――今の話の流れから新譜について聞いていきたいんですが、“キケンなふたり”は、これまでで一番シンプルな構成で、アッパーかつエネルギッシュな曲だなと思っていて。

そうですね、たしかに。前へ前へとずっと転がっていく曲であると思いますね。

――カフカさんにとって初のドラマのオープニングテーマですが、ドラマというお題ありきで詞を書くのは、今までと比べて、どんな違いがありましたか?

普段だったらこういうことを書こうかなって、一本の道を通したいがために理由付けていくんですけど、明確なあらすじと人物像をいただいていたので、その周りを私が360度ぐるぐる回れたというか。“キケンなふたり”に決まる前に、5~6曲あったんですよ。それら全てに違う視点から見た2人の刑事の歌詞を載せていたんですね。そういうことにチャレンジできたのもはじめてで、今までと全然違う楽曲の制作の仕方をしましたね。

――歌詞を読んでいて気付いたのは、キケンとかツキとか、カタカナ表記が特徴的ですよね。ダブルミーニング的な意味合いを持つ場合があれば、ちょっとニュートラルな響きもあるなと思っていて。

一つの言葉でも色んな見方があって。元々私の歌詞の書き方が、あまり答えを結論付けない書き方なんです。答えは人それぞれですし、私が答えを持っていないという意味で、一つの提示であればいいなと思いながら書いているんですね。

――《デデデ Danger》と《ジャジャジャ Jangle》は、どういうところから閃いたんですか?

3つの音をどうしようかと考えて、「デデデ Danger、面白いじゃん」みたいな結構軽いノリです。でも、「ジャジャジャ Jangle」って書きながら、「これ、歌えるのかな…」って思ってました(笑)。

――“キケンなふたり”は、ミュージックビデオの予告編がアップされていますよね。監督がアサヒスーパードライのCMやUverworldのドキュメンタリーフィルムを手掛けている中村哲平さんなんですよね。

そうなんです。

――中村さんはカメラワークが特徴的なクリエイターだと思っていて。今回の映像は、『ファイトクラブ』が舞台になっていますよね。

昔から哲平さんは知っていましたし、いくつか映像を観させていただいていて。彼が撮ったら綺麗でかっこいいものになるので、あまり映像に口を出さないので、丸投げをしました。私は綺麗なだけのものには興味がないので、彼なりの解釈のビビットな汚しが入っていて、そこは全部観ていただければと思いますね。

――カフカさんの演奏シーンは、オーディエンスに360度囲まれた中でドラムを叩いていますよね。普段のステージでドラマーは一番後ろじゃないですか。色んな角度からドラマーを観れるのは新鮮な感覚ですね。

テレビの収録とかでも360度の真ん中にいて下さいと言われることもあるので、意外に私は公開しちゃっているんですよね。でもそれが、シシド・カフカの面白いところでもあるかなって。

【インタビュー】シシド・カフカ、新シングルと共にあのCM出演から始まった状況の変化を語る。カフカの「キケン&セクシー度」もチェック! feature130522_kavka_5-1

――レコーディングの時に、ヴォーカルはヴォーカル、ドラムはドラムとして独立して録るじゃないですか。ライブではそれが一緒になって、ドラムヴォーカルになって。ドラムヴォーカルには、体の使い方とか、発声の仕方という部分で難易度が高いと思うのですが、フィジカルな部分で意識していることはありますか?

腹筋と背筋をめっちゃ使っていると思います。ライブもリハーサルも終わった後に、腰が痛い、お腹が痛い、というのは結構ありますね。ドラムも姿勢を良くして叩かなければならないけれども、腹筋と背筋を正さないと声が出ないというところで、その緊張感はずっとあると思います。特にフォームは気を付けないと、かなり前屈みになって猫背な体勢になってしまいますし、そうするとドラムの音も良くないし、声も出ないんです。

――フォーム一つで悪循環になるんですね。

そこは日々気をつけていますね。あとは動けない分、パフォーマンスで魅せなきゃいけないという意味でのこだわりはあります。ドラムヴォーカルでも、普通に叩いて歌うだけだったら、そこまで疲れないんです。でも、私は出来るだけ身体を動かしているので、やっぱり疲れることはしていると思いますね。

――手足のリーチが長い分、しなやかでダイナミックなドラミングに繋がる一方で、やっぱり体力の消耗は半端ないんですね。

一時間半歌って吐いちゃう人もいる中で、歌をドラムと一緒にやるのは、最初は本当に大変でした。30分も保たなかったですもん。30分のライブの最後で、「あ、窒息するってこういうことなんだな」って思いましたし。疲れて息継ぎをゆっくりしたいけれど、歌わなきゃいけないから息継ぎが間に合わないんですよ。でも、それを繰り返すことで、だんだんと慣れてきて。今はやっと声がぶれなくなってきたという感じですね。

――フィジカル的にキツいドラムヴォーカルという唯一無二のスタイルをやりきろうとするのは、一度決めたことは極めたいという気持ちが大きいんでしょうか?

私が今持っている最大限の武器になるので、それを出来る限り振りかざして、ステージに立っていたいなと思っていて。でも、きっとやりたいことが他に出てくるかもしれないと考えたら、何でもありなのかなっていうぐらいに柔軟な気持ちではいますけどね。私の場合、すごく単純なことをしても新しいというか。ドラムヴォーカルとして認識してもらっているので、ヴォーカルだけをやっても新鮮じゃないですか。ドラムだけやっても、「ドラムだけしかやらないんだ」、ギターをやると「ギターもやるんだ」という面白みが、他の方よりもあるのかもしれないなって。そういう意味での驚きは、所々で用意して、楽しんでもらえたらなとは思っていて。

――おぉ、今後がもっと楽しみですね。

大丈夫かな、言っちゃったかな…(笑)。

――カタカナ表記の話をしましたけど、シシド・カフカというカタカナ6文字には、どこにも属さないニュートラルな雰囲気があるんです。だから、音楽に軸を置きながら、モデルであったり女優であったり、今みたいにCMに出ればテレビやラジオの番組にも出る。そういう枠に捕われない感じがぴったりなんですよ。

ありがとうございます。

★インタビュー、まだまだ続く!
>>次ページではシシド・カフカの「キケン&セクシー度」を計ってミタヨ!!