NFT(代替不可能な暗号資産)によって、永続性/相互運用性/唯一性を保証し、価値が担保された「CryptoArt (クリプトアート)」と呼ばれるデジタルアート作品とその取引を支えるさまざまなプラットフォームが、昨年より急速に世界中でムーブメントとなっている中、この度ライゾマティクスがCryptoArtを販売するオリジナルのプラットフォーム「CryptoArt -Experiment」のβ版をオープンしたことが発表された。
ライゾマティクスによるCryptoArtのプラットフォームに注目!
「CryptoArt Experiment」(β版)は、ライゾマティクスのCryptoArtを購入することのできるマーケットプレイスとして独自に開発されたプラットフォームだ。フロント実装をオンスクリーンからフィジカル空間まで横断するデザイン・実装力を備えるflowplateauxが、バックエンドとブロックチェーンは独自のリサーチ、デザイン、開発を行うプロフェッショナル集団Kyuzanが担当し、企画全体を技術と表現の新しい可能性を探求するライゾマティクスが手がけている。
今回公開されたβ版では、ライゾマティクスのデジタルアート作品を中心に、近年急速に注目を集めるNFT、CryptoArt、マーケットプレイスをテストネットワークのETH(イーサリアム)でシュミレーションすることが可能に。今後はそれらを実際に売買することも視野に入れ、NFTとCryptoArtを取り巻く状況を分析して可視化することも検討しているという。
CryptoArtはデジタルアーティスト、とりわけモーショングラフィックアーティストの界隈で少しずつ取引されていたものの、昨年より先見のある投資家によって急速に拡大、高額での取引も行われ話題になっている。この急速な変化は、まだ広く世に出ることのないデジタルアーティストにとってより多くの人々との作品の取引を可能にした一方で、取引において作品の独自性を証明するプロトコル・PoW(Proof of Work)を使用することにより、大量の電力を消耗するという二酸化炭素の排出における環境負荷が問題になっていることも知られている。
ライゾマティクスはこの独自のプラットフォーム「CryptoArt-Experiment」を作り、公開することで、NFTとCryptoArtの世界で起きていること、そしてさまざまな問題を可視化し、多様な視点から議論のきっかけを創出していくことを想定しているという。一面にとらわれることなく、多角的な挑戦を繰り返すライゾマティクスならではのプラットフォームにぜひ今後もご注目を!
ステートメント
CryptoArtは2020年新型コロナ禍に一気にトレンドとなり2021年キャズムを超え、暗号資産やブロックチェーンに詳しい一部の人たちだけのものではなくなりました。
また、広告主導ではない、非中央集権的な新しいエコシステムは、多くのアーティストに歓迎されました。
しかしPoW(プルーフ・オブ・ワーク)が引き起こす高い環境負荷や暗号通貨の大きな価格変動、そしてマーケットプレイスが抱える不透明性、アートの社会的価値、芸術が広く経済の交換媒体になる疑問など、様々な問題も浮き彫りとなり、賛否両論、数多くの議論が起きています。その結果、多くのアーティストがCryptoArtの世界に飛び込むのを躊躇する状況を引き起こしているのです。
ライゾマティクスではこの大きなムーブメントが引き起こす問題と可能性を検証するためにはCryptoArtの作品を制作、販売するだけでは問題の本質を理解出来ないと考え、独自でプラットフォームを開発いたしました。本プラットフォームはβテストでの検証、本番環境での実験での成果によって柔軟に変化していく予定です。
今後、ライゾマティクスのアーティスト以外にもプラットフォームの利用を公開していくことも検討しています。ぜひ、ご期待ください。
真鍋大度