――2011年までヨーロッパにお住まいになられていましたが、今回、日本に戻ってこられて、制作は日本ベースで作られたのでしょうか? 日本に戻ってきたからこうなったみたいなものってありましたか?

作ったのはヨーロッパと日本で半々ぐらい。殆どライブセットなんですよ。それをちょっとまあイジルみたいな。今回、ミキシングはちゃんとした卓を使って行いました。地元の友達、昔クラブで一緒に遊んでた仲間の中に湯原大地君という子がいるんですが、色々協力してくれて。そういう感じの日本に帰ってきたから、昔の友達と繋がったからこそ、上げれるクオリティみたいなんがあって。そういう友達となら、お互いどういう部分が鳴ったら気持ち良いかとか、散々知ってるから、もう何も言わんでも「何か良くない?」「エエ、エエ♪」みたいな。ヨーロッパおったら僕も外国人やし、逆にそれが良い意味で修行でもあったけど、帰ってきたら外国人としてじゃなく日本人として日本におれる分、自由にアクセスできる部分も多かったから、そういう意味では帰ってきて、やりたかった事を素直に抵抗無くやれるようにはなりましたね。だから今回は今まで出来へんかった事にトライはしました。ミキサー使ってちゃんとミキシングしたり、まりんさんにマスタリングお願いしたのもそうやし。まりんさんとはライブ会場でお会いしたり、お話する機会も増えて、お願いすることができました。

――一緒の時間を過ごしてるとやっぱり好みとかも理解して貰えるし、そっちの方が良い物ができますよね。今回のアルバムを聴くと、AOKIさんのプライベートルームで遊ばせて貰ってるような気がします。このナチュラル感っていうか、自然な音の出方ってのはこういったところから出てるんでしょうね。物凄いリラックスしてるなあと思って。

それはそうやと思う。それ嬉しいっすね。やっぱり自分の事を理解して貰える人と一緒にやるのが一番楽しい。あと自分もやっぱそういう心理状態になったのかも。昔はやっぱ悩んだり、考えたり、葛藤したりした結果出ててきたモノやったけど、それがもう嫌になって、そんなんで作った音楽はやっぱり悩んだ波動が入ってるから。フロアで腕組んで聴いてるみたいな人がおったりね。でもそれは自分に非があるというか、自分が悩んで悩んで悩んで作ってるから。でも段々フロアで腕組んでるあの人を踊らしたいなみたいな感じがあって。そうするにはどうしたらいいかと思ったら、自分自身が楽しみ、遊ばん限り、そういう波動はそこには入らないから自然と開放に向かっていって、自分を解放した結果、音楽も開放された感じがありますね。今までは風潮として思考の結果出た音楽を良しとするみたいな部分があったと思うですよ。考え抜かれたモノを良しとするというか。でももうそういう時代が終わって、よりエゴイスティックじゃないというか、僕みて僕みて! とかじゃくて、みんな楽しく遊んでー! みたいな方を良しとする風潮になってきたと思うから、まあ自分がそっちにシフトしただけなんかも知れないけど。でもまあその方がラクやし、楽しいし。そこだけです。ヨーロッパとかライブとかに親子連れも多いですよ。お父さんが好きになって、息子も好きになって、奥さんも好きになって、家族3人で来ましたとかも結構あります。やっぱディスコ世代やからオバチャンめっちゃ踊ってるとか。息子それ見てひいてるみたいな(笑)。

――僕がこの前出演させて貰った<渋響>という温泉宿インのミニフェスにもお子さん連れで遊びに来てくれた人も結構いました。日本にもそういったライフ・スタイルが定着してきてるのかなあと感じます。

やっぱある程度、ヨーロッパ経験したり、外国の情報を知ったりして、どれだけ日本がルール、ガッチガチかってのは、みんな段々気付き始めてると思うんすよ。もちろんそれには良い部分もあるけど、逆にその結果ストレスも大きいんちゃうかなと思う。それがどんどんもうエエやんってなってきて、いまこの瞬間どれだけ楽しめるかって部分に意識が全人類的に意識がシフトしてる気がして、そういう時代に一番フィットする音楽ってやっぱダンス・ミュージックな気がするんですよね。もう知らんけどオモロイ! みたいな、もうどう見られても良いけどオモロイ! 楽しい♪ みたいな。踊ってる時って、過去も未来も関係なく、そのいま鳴ってる音で楽しいし。

――今回、シャープなんだけど、柔らかいというか、しなやかというか。こんなにシャープな構成なのに、こんなに音がしなやかというのは凄いなあと思っています。たぶんこの2つを同時に鳴らせてるのって、僕が知る限りAOKIさん以外、他に居ないんじゃないかと。だいたい普通、硬くなっちゃうと思うんですけど。

それは僕の経験上、やっぱりエゴイスティックになるとどうも硬くなるみたいですね。自己主張が激しくなればなるほど、刺さるような感じになる。それは何してもそうやと思う。車のデザイン・服・食べ物・音楽にしてもそうやし、やっぱ自己主張が前に出れば出る程、ピーキーになってくる。ただ、迎合するだけでもオモロないし、自己主張も必要やし、そこのバランスがまあ面白いんでしょうね。やっぱオモロイもんて、いつ転ぶかわかれへんけど、絶妙なバランスで何とか成り立ってるってのがやっぱ僕の中では一番エキサイティングで面白くて。だからその要素を持って更に問答無用で踊れたら文句無いなあと思ったんですよ。だからそれができたら嬉しいなって感じ、今も。

――絶妙のバランスだと思います。この作品がここまでのバランスでデキているのって、先ほどお話頂いた、まりんさんとかとプライベートでの信頼関係があるからかもしれませんね。

そうみたいです。まりんさんも凄い聴いてくれてはるから、普段から。だから、自分が何を出していきたいかっていうのをすぐ解ってくれはって、そこは嬉しかったです。

【インタビュー】AOKI takamasa、キャリア最高傑作ともいえる新作をリリース。シーンの新たな地平を切り開き続ける才人の現在の心境とは――? music130506_aoki_11-1

――今回、ミュージック・ビデオを4つも公開されるとのことですが、まずその映像を作られているHISAKI ITOさんについて教えて頂けますか?

ITO君はめっちゃオモロイ子で。名古屋でパーティやった時に最初から最後までずっと踊ってくれてたんですよ。ホンマオモロイなあって思って仲良くなっていったら、実は物凄いプログラマーで、何でもやりますみたいな人やって。僕の音に凄い理解を示してくれるんですよね。もう体感で問答無用で。彼の場合プログラミングもできるから思考でも理論的にも理解しながら感覚的にも理解してくれて、これはこんなに理解してくれる人には絶対お願いせなあかんわとお願いしてみたら、バッチリ面白いのができてきて。次に準備してくれてるのも凄い良い感じになりそうです。

――黒川良一さんとはもうゴールデン・コンビみたいな感じですね。流石の仕上がりで、いつになくカラフルな感じでステキでした。またITOさんと黒川さんの作風もモノクロとカラフルと対照的で、そこも面白かったです。

良くんは、前からアルバム作ったら映像やるからって言ってくれてて。一緒に作品作ろうってのも10年ぐらい前から言ってて。ただそれが中々チャンスがなくて、良くんも僕も急がしなったし、将来的に一緒にバンと!コンサートやりたいなあと思ってるんですけど、それのまあ最初みたいな感じで今回やってもらってます。まず先にITO君の方が出来上がったんですよ。それが白黒の線で来て。その後、良くんがカラフルなラインで来たからウワー! って。偶然でした。凄いよね。あとITO君がもう1つと(※先日公開済み)、あと近藤テツ君が今やってくれているはずです。この辺は焦らんと順次上がり次第公開って感じです。

――CDには特典が付くそうですが? それと今回はアナログは?

日本盤だけ、ダウンロード・クーポンの形式でボーナストラックの特典が付きます。タイトルが『RV8』なんで9曲入れられないからボーナストラックとして。それとアナログ盤も出ます。ただ尺の問題でアナログは1曲目と3曲目を抜いてとなります。タイトルは『RV8』のままなんですけど。あと5月14日(火)~18(土)にリキッドルームの2FにあるKATAで『A.M. SHOW WINDOW』という展示を開催するんですが、その時にTシャツ買ってくれた人に30分くらいの長さの曲をプレゼントします。それは会場でズーっと流れてる曲なんですが、良かったらそれも是非! Tシャツは僕の写真をプリントしたタイプと、「MINIMAL」、「GROOVE」、「RHYTHM」、「BEAT」のタイポグラフィのタイプがあります。クラブ、ダンス・ミュージックを基点に発想したアイディアをグラフィックデザイナーのMAAさんと一緒に作ったんですが、今後もこういうクラブ・ミュージックとか色んなアイディアを彼と一緒に合わせながら色んな物を出して行こうかなと思ってます。そのKATAでの展示最終日前夜5月17日(金)にはアルバムのリリース・パーティとしてライブもやるので是非遊びに来て下さい。

――それ以外で現在、決まっているライブの予定はありますか?

まだ完全に固まっていないので詳しくは言えないのですが、6月20日(木)からヨーロッパ・ツアーの予定です。

interview&text by蟻[ari]〈moph records〉
photo by Mariko Kurose

最新MV:RHYTHM VARIATION 06 by HISAKI ITO

RHYTHM VARIATION 06 from AOKI takamasa on Vimeo.

Event Information

A.M. SHOW WINDOW
2013.05.14(火)~18(土)@KATA
OPEN 15:00/CLOSE 21:30
ENTRANCE FREE!!!

AOKI takamasa new album “RV8″ release party
2013.05.17(金)@KATA
OPEN/START 20:00
ADV with flyer ¥1,000/DOOR ¥1,500(ドリンク代別)
LIVE:AOKI takamasa
DJ:MAA

Release Information

2013.05.09 on sale!
Artist:RV8
Title:AOKI takamasa
p*dis/Inpartmaint Inc.
PDIP-6535
¥2,300(tax incl.)

Track List
1. rhythm variation 01
2. rhythm variation 02
3. rhythm variation 03
4. rhythm variation 04
5. rhythm variation 05
6. rhythm variation 06
7. rhythm variation 07
8. rhythm variation 08