スノーボードの歴史、文化を第一線で築いてきたブランド・Burton。これまでにボブ・マーリー、マーク・ゴンザレス、フューチュラ2000といった音楽/アートシーンにおける数々の重鎮とコラボレーションをおこなってきた同ブランドが今回はRun DMCとのコレクション(「MINE77 x Run DMC コレクション」「Burton x Run DMC コレクション」)を発表。先日、ニューヨークのBurtonストアで行われたリリースパーティ−の模様を製作陣のインタビューと共にお届けした。

スノーボードの歴史・文化を第一線で築いてきたBurton本社へ訪問。一貫した精神と理念を探る。 interview230315-burton-rundmc-1
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今回はそのBurtonの真髄を更に探るべき本社に直撃。アメリカ・バーモント州バーリントンにある本社は筆者が住むニューヨーク市より北に約480km。飛行機で約1時間半、車で6時間程といったところだ。この街・バーリントンは限りなくカナダの国境に近い場所に位置し、冬場の気候を踏まえるとここにBurtonが本社を構えるのも納得だ。筆者が訪れたのは冬真っ只中の2月初旬だが今年は北米の東海岸北部が暖冬だったこともあり、雪は少し積もっている程度だった。取材をする身としては好都合だが、もちろんスノーボードをこよなく愛する本社スタッフは例年に比べて雪が少ないことに驚きと落胆の気持ちを表していた。

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外に設置されたこのスケートボードのプール

本社を案内してくれたのはBurtonのアーカイブを担当するトッド。スノーボード、アパレル(ウエアー)、雑誌やポスターなどの紙媒体、映像(ビデオ/DVD)とBurtonの歴史と共に誇る膨大なコレクションを管理する彼は「Burtonのことなら彼に聞けば何でも答えてくれる」という頼もしい存在だ。彼の机の横には今やあまり見かけないビデオデッキが研究用に設置されており、彼のBurtonへの愛と本気さが伺えた。普段、一般来客者にも向けた本社ツアーを行う彼は今回特別にプライベートツアーを敢行してくれた。

1977年に創設されたBurton。70年代にスノーボードカルチャーが始まったことからもわかるように、スノボードの歴史はBurtonと共に築かれてきたといっても間違いではない。今は亡き創業者であるジェイク・バートンはバーモント州に移住した後、小屋の中で彼が理想とするスノーボードを生み出すため研究に研究を重ねた。それまで細長い雪ぞりのような形をしたスノーボードを現在一般的に流通するスノーボードの形に近づけたのが彼の偉大な形跡である。

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本社に併設する工房Craig‘sはオリンピック選手などに向けてのカスタムメイドのボードを作る場所。ここでのスノーボード制作は全てマニュアルで行われ、創設当時から継がれるクラフトマンシップが随所に感じられた。正直、スノーボードを手作りで作る印象がなかった筆者は、ボードに塗られる樹脂の匂い、形を整えるために研磨するときに飛び散る火花、ボードとデザインを付着するために利用されるプレスマシンの音に圧倒された。

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創業当時からのジェイク・バートンの意志を継ぎ尊重することももちろんだが、このセクションでは時代に適応していくべき最新の技術が開発に取り込まれているとトッドはいう。その技術とは何と3Dプリンティング。細かい部品をここで開発することでスノーボードの全体的な軽量化を実現できるという。研究心を怠らないというのはBurtonの創設当時から一貫していることだ。

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人も歩けば犬に当たると言わんばかり、本社内を歩いているとスタッフの愛犬と遭遇し、この日少なくとも30匹の犬を見たといっても過言ではない(笑)。その様子からもわかるように本社全体に和やかな雰囲気が流れていて、各々しっかり集中して仕事をするというよりは、会話をしながらリラックスした空気の中でアイデアをお互い出しながら仕事をするという印象を受けた。トッドに話を聞くと、定期的に仕事終わりにスタッフ揃って雪山に滑りにいくこともあるという。デザインや技術面といった表面的な部分だけではなく、精神性をも大切にするBurtonがスノーボードの文化に数々の歴史を刻んできたのは疑う余地もない。Burtonストアもオフィスエントランス横に併設され、一般の方に向けたツアーも行われているということなので、アメリカを訪れる際にはぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

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Text, Photo by Taisuke Yamada

2月15日(水)より販売しているRun DMCとの限定コラボレーション「MINE77 x Run DMC コレクション」に続き、「Burton x Run DMC コレクション」が3月21日(火)より販売スタート。

「MINE77 x Run DMC コレクション」では、スノーボードとヒップホップの融合によって生まれるパフォーマンスとそれぞれの文化の歴史を体現しており、GORE-TEXトラックスーツや、ターンテーブルとテープカセットのグラフィックを特徴とするハードグッズなどの、大胆なアイテムがラインナップ。

「Burton x Run DMC コレクション」は、Run DMCがヒップホップにもたらし、またBurtonがスノーボードにもたらした、パイオニア的なビジョンとスタイルの進化を表現。このコレクションには、高コントラストのフロストナージャケット、スローバック・ヒップパック、グラフィックとしてRun DMCのメンバーのポートレートをあしらったプロセス スノーボードなど、Run DMCのシグネチャールックにインスパイアされたアイテムが並ぶ。「スノーボードとヒップホップのクロスオーバーによる新たなカルチャーの創造」が落とし込まれたコラボアイテムをぜひお見逃しなく。

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Burton x Run DMC