既存の概念にとらわれない、<Over The Border>
バカルディのイベントが世界中に広まっていく中で、日本では2017年春に<Over The Border>というイベントがローンチされた。<Over The Border>は、文字通り、「Over The Border=境界線を越える」をテーマに、既存に概念にとらわれない自由な表現活動をおこなっているアーティストやミュージシャンたちがパフォーマンスを披露するというもの。<NO COMMISSION>での成功事例、つまり海外での方法論をそのまま日本で展開しても同じように成功するとは限らない。
ゆえに、日本独自にローカライズした<Over The Border>という新形態で展開するというバカルディの読みは見事に的中したと言ってもいいだろう。<Over The Border>の記念すべき東京と大阪のローンチイベントは大きな話題となり、その後の3都市でのサテライト・イベントも見事に成功を収めた。ここからは2017年の<Over The Border>の展開を振り返っていこう。
<NO COMMISSION>の遺伝子を受け継ぐ、日本独自のプロジェクト、<Over The Border>。記念すべきそのローンチイベントには今年のグラミー賞にノミネートされiPhone X新製品発表イベントのプロモーション動画に楽曲が起用されたSOFI TUKKER、LAを拠点に活動する女流ビートメイカー/プロデューサーのTOKiMONSTA、ロンドンの若き女性シンガーソングライターAnna Strake、ブラウン管テレビを鍵盤打楽器として演奏するパフォーマンスで文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞した和田永(Open Reel Ensemble)によるプロジェクト、Braun Tube Jazz Ban、クロスオーバーなサウンドで注目のエクスペリメンタル・ソウル バンドWONK(大阪公演のみ)が出演。
SOFI TUKKER “Awoo”/“Drinkee” Live at BACARDÍ “Over The Border” Tokyo 2017
Anna Straker “Serious”/“How We Are” Live at BACARDI “Over The Border” Tokyo 2017
さらにはアートの分野からは、ベルリンを拠点に世界各地でグラフィティーや壁画の制作を行っているHiroyasu Tsuri、“踊るフォトパフォーマー”としてアートフィールドからハイブランドまで幅広く活躍する新進気鋭フォトグラファー ARISAK、廃材の再利用と自然から採集した素材を織り交ぜて、独創的な創作活動を行う、R領域らが登場。<NO COMMISSION>に劣らない豪華かつ野心的な出演者たちによるパフォーマンス、展示は、アートと音楽が刺激的に交錯する新しい体験として来場者を大いに刺激した。
さらにこのローンチイベントに続き、その魅力を広く伝えるべく<BACARDÍ“Over The Border”Satellite Party>と名付けられたサテライト・イベントが名古屋、札幌、福岡の三都市にて開催された。東京、大阪のローンチイベントにも出演し、<Over The Border>の道先案内人的な存在となっているDJ SARASA、NAOKI SERIZAWAに加えて、3都市ともそれぞれ異なる個性豊かな出演者や企画が話題となった。
8月20日に名古屋ENCOREで開催されたパーティには、Hiroyasu TsuriやARISAKの作品が会場に並ぶ中、強烈な個性と自由な発想で新世代の音楽、アート・シーンを刺激し続けているSeiho、さらには現在日本最強のヒューマンビートボクサーKAIRI、ダンサーのGENDAIらが出演、音楽とアートが交錯する素晴らしいパフォーマンスを繰り広げた。
続く9月3日札幌MEETでは、名古屋に続きSeihoが出演。さらにはARISAKが地元・札幌出身の気鋭ラッパーSALUとのコラボレーション作品を初展示するなど、札幌のみのプレミアムな企画も実施された。
10月8日福岡のUNION SODAには福岡のストリートから様々なカルチャーを発信しているOil WorksのPopy Oilの作品の展示、地元の雄OLIVE OILや三度登場のSeihoが圧巻のパフォーマンスを披露するなど、東京、大阪のローンチ・パーティに劣らない熱気溢れる空間を生み出した。
これらの模様は<Over The Border>の特設ページにて詳細にレポートされているので、ぜひご覧になっていただきたい。この特設ページは<Over The Border>の最新情報はもちろん、出演者のインタビューや特集記事、動画などエクスクルーシヴなコンテンツを楽しむことができる<Over The Border>の情報発信基地のような存在。記事の内容も読みごたえのあるものばかりなので、あわせてチェックして欲しい。
<Over The Border>2018年もさらに加速し、多方面からアート、アーティストをサポートしていく方向性を明らかにしている。2017年の成功を経て、2018年どのような進化を遂げるのか、引き続き、バカルディの取り組みに注目していきたい。
BACARDÍ “Over The Border” Launch Party Tokyo 2017[After Movie]
text by 加藤直宏