10 gato『ブラックミラー』『このサイテーな世界の終わり』『ミッドナイト・ゴスペル』 200602_netflix_gato

2018年、突如インディーシーンに現れたエレクトロバンド。post dubstep, future bass, hiphop といった昨今のグローバルトレンドを抑えつつも、日本人の琴線に触れるコード感を持ったサウンドは、現行のインディーシーンにおいて唯一無二の存在。
同年12月に1st EP『Luvsick』を配信限定でリリース。当時全くの無名にも関わらず、表題曲「luvsick」がTOWER RECORDS やHOLIDAY! RECORD などのプレイリストに選出され、早耳リスナー間で話題を集める。2019年4月、sadakata(VJ) が新たに加入し現体制に。ボーカルage の高い歌唱力、曲を繋いで展開していくDJ ライクなパフォーマンス、映像と楽曲が共鳴するライブは定評があり、クラブシーンやアートギャラリーなど、ライブハウスに留まらず各所より出演オファーが殺到中。初見のオーディエンスから対バンアーティストまでをも虜にし、着々とファンを増やしている。

公式HP