今年の2月から絶賛オンエアされているグリコ・プリッツのテレビCM出演をはじめ、今やテレビとラジオのレギュラー番組を3本抱えているシシド・カフカ。メディアへの登場回数がグンと増え、様々な場所で彼女の姿と名前を見聞きするようになった。しかし前回のインタビューでも触れられたように、シシド・カフカの活動の軸は、ドラムヴォーカルとしてのミュージシャン活動にある。今年に入ってから彼女のことを知った読者も多いかもしれないが、彼女の表現者としての本質がどこにあるのかを、どうか忘れないでいただきたい。
目下はじめて尽くしのことにトライし続けているシシド・カフカは、ニューシングル『キケンなふたり』をリリースしたばかりだ。表題曲“キケンなふたり”は、ドラマ『ダブルス~二人の刑事』(テレビ朝日・毎週木曜夜9時よりオンエア中)のオープニングテーマとしてオンエア中。彼女にとって初のドラマオープニングテーマは、これまでの楽曲の中でも屈指のアッパー&エネルギッシュなナンバーに仕上がっている。カップリング曲も注目だ。先に挙げた、耳に残るプリッツのCM曲“Hunger×Anger”をはじめ、恋愛を太陽と月の関係に例えた“月の輝きかた”、疾走感溢れるロックンロール“ワンダーガール”といった全4曲は、シリアスからコミカルまで、シシド・カフカの幅広い表現を楽しめる、シングルながらバラエティに富んだ力作だ。
アクティブな活動を繰り広げているシシド・カフカは、自身が置かれている現状をどう捉えているのか。その胸の内とミュージシャンとしての本質に迫る。
Interview:シシド・カフカ
――最初に現在の活動状況から聞いていきたいのですが、カフカさんはプリッツのCMをはじめ、TVとラジオのレギュラー番組にトータルで3本出演していて、音楽活動から派生したことにトライしていますよね。はじめてのことに取り組んでいる今を、ご自身としてどう捉えていますか?
今はまだ楽しむ手前ですね。自分に何ができるのだろうと模索しているので、緊張感の方が増していますね。
――今まではゲストとして招かれる側だったじゃないですか。これからは出演者として、共演者の、スタッフの皆さんと番組を一緒に作っていく側に変わりましたよね。その立場の変化についてはどうですか?
ラジオの方が、どちらかというとスタッフの人数も少ないですし、自分がメインということもありますけれど、コミュニケーションはとれてきていると思いますね。『新堂本兄弟』は、緊張しかしていないという感じです(笑)。
――ラジオでは、ニックネームが決まっているみたいですね。
はい、シシド閣下です(笑)。リスナーのことを「お前たち!」と言っています(笑)。
――『新堂本兄弟』ではバックバンドのベースにTOKIEさんが一緒だったりするじゃないですか。同じミュージシャンの先輩に同性の方がいらっしゃるのは心強いと思うんです。
そうですね。堂本ブラザーズバンドの新メンバーに4人の女性メンバーがいるので、心強い部分がありますね。でも、音楽業界では大先輩の皆さんですから、とても勉強させていただいています。
――色々と吸収している最中ということですね。
そうですね。もう否が応でも。でも楽しめるようになったら、自信にも繋がるという実感はあるので、あとはいかに積み重ねていって、自分の色を出せるかというところだと思いますね。
――なるほど。メディアに出る中でも一番象徴的なトピックがプリッツのCM出演ですよね。今も全国のお茶の間で流れていますが、15秒、30秒という限られた時間のものづくりの経験はどうでしたか。
自分以外のことで映像を作るということに参加するのがはじめてでしたし、チェコで撮影したんですよ。全てがはじめて尽くしで楽しかったという感想に尽きるんですけれど、一つのことに向かっての会話があって、みんなが良いものにしようとしている。ものづくりの空間は、音楽の現場も映像の現場も変わらず、心地よい空間だと思いましたね。チームもすごく良かったんですよ。撮影以外に食事も楽しかったですし。みんなでよく分からない強いお酒を飲んだりして(笑)。
――チームワークと飲みニケーションですね(笑)。
そうですね。未だに会ってお話できる関係をその一瞬で作れたので、良いチームに恵まれたなって思いますね。
――あのCMは芸が細かくて、ドラムスティックがプリッツだったんですよね。
そうだったんですよ。いつものスティックに塗装をしてもらったので、叩く度に剥げていくんです。叩く度に私のドラムがオレンジになっていくっていう(笑)。
――やっぱり2月からプリッツのCMが始まって、そこから環境が激変してきていると感じるんですが、ご自身としては状況の変化を感じていますか?
すごく認知していただけたとは思いますね。「プリッツの人ですよね」って話しかけられることが多くて。シシド・カフカという名前と、プリッツのCM、その楽曲が、まだまだ点でしかないんですよね。たくさんの切り札をいただいているので、これをどう線に繋げて、どれだけ太いものにしていけるのかを考えている段階なんですけど、例えばイベントに出て、「誰だ?」となっても、「プリッツの人ね」という意味で窓口が広くなっている感じもあるので、ものすごく有り難いなと思っていて。いただいた楽曲も素晴らしかったですし。私が詞を書いていたら、ああいうふうにはならなかったと思うので、さすがだなって。
――その曲が“Hunger×Anger”というタイトルで『キケンなふたり』に収録されていますけど、作詞・作曲・編曲を担当しているカンガルーズって何者ですか?
誰なんだ? っていう感じですよね(笑)。実はCMのディレクターの方なんです。すごく私のことを調べ尽くして、彼のフィルターを通してのシシド・カフカはこうだ、ということで楽曲を提供して下さったんですね。なので、すんなり自分の中に入れて、楽しむことができました。
――端的に言うと、「私がイライラしている理由は、腹ぺこだからよ」という曲ですよね。
そうですね。怒っているのは腹減っているからだっていう(笑)。
――まさか配信もCDにも収録されるとは思いませんでした。
私も“Hunger × Anger”を収録しようって言われた時に、「盛りだくさん過ぎませんか?」って言っていたと思いますね。でも、出し惜しみしてもしょうがないので、一番フレッシュな時に聴いて欲しいっていうジャッジをして。
――たしかに。ライブでもやっているんですか?
やってますよ。名刺代わりとしてライブの最初に(笑)。真ん中に入れる時もありますけど、自分に勢いも付きますし、やっぱりこの曲をやると窓口が広がるので、一気にお客さんとの距離が縮まるんじゃないかなって。