坂本龍一の呼びかけにより、Gotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION)や永井玲衣(哲学研究者)が中心となって、震災(Disaster)から10年(Decade)という節目の2021年3月から、さまざまな「D」をテーマとし、過去と向き合い未来を志向するムーブメントとして始動したD2021。5月22日(日)に開催予定のライブイベント<D-composition>に先駆け、震災から11年目となる福島県南相馬市小高を取材したドキュメンタリー映像が公開された。
D2021、福島の酒蔵haccobaとのお酒&アルバム詳細も発表
D2021制作のドキュメンタリー映像『Documentary 11年目の福島南相馬市小高/ haccoba -Craft Sake Brewery-』は、東日本大震災の原発事故で一時人口がゼロになった街、福島県南相馬市小高にて酒蔵を立ち上げたhaccobaの呼びかけによりスタート。
映像では、D2021メンバーのGotchと永井玲衣が福島南相馬市小高へ訪問し「haccoba」をはじめとして、「ふたばインフォ」、「双葉屋旅館」、「小高パイオニアヴィレッジ」など、さまざまな復興の拠点や発信地となっている場所を巡り、出会いと対話を行っている。震災11年目の今を起点とし、相関する人たちの過去と未来をありのままに映し出した約60分の作品だ。
またドキュメンタリー映像に合わせ、現地の酒蔵「haccoba」とのコラボレーションで生まれた、5月24日(火)発売のお酒とアルバム『土-D-』の醸造背景や味わいなどの詳細が発表された。本商品は、D2021の呼びかけで集結した5名のアーティストが「微生物に聴いてもらう音楽」を作曲し、発酵の過程で微生物たちと一緒に音楽を聴きながらお酒を醸したお酒だ。酒づくりでは、音楽による微生物の変化をよりまっすぐに表現するため、「全麹」という製法を採用。また、均一に米麹をつくるのではなく、4つのタイプにつくりわけ、それぞれの良さを活かせるように仕込まれ、甘み、酸味、渋み、苦味、旨みがバランスよく交わり、瑞々しくも深みのあるお酒に仕上がっている。
お酒『土-D-』は、5月24日(火)より一般販売が開始。また、製造過程において微生物に聴かせたD2021オリジナル楽曲をアルバムとしてパッケージ化し、お酒とセットで販売される。また一般販売に先駆け、5月22日(日)開催のライブイベント<D-composition>会場内にて数量限定で販売されることに。ぜひイベントとともに、商品やその背景を味わってほしい。
発酵という変化をあたたかな優しい時間の中で過ごしてほしいなと思い今回の音楽をつくりました。
Utena Kobayashi
人が聴くことを前提としない、植物や水、犬や猫のために音楽を作れないかなあ、なんてぼんやり考えていたところ、ちょうど今回の麹に聴かせる音楽というお題をいただき制作。ヤイリのギターは、組込みの際に大音量のクラシックをギターに聴かせてあげることで、木材自体が音楽の響きに馴染む。バッハをはじめとしたクラシックを麹に聴かせると麹の活動が活発になるなんて話も何処かで聞いた。音楽は空気の振動。麹が震える事で何が起こるか麹を飼ってる訳ではないので残念ながらリファレンスを得られていないが、とにかく振動がウネリを上げやすいような仕掛けを考えながら、美味しいお酒になあれと祈りを込めながら作りました。
岡田拓郎
麹や酵母に聞かせる音楽について考えていたところ、お酒の仕込みのときに歌う「酛摺歌」をhaccobaの皆さんから教えていただきました。福島の様々な場所で採取した音や、haccobaのタンクの中で録音した発酵するお酒の音に「酛摺歌」サンプリングしながら、人とモノと場所と時間を丸っと編み上げて捩るような、そんな音楽を想像して制作しました。
Gotch
作曲をする前に、まずは麹菌のことが知りたいと思い、発酵についての講義を見たり、本を読みました。とても不思議な事ばかりで、その奥深さに驚嘆しました。工程を経て、いろんな要素が変化していく。いろいろな変化がさまざまな現象を起こし、次から次へと繋がっていく。その変化と繋がりの様子に、人間にとっての時間の感覚を加えたものを音にしたいと思いました。ここでの時間の感覚は「老いる」とは違う、ただ淡々と時が過ぎるような大きなイメージです。人が飲み終えた後もまだまだ変化は続き、どんどんと繋がっていきます。この音楽も変化と繋がりが同時に起こる構成になっています。ひょっとしたら、前後の曲とも変化と繋がりの現象が起きているかもしれません。楽しんでいただけたら幸いです。
SubtleControl
今回の制作では「耳を持たないはずの酵母が音楽に反応する」というのは音の振動としてのいわば物理的な側面、音楽としての何かしらの構造的美点=芸術的側面のどちらが影響しているのかという関心を起点に、おそらくそのどちらもが分かちがたく複雑に影響しているのでは、という個人的な思いを反映させることを目指しました。具体的には音楽の物理的な側面=調律を独自の純正律に設定したうえで、そこから複雑な(揺らぎやうなりを持った)響きを得ることを試みています。
Shuta Hiraki
Documentary ~11年目の福島県南相馬市 小高/ haccoba -Craft Sake Brewery-
EVENT INFORMATION
D-composition
2022年5月22日(日)
17:30-21:00(16:30-開場)
会場:神田スクエアホール(東京都千代田区神田錦町2-2-1)
・ADV:¥4,500(tax incl.)
※お酒『土-D-』数量限定販売
・出演者(50音順)
Utena Kobayashi
Gotch
佐藤優介
SubtleControl
Jiro Endo – LJ
永井玲衣
古川日出男
Miru Shinoda
Eucademix (Yuka C. Honda)
rokapenis – VJ
共催:haccoba -Craft Sake Brewery-
協賛:STANDARD WORKS
RELEASE INFORMATION
土-D-
2022年5月24日(火)より一般発売予定
¥8,800(tax incl.)
・内容量:500ml/ 本 (D2021制作のオリジナル楽曲アルバム『土-D-』付き)
・販売チャネル:
haccobaオンラインストア
haccoba店頭販売
・アルバム参加アーティスト(50音順)
Utena Kobayashi
岡田拓郎
Gotch
SubtleControl
Shuta Hiraki