だがバンクシーは自身の作品があまりにも高額で取引されることを批判しており、今月13日にはオリジナルの絵を1枚60ドルで露店に並べるという実験も行っている。
躍起になってバンクシーの新しい作品を探しているファンたちがニューヨーク中にいると言うのに、ほとんどの人が気づくことなく、数点しか売れなかったのは皮肉としか言いようがない。
この事実は、ネットで出回り話題となった作品には群集が押し寄せ、超高額商品に変貌するにも関わらず、予告無しに路上に出せばほとんどの人が見向きもしないという、アートという商品の不確かさを暴いてしまうものだった。
現在、ニューヨークで大暴れをしているバンクシーに対し、ニューヨークのブルームバーグ市長は記者会見で「他人の所有物や公共物にいたずらしたり汚したりする行為は、私に言わせれば芸術とは言えない」と不快感を表し、ニューヨーク市警察に対して、バンクシーが絵を描いているところを発見した場合には、すぐに摘発するよう指示を出したという。
そうした動きからかバンクシーは今月23日、自身のウェブサイトに「今日の作業は、警察の措置によりキャンセル」と記録し作品の発表を断念した。
しかし翌日には再びバンクシーの新しい作品が路上で発見され、大きな話題となった。
10月の末日まで、ニューヨークで大暴れをするという神出鬼没のアーティスト、バンククシー。もしかしたら彼はステンシルとスプレー缶を片手に現代アート史に落書きをしているのかもしれない。