青山礼満(アオヤマレマン)
CLUB OPUST代表
1993年3月15日
東京都世田谷区下北沢出身
令和(レイワ)
CLUB OPUST 在籍ホスト
1992年9月19日
東京都千代田区出身
2019年からスタートした連載がようやく10回目を迎える。
何者でもない。ただの“ホスト”の文章を載せ続けてくるQeticさん、読んでくれているみなさまには感謝しかない。
今回は“ただのホスト”の僕と同期である“ただのホスト”の令和くんの対談です。
対談というよりは雑談かもしれない。ファミレスで隣の席の会話に聞き耳を立てる感じで読んでもらえたら嬉しいです。
──ホストになろうと思ったきっかけは?
令和 ホストやる前にスタイリストのアシスタントをしてて、たまたまリースで借りてた洋服を返しに表参道ヒルズに行ったとき、PASS THE BATONの場所借りてSmappa!Groupがホストクラブをやってて。ホストクラブって歌舞伎町の外に出るイメージがなかったから、なんかおもしろそうなことしてるんだなーと思って気になって。で、そのときほんと、このままこの仕事ずっと続けていくか悩んでるときで。
礼満 しんどかった? スタイリストのアシスタント。
令和 まじしんどいね(笑)。生活もカツカツで。スタイリストってつく師匠によって変わると思うんだけど、僕がお世話になってたとこは無給。まあ、お金欲しさに働いてたわけではなかったけど、途中で気づいたんだよね。人に洋服を着せるより、自分が着たい服着たいからファッションの世界入ろうと思ってたんじゃんって。
礼満 俺はね、コラムでも書いたんだけど、友達が歌舞伎町でバーやってるって言ってて。怪しい感じで。で、俺が仕事辞めたタイミングで急に「実はホストなんだよね」みたいな話されて。でも仲いい友達がホストなんだって思ったら、ホストに対する抵抗感が一気になくなって。新しい世界を見てみたいってのもあったな。今までと全然違うところで働いてみたいみたいな。ただすべてを捨てる感じもあったし、そういう意味では当時しんどかったな。でも、なんか勢いあったよね。
令和 あったあった。今でもあの勢いは必要なんじゃないかな(笑)。
礼満 忘れちゃだめだね。あとはちょっと俺らがホストになった6~7年前って、ちょっとホストに対するハードル下がりはじめてたよね。
令和 そのとき多分、ネオホスって言葉がまだ流行ってたね。
礼満 うちのグループだからホストになったっていうのもあるかな。マキさん(手塚マキ)が会長で奥さんChim↑Pomのエリィさんで。なんか変なことやってんなーこの人たち。ちょっと頭おかしいんじゃないかなってのに惹かれたのもある気がする。
令和 多分、このグループ(Smappa!Group)じゃなかったらホストやってなかったかもしれないなー。
──ホストをやっていて困った瞬間は?
礼満 新人時代は優しい嘘はつかなきゃと思ってたから、このあとこっちの子とアフター行くんだけど、もう片方の子には言えないみたいな。今ははっきり言えるけど、当時は嫌われるんじゃないかなと思って言えなかった。でも最終的に嘘つかないことが一番いいってわかったけど。
令和 まだ困るまでの境地に行けてない!
礼満 マキさんの無茶振りくらいじゃない?マキさんの周りの大御所の人とかいるときに「みつき(令和の旧源氏名)、お前ラップしろ」みたいな。
令和 あーそれめっちゃ困る(笑)。まあなんだかんだ楽しんでやってる自分もいるからなーなんだろう困ること……ないや。困ることゼロ! 困らしてください!
──ホストをやっていて嬉しかった瞬間は?
令和 そんなん決まってるっすよ、タワーやってもらった瞬間っすね。
礼満 タワー嬉しいよねやっぱ。気持ちいよな。シャンパンタワーってほんと神々しいよね。タワーの最初の一本って、絶対自分とお客様で注ぐじゃん?
令和 最後の一本もそうだね。
礼満 あの一本ってまじでアドレナリンやばいよね。シャンパンコールの瞬間ってまじで嬉しくない? 特に高額とか。
令和 シャンパン出てないよね、アドレナリン出てるよね。
令和・礼満 ぶわぁ~~~つって(笑)。
令和 ナチュラルハイだよね。
礼満 そうそう、音楽と雄どもの大きい声と。シャンパンコールってトランスだよね。
令和 なんかライブとかに近い感じがあるよね。あとやってもらったってことが1番嬉しい。(お客様と)ずっと約束してて、それをちゃんと果たしてくれたっていうのが。約束を果たしてもらうためにはもちろん自分も約束を守らないといけないし、それの集大成みたいな。
礼満 愛の城?
令和 愛の城だね! アドレナリン城。
礼満 指名してもらって1ヶ月でポンってタワーしてもらうとかないもんね。だいたい、何ヶ月も前からお客様にお願いして、やっぱりお客様に頼ることになるから頼み込みですよ。タワーできるまでいろいろドラマもあるしね、ケンカしたりとか。
令和 さっきも礼満が言ってたけど、嘘つかないのが大事だよね。お互いのことを信用して信頼を築き上げたからこそやってもらえたのかなーって。
礼満 やっぱ正直でいるって大切だよね。
令和 人にものを頼むときは誠実でないとね。そんで(タワーを)やってもらったっていう事実ができるのが大きいかな。やったことあるのとないのじゃわけ違うし。金額がどうであれ、やったことが大きい。
礼満 ホストみんなができるわけじゃないからね。やっぱ1基建てるのに何百万もかかるわけだし。
令和 高額ボトル下ろすのもそうだよね。
礼満 ありがたいよね、ほんと。
──ホストでトップになれる人の共通項は?
礼満 なんだろ。いろんなタイプいるもんね。
令和 自分のビジョンについて説明するのが上手い人じゃない? こうなりたい、ああなりたい、みたいな。
礼満 頭の中のビジョンを人に提示するのが上手い人か。確かにそうかもね。
令和 そう、どうやったら自分の頭の中のイメージを現実に近づけていけるのかとか。礼満とかは見てて上手いなって。だから代表になれたんだと思うし。
礼満 嬉しい(笑)。そういう回だからね! 今日は。あとなんだろうね、共通項。やっぱ男らしい人が多いんじゃない? 男らしいっていう定義はわかんないけど。見てるとやっぱ「男の子!」って子が上にいってるイメージがある。
令和 負けず嫌いが多いよね。でも、表立ってチクショーって言ってるんじゃなくって、沸々と内側が燃えてるようなヤツのほうが多い。
礼満 みんなの前で泣くやつって、赤ちゃんだなって思うんだよね。「見て! 泣いてるよ俺」みたいな。俺も泣いたことあるけど。でもガチで悔しいときってその場で涙出なくて、家帰って泣くからね。そういった意味では、ファッション負けず嫌いとガチの負けず嫌いの2パターンいると思う。ガチの負けず嫌いのほうが上に行くんじゃないかな。月末までは何百万って売り上げてても、1日にはまた0からのスタートじゃん? 翌月の出勤日にな瞬間顔つきが違うやつとかいるもんね。目とか笑ってないみたいな(笑)。前月の締日まじで悔しかったんだなって。そういうやつがやっぱ上行くよね。
令和 いるね。月頭ミーティングのときとか。おちゃらけキャラなのに、顔がスンとしてるやつ。
礼満 ああいうやつ強いよね。
──休みの日の過ごし方は?
礼満 なにしてんの? 休みの日。
令和 ご飯食べに行くことが多いかな。俺、けっこうデートスポット探すの好きだね(笑)。じゃらんとかファッションプレスとかよく見る。
礼満 みっちゃん(令和)は東京のことめっちゃ詳しいよね。俺は地元の友達と遊んでるかなー。やっぱ、これは自分たちのいいところであり悪いところでもあるかなとは思うんだけど、歌舞伎町にいたくないんだよね。休みの日は。
令和 わかる。休みの日まで歌舞伎町にいたくない!(笑)
礼満 なるべく地元の友達とか、歌舞伎町から離れたコミュニティの人と話したいって思いがけっこう強くて。服屋とか飲食店とか他業種の人と話してるほうが楽なんだよね。まあお店の子たちと遊ぶのももちろん楽しいけど。
令和 なんか別モンだよね。
礼満 なんかここだけ(歌舞伎町)別の国みたいなんだよね。毎日アメリカに仕事しに行ってるみたいなテンションなのよ。国って認識なんだよね、歌舞伎町って。
令和 働いてる場所であって地元じゃないからね。なんかまだ歌舞伎町民になれてない。
礼満 でも好きだよね。
令和 うん。好きになったね。
──彼女ができたことがない人へのアドバイスをください!
令和 彼女ができたことがない人へのアドバイス? うーん、そいつが彼女ほしいかどうかで全然話し変わるからな。
礼満 どれも出会いって思えばけっこうすぐ作れるんじゃないかな? まじでみんな出会いないって言うじゃん? いや、一瞬一瞬出会ってるよって思うよね。
令和 ホントそう。
礼満 そこで勇気があるかないかだよね。一目惚れとか大切にしたほうがいいと思う。
令和 怖いから動けないんじゃないの? アタックしたら嫌われるとか。嫌われるって思ってる時点で、ないなって感じなのよ。
礼満 でも大人になってから思うけど、友達作ることすら大変だよね。彼女も然りだけど。ちょっと頑張んないと友達って作れないよね。もういい友達がいっぱいいるからこれ以上ほしいとかはあんま思わないけど、小中学校のときって、ずっと一緒にいるじゃん? 勝手に友達になるからさ、だから大人になってから彼女作るのってけっこう大変だと思います。
令和 (笑)。確かに。思春期のときは、選べなかったしね。大人になったら付き合う人とか友達とか選べるし。
礼満 むずかしいな、この質問。俺らもしっかりできてないからな。
令和 ホストとして答えるとか?
礼満 技術的なところね。であれば、相手にちゃんと興味をもつことでしょ。自分を知ってもらうっているのは一回置いといて、まずは相手の好きなこととか嫌いなことをしっかり把握することじゃない? やっぱり、これやったら怒るとか、喜んでくれるんだってことを探ってかなきゃいけないから。気持ちいいところを見つける努力をしないとね。
令和 そうだね。いいところも悪いところも。
礼満 やっぱ興味持つことだね。で、嫌いなところも受け入れる大きな心を持つ。好きなんだったら、その人特別だから。
──まだ女性と枕を交わしたことがない人へのアドバイスをください!
令和・礼満 どっちどっち?(笑)
令和 普通のエッチのこと、俺ら枕なんて言わないから。
礼満 童貞の人へのアドバイスか。焦んなくていいと思う。俺10万払って童貞に戻れるなら戻りたい。めっちゃドキドキするじゃん。あの感覚もうなくない? アドレナリンドバドバじゃん。まじで焦んなくていいと思う。俺は変な感じで捨てちゃったから。大切にして欲しい。
令和 俺、逆だわ。なんかそんなに、大切に扱うもんでもないなって思う。
礼満 思ってるほど世界変わんないよってことか。
令和 とりあえずめっちゃ気持ちいいよ~みたいな(笑)。めっちゃ気持ちいいから。肉体的も気持ちいいし、精神的にも気持ちいい。なんかまじでそのへんの行きずりの男でも女とでもやったほうがいい。
礼満 僕はそんなこと思わないですけど(笑)。ここはもう真逆だね。
令和 で、しかもたくさんセックスはしたほうがいいって思うかな。そっちのほうが楽しいくない?
礼満 すげー思うけど、100人とするよりは一人と100回してる男のがかっこいい。1番かっけぇ。
令和 そう、たくさんするって言うのは、そういうこと。
礼満 同じ女の子を何回も抱いてる男のがかっこいいよね。そのほうがイイ男だよね。だから、世のボーイズ。人数でイキってるやつはクソ!
令和 そうだよ、Twitterとかでオフパコ募集なんて言ってんじゃね―よ! って感じですよほんとに。
礼満 めちゃくちゃいるもんね、歌舞伎町。俺、100人くらい抱いてっからとか言うやつ。まじでかっこよくないから! 口縫ってあげたいもん。だったら、俺好きな女いて、超一途なんで。みたいな男が1番かっこいいからね。
──これからホストになろうと思ってる人へのアドバイスをください!
礼満 人生で一回はやったほうがいいと思います。本当に普段出会えないような人にたくさん出会えるし。“女社長”とか出会わなくない?
令和 まあね。普通に過ごしてて女社長はなかなか出会わない。
礼満 ボロボロに傷ついてる風俗嬢の子とかにも出会わないしさ。ほんとにいろんな人に出会えるからね。人生経験としてはいいよ。俺、ガキできたら絶対ホストやらせたいけどね。1年……いや石の上にも三年だから3年くらい! 経験としてやってみるのは全然いいと思う。めちゃ楽しいよ。なんか、男の子の「楽しい」がいっぱい詰まってる気がする。
令和 やりたいと思ったら、絶対やったほうがいいよね。
礼満 しゃべりが下手でも、顔が良くなくても、人生の経験としてやってみてほしいなーって思う。
令和 売れる売れないはあんま関係ないよね
礼満 もちろん売れることを目指して入ったほうがいいと思うけど。(歌舞伎町は)違う国ってさっき言ったじゃん? だから、海外留学するつもりで来ればー? って感じ。ね? おもしろいよね?
令和 おもしろい!なんの仕事にも共通するんだろうけど
礼満 ほんといろんなホスピタリティが詰まってるから、対人関係強くなるよね。それこそ彼女欲しいんだったらホストやれば? って感じ。ホストを上がったあといい恋愛できる気しかしないもん。今はまだ仕事に集中しなきゃって思うけど。
──歌舞伎町に染まったなと思う瞬間は?
礼満 みっちゃんは一瞬、ガチガチのホストのスーツスタイルのがかっこいいわみたいなさ、歌舞伎町染まってたときあったじゃん?
令和 あるある。やっぱ見た目から入るのも大切かなって。
礼満 俺はそういうのイケてると思うのよ。みっちゃんみたいなおしゃれな男の子が、敢えて歌舞伎町っぽいファッションするのって。なんかおもしろいよね。でも昔の写真見るとちょっと恥ずかしかったりしない?
令和 けっこうそれはそれでいい思い出かなー。でもやっぱ染まってかないと行けないのかなって思ってたよね。
礼満 あの、地元の友達にしゃべり方変だよって言われたときも染まったなって思ったな。やっぱりちょっと間が怖いとか、(仕事柄)途切らせたくないじゃん? 会話を。シーンとした瞬間が嫌いじゃん? だから常に間髪入れず話し方をするようになってて、それを指摘されたときに染まったのかもって思ったかなー。
令和 歌舞伎町に染まったか~、そうね連絡のレスポンス早くなったかな! あと、生活リズム。一番は。
礼満 そうね。昼過ぎスタートになったもんね。朝まで起きてるのは当たり前だよね。
令和 寝ないでそのまま出勤もあるしね。なんだろ、みんなは日が沈んでから寝るけど、日が昇ってから寝るっていう生活だから、普通の人が朝日みて「今日もがんばろー」ってなると思うんだけど、俺らは「朝だー、やっと寝れるわー」みたいな感じになるよね。根本的に変わったって思うのはやっぱり生活リズムですね。
──今まで歌舞伎町で危ない目にあったことはありますか?
礼満 ある日コンビニ出た瞬間に、缶コーヒー置いてあったのね。で、扉パッて開いた瞬間にパコーンって蹴っちゃったの。気づくわけないじゃん、扉開いた瞬間に缶コーヒーあるなんてさ。目の前だよ? そしたら、缶コーヒーまだ半分くらい入ってて、目の前のガードレールに腰かけてた外販の人のエアマックスにふっかけちゃって。「やば!」と思って、「すみません!」ってすぐ謝ったら、「いや、このエアマックス今日おろしたんだけど」って言われたんだけど、そのエアマックスボロボロなの。
令和 (笑)。
礼満 100%嘘じゃん。今日おろしたって言うけど、いやいやソール大分すり減ってるよ? みたいな。なんかもうそのコーヒーの染み以外にもすでに汚れてるようなエアマックス履いてたの。でも、俺言えないわけよ。それ今日おろしたやつじゃないっすよねとか言えないじゃん、こっちも。
令和 うん(笑)。
礼満 「お前ちょっとどうしてくれるの」って。「すみません!」って言ったけど「いやそうじゃなくて」って。要は新しいエアマックス欲しいんだよね。だからお金が欲しいんだろうね。「クリーニング代出せよ。これ、¥15,000くらいしたからお前¥15,000よこせよ」って言われて。もうちょっと腹立ってきて、こっちも(笑)。だからとりあえず、じゃあ靴のクリーニング僕ちょっと探すんでって言って。相場見て¥3,000だけ渡したの。靴のクリーニング¥3,000なんで、あれだったら僕が持っていきますよって。そしたら向こうも「ああじゃあそれでいいわ」って。結局それで俺¥3,000とられたの(笑)。
令和 それよくねぇやつだ。こっちからしたら(笑)。
礼満 それが結構俺の中で危ない目だったかな。ちっちゃいけどね(笑)。意外とだから安全なのよ。そのレベルくらいしかないから。あった? 危ないこと。
令和 危ないこと……? うーん、ない(笑)。
礼満 あんまないよね。あとなんか、ホストと女の子が喧嘩してて、男が女の子のことしばいてたのね? だから「やめなよ!」って言って結局ホストにも女の子にも逆ギレされるっていう(笑)。俺はよかれと思って「いや良くないよ、殴っちゃダメだよ。」って金髪のホストに言ったけど「うるっせぇよ!!」って。女の子のことも助けようと思ったのに、女の子からも「あんたには関係ないでしょ!!」って。この街いかれてんなぁって思ったよね。だから危ない目っていうか、いかれてんなぁって思ったことはいっぱいあるよ多分(笑)。
令和 なんか人間ロケットみたいな人沢山いる。歩くとき絶対避けない人。当たったら一発で死ぬみたいな(笑)。マリオとかでいうキラーみたいな。球みたいな感じで。そういう人多い(笑)。
礼満 「俺の道だ。どけどけ!」みたいな。
令和 そうそう。
礼満 意外と「ちゃんと」してれば危なくない街なんで。本当に。俺も6年働いててそういう話くらいしかないから。
令和 こっちが変なことしない限り何も変なことは起きないし、そこが歌舞伎町ってこう、治安が保たれているのかなぁって。
礼満 なんかね、雰囲気というかね。まあ外からみるイメージはそりゃ、怖いよな。
令和 そうだね、確かに。危ない人がいるの前提で俺らはこの街にいるから、別に自分がそういう危ないことしなければ危ない目にあわない。
礼満 でも危ない人はいるよね(笑)。
令和 危ない人はね、全然いる。
──同伴はどんなところに行きますか?
礼満 どこだろ、恵比寿……とか、渋谷、表参道、青山……。ちょっと気はった時に西麻布……あんまり麻布の方は好きじゃないけど。
令和 結構外れたところ行く。下北沢行ったり、あとは最近だと豪徳寺に行った(笑)。経堂とかも行ったし、カレー食いに行きたいってなって、カレー探しに行って……とかもあったし、結構いろんなところ行きます。
──同伴先はお客様からリクエストがあることが多いんですか?
令和 いや、俺、勝手に決める。
礼満 俺も、どっちかというと自分で。結構歌舞伎町にいる子達って、ここから出ない子めっちゃ多いんですよ。だからここから連れ出してあげたいっていうか。まあ付き合ってもらってる感じの方が強いのかな。俺、こういうところ行きたいから、とか。歌舞伎町にいたくないってのがあるかな、外の世界ちゃんと見てたいって気持ちが結構強いから。
令和 なんか高いもの食べに行くとかじゃなくていいから、普通に歌舞伎町の外に行きたいっていうだけだし。
礼満 どうせ歌舞伎町で最後ね、また飲むわけだし。
令和 そうそうそう。どうせ歌舞伎町に行くんだから。
礼満 大事よね。でも、お姉さんのお客様って、歌舞伎町で始まって歌舞伎町で終わるのって、やっぱり嫌がるもんね。
令和 あ~、言ってこないけど、内心まあそれまでの人なのかな、みたいな感じで思われてるのかもしれないしね。
礼満 あと逆も然りで、お客様からそういう外に連れ出してもらうパターンもあるから、自分の知らないお店とかを知ったり。たとえば、フレンチのテーブルマナーとか俺知らなかったしさ。まあ、今なんか結構カジュアルだから、そんなガチガチにやらなくてもいいけど。ナイフ、フォークの使い方もやっぱり最初お客様に教えてもらったし、そういう意味でもいろんな学びがある。普通にさ、(ホストじゃなくて)スタイリストやってたりとかさ、カフェで働いてたりとかしてたら、高いフレンチなんて行かなかったじゃん。
令和 まあ、行かないね。絶対行かない。いや絶対は、ないけど……。
礼満 多くはないよね。それこそ経験で、1回行くくらいかもしれないし。だからそういう(フレンチやテーブルマナーを知る)経験ができたのとかも、俺はすごく良かったなって思うから。
令和 必然的にごはん屋さんとかに詳しくなるし。
礼満 そうね。プレゼン力も、女の子を楽しませる幅も広がると思う。
──お客様と遠出することもあるんですか?
礼満 旅行、何回かしたことあるよ。
──やっぱり同じ部屋、なんですよね?
令和 別々で泊まるってのは、ないよ(笑)。
礼満 これちょっとね、すごい、超つっこんだ話ね。まあ……ツインってのは、ないよね(笑)。やっぱり、ツインで(部屋を)頼んだらもうその子、多分、ねぇ(笑)。
令和 (ツインで予約とるくらいなら)わざわざ旅行行こうって、どっちも言わないでしょう。
礼満 ダブルだよね、絶対。キングダブル。ベッドは1個だよな。
令和 うん。まあ二つ借りたり(部屋を)するけど……。
礼満 でも二つ借りた時点で向こうも「ハイ……」って感じじゃない?
令和 いやー、まあまあまあ……。や、これしかとれなかったんだよね、みたいなの結構あるし……。
礼満 嘘つきタイプね。
令和 嘘じゃない! 嘘じゃないんだってこれが!(笑) ちゃんとみて(予約サイト)、二つしか空いてなかったんだけどこれでいい? って。
礼満 そういうところの細かい気配りの色っぽさってのが、すげー大事だから、俺ら。細かいことかもしれないけど気になるもん。ちょっとツインではとれないわ。女の子も旅行行こうってさ、絶対楽しみじゃん。旅行行きたくて頑張ってくれた分、絶対あるしさ……。
令和 すごい本当、しょうもないことなのかもしれないけど……。
礼満 特に俺らの世界はね。
──スマートなエスコートの仕方とかは先輩から教わるものなんですか?
礼満 もちろん教わるけど……。例えばタクシーは一番下の子が急いでとめに行くとか、タクシー乗せるときに頭ぶつけないよう(車の天井部分を)手でカバーしたりとか、いろんなおもてなしってあると思うけど、やっぱり先輩がかっこよかったからね。スマートに仕事していて。「わあ、かっこいいな。俺もやりたいな」って思ってた。
令和 見て学んだのかな。聞いたりとかはなかったかもしれない。
礼満 光さんっていう先輩から学んだことが多いかな。接客は最高に面白いし、テンションも高いし、ホストとして一流なんだけど帰り際とか、ありがとうございますとか、そういう感謝を絶対忘れんなよっていう姿勢で。高いお金払ってきてくれてるんだからっていう気持ち、スタンスは今でも俺ら結構残ってるのかなあって。近くでいろんなお客様みてきたから。
令和 なんかそういうところみてるんだなあ。目の付け所っていうか。多分人が結構見落としていそうなことを意外とみていて。あまりキャラじゃないから、そういうなんていうかスマートな感じでもないし。ただやっぱり考えていることは、そういうのすごい大切にしているから、実力が伴うのだろうなあと。
──スマートな接客というか、かっこいい接客について具体的に聞きたいです。
礼満 女の子が求めているものっていろんなものがあると思うけど、結果「男と女」なんだよね。どんなにホストとお客様の関係でも、やっぱりお客様が求めている部分って男と女という要素がすごく強いから。「女の子でいさせてあげるカッコよさ」みたいなものは今になってすごくわかる。スマートというか、女性はいつまでも女性で、いくつになっても女性だから、それを忘れさせない感じというか。やっぱ好きな子に会いに行くとき、新しい服をおろしたり、髪の毛染めに行くとかあるじゃん。女の子だったらネイルしようとか、やっぱり(そういうお客様が)多いんですよ。月に1回来てくれる子で「今日美容院行って、ネイルに行って来たんだ」って。結果的に出会ったときより綺麗になってくれていたら、すごい素敵なことだよね。
令和 万々歳だね。
礼満 そうそう。出会ったときよりも、綺麗になってほしいよね。
令和 そうであってほしい。どんどん(女の子が)みすぼらしくなっていくとさ「お前やってんな」ってホストがなっちゃう。
礼満 スマートな接客とはちょっと違うかもしれないけど。
──逆に、お客様がどんどん疲弊していってると感じるときはありますか?
令和 ある、全然ある、今。疲弊している原因はその子に頼りっきりになっていることだから……。
礼満 難しいよね、頼られるのが好きな子もめちゃくちゃ多いからね。
令和 そうそう、だから疲弊してるのってなんか別に悪いことだけじゃないのかなとも思うし、でもなんかそのケアみたいなものを人一倍、いつも以上にやることが大切なんじゃないかな。その子以外にも時間を使わないといけないって思うし。
礼満 難しいよね。
令和 難しい。バランス考えなきゃと思うし。
礼満 俺らからしたら10〜20人のうちの一人かもしれないけど、向こうからしたら1だからね。それを感じさせないようにしなきゃいけないっていうのは、結構大変なホストのスキル。
令和 それをできるようになってからが多分、本当のホストなんだと思います。まだ出来てないんだよな。まず1対1、1人をちゃんと出来てないので、できるようにしなきゃみたいなのはすごく思うけどな。
礼満 疲弊しちゃうのはそうだよな、わかるよ。疲弊させてるもん……。やっぱり抜くとこ抜いてあげないとね。
令和 もういやだってなって、自分の前から消え去る人なんて山ほどいると思うし。でもそれを俺らから「じゃあわかったもういいよ」ってやるっていうのは絶対ないし。
礼満 僕はたまにありますね(笑)。昔はストレスを買ってでも売れたかったけど、いまは自分のストレスが1番仕事に影響出るから、嫌なんだよね。お金払ってもらってるからって、全部の要求答えられるわけじゃないって思ってるから。無理してる自分も好きじゃないし。あくまで超いい心のバランスの中で接客したいなって思ってる。
令和 (お客様から)先にしたいことを言われるよりも、その子が何をしたいのかを、自分で私はこうされたいって言われる前にやらないといけないのかなって。
礼満 それこそ、やっぱ興味を持つことじゃない? さっき言った、相手が好きなとこ、嫌いなところをちゃんと把握するっていうのは普通に対人関係において超大事なことだよね。ホストだけじゃなくて、社会を生きていく上で。
令和 そうそう。忖度するのは大切で、(相手の)思いを推し量ることが大切なんじゃないですかね。
──結婚願望はありますか?
礼満 結婚、すごい気になるずっと(笑)。コラムでも結婚について書こうかって思ってるくらい。俺らってちょっとさ、暗黙の了解で禁止されてるというか、別に新しい形があっていいんかなと。別にいま相手がいるとかそういうんじゃないけど。
令和 結婚してるからホストできないってわけでもないし。法律で決まっているわけでもないし、全然いいと思うけどね。
礼満 いつまでにする?
令和 30くらいにはしたい……。
礼満 すぐじゃん。いなくなりそうなんだけど。
令和 結婚、したいなあ。逆に結婚してもホストしてたい。
礼満 その新しいビジョンをやっぱ見たいよね。
令和 いろんなタイプの女の子がいると思うし、イケメンとセックスしたいから来てる子もいるだろうし、ただ単純に楽しい人達とお酒飲みたいから来てる子もいると思うし。マッチすればって感じじゃない?
礼満 そうだね。需要と供給だね。
令和 間口はどうしても狭くなっちゃうかもしれないけど、出来ないことはないと思うから。それで結果出せるかは難しいと思うんですけどね。だから既婚者ホストがいても、別に全然いいんじゃない? 公にそれ(結婚)を言っていても。
礼満 最近やっぱり考えるね、結婚。してみたいなぁ。
令和 結婚、まあ1回はしてみたい。まあ1回しか出来ないものだって思ってるけど(笑)。
礼満 1回で終わって。1回は、じゃなくて1回で終わって(笑)。意外とだって俺たちこういう仕事していろんな女の子みてるから、本当にめちゃくちゃいい恋愛する気がすんのよ。女の子のいろんな嫌なところもいいところも、いっぱいみてきたから。多分。結構知りつくしてるじゃん。
令和 そうね。大恋愛してきた? そういえば。
礼満 俺はしてきたと思ってるよ。結構ちゃんと。みんな長かったからね。2〜3年とか。ちゃんと“ママ”に紹介してるし。でも変わるよね、そういう恋愛すると。
令和 変わる変わる。1人の人と長く付き合えるっていうのがでかいよね。人間力あげるためにも。
礼満 本当に顔面じゃなくならない? この歳になると。
令和 うん、なる。
礼満 居心地の良さとか。だから先人達の言ってきた言葉ってマジなんだなって、すげー思うもん。
令和 可愛い子なんていくらでもいる。
礼満 そう、可愛い子なんていくらでもいる。でも、本当にこいつ居心地いいなっていう子ってなかなかいないよね。こんな話していいのかな(笑)。ホストの恋愛観みたいな。
令和 ホストの恋愛観(笑)。
──いろんな女性と接するじゃないですか。ハードル上がったりしないんですか?
礼満 ハードル、あがるかもね。
令和 トータルのハードルは上がってるかも。確かに。
礼満 あとはね、すごいマジな話ですけど……お金は持つじゃない、人よりも。サラリーマンの年収を1ヵ月で稼ぐ調子いいときもあるし。それでどっちかわからなくなってくるときあるよね。俺のこと好きなのかな? それとも俺の「生活」が好きなのかなっていう。どっちも好きなんだろうけど、わからないけど、そういう瞬間とかあるよね、たまに。
令和 うん、そうだね。逆にそう思ってるのかもしれないしね、女の子の方も。
礼満 選ばれたり選んだりとかがあるわけじゃない、こっちからアプローチしたりアプローチされたり。でも明確に選べる側になった気がするのね。嫌な言い方だけど。
令和 あー(笑)。
礼満 結構それはすごいホストはじめて、嫌だったこと。もっとしがみついた方がいい恋愛できる瞬間ってすごいあると思うし、サラッと嫌なところがみえたら「嫌だな」って思う瞬間もあるから。もっといい子いるだろうとか思う瞬間って、絶対あると思うんだよ。そういうのは本当に歌舞伎町のせいだなと思う。
令和 (笑)。
礼満 普通のまま、ホストやってなかったらもうちょっといい恋愛できたのかも。まあ今後、俺はいい恋愛できると思うけど。だけど、それはたまに思うっすね。現役中は特に。だから(ホスト)上がったあとが楽しみ。普通になったとき、結構楽しむかもしれないけど。
──いい恋愛って何ですか?
礼満 いい恋愛……いい質問ですね。お互い尊敬しあう、お互い尊重しあうことじゃないですかね。好きって感情よりも尊敬って感情が1番大事な気がする。それってなんか女の子以外にも思うけど、リスペクトもらってる人に対してはリスペクトで返したいもんね。
令和 感謝と尊敬は大切です。
礼満 いい恋愛って何ですか?
令和 う~ん、なんか薬物みたいなのが多分1番いいかもね。でもそれってはたからみたら悪い恋愛かもしれないし。自分がいいと思うのが、本当アバウトなんだけど、いい恋愛なんじゃないですかね。
礼満 四六時中その子のこと考えたいもんね。溺れたいよな。
令和 あ~、そうそう。自分以外のことで考える時間を結構使ってる。そうだったら、本当にいい恋愛なのかなとも思うし。
礼満 不安じゃなくて、心配って思えるならいいよね。連絡取れないとき「何で連絡とれないの、誰といるの?」って不安よりも「事故ったんじゃないか、なんかあったのかな……」って思える方が、いい恋愛な気がする。
令和 うん。あとかっこつけなくていい、とか。
礼満 わかる。
令和 かっこつけないで、素でいられるのが1番。素でいさせてくれるような相手がいいのかもしれない。
──溺れたことあるんですか?
令和 恋愛に?(笑)
礼満 あるよ。
令和 俺はないかも。
礼満 ホスト始める前とかもうズブズブだったときあったもん。好きすぎて、みたいな。ない!?
令和 なんだろうなあ……溺れるってどんなの?
礼満 やっぱなんか会った時とかここが(心臓が)ギュッとすんのよ。本当。胸ってギュッてなるんだみたいな(笑)。仕事もなんかおぼつかないみたいな。全然あるっすよ。
令和 精神的になのか、肉体的になのか、ちょっとわけわかんなくなっちゃってるときとかあるけど。なんかセックスにハマってるのかなあ、みたいな。その……。
礼満 恋愛してないね(笑)。
令和 違うのよ(笑)。でも、切っても切り離せないものとして出てくるのがセックスだから絶対に俺は。セックスない恋愛なんて恋愛じゃねぇって思っちゃう。
礼満 いい価値観ですよね、別に。
令和 普通じゃない? 性格と性癖は同じくらい大事なものです、一緒みたいなもんですって。
礼満 お互いアクティブになれるのはいいかもね。こういうのやってみようかみたいな。許容範囲が広いとか。
令和 セックス抜きで出来る恋愛ももちろんあるんだと思うけど、まず付き合う付き合わないとかよくわからないじゃん。「付き合うって何?」みたいな
礼満 いまの時代、特にそうだよね。付き合わなくても同じことできるし。
令和 俺らって、お互い信用してるっていう確約がほしいだけじゃん。ちょっと言い方悪いんだけど。付き合う、付き合ってるって。話脱線しちゃったんだけど、「付き合うって言わせたいんでしょ?」「付き合ってほしいって言わせたいんでしょ?」って(こっちが)思うような感じでくる人いるじゃん。
礼満 シーソーしてくる人?
令和 そうそう。そういうのじゃなくて「気づいたら一緒にいました」ぐらいの方がさ。だって俺、付き合ってから初めてセックスするみたいなの絶対無理だもん。付き合う前にセックスしたい。
礼満 俺はどっちでもいいわ。
令和 「付き合ってよ」って言うのって……どうだった? 結構いろんなパターンあると思うんだけど。
礼満 俺は正直、あんまりセックスの相性ってわからんから(笑)。28年間にしたセックスした相手の中で、どの人が相性良かったとかあんまりわかってないし、だったら別に普通にもう溺れるくらいの恋をしたい(笑)。なんかもう誰にも渡したくねえ、みたいな感じの激情型の恋愛の方が俺は結構楽しいかも。性格違うね、そこは。
令和 そうだね。俺はもう、快楽主義者(笑)。楽しい方に流れちゃうから。一緒に楽しめる相手募集してますって感じ。
礼満 ヤリチン君?
令和 ヤリチンとは違う。
礼満 違うんだ。快楽主義者ね(笑)。
令和 そう。違うんですよ(笑)。1人の人といっぱいしたいだから俺は。
礼満 それ大事よね。そりゃいっぱいしたいよね同じ人と。それ大事よ。
令和 大丈夫これ(笑)?
──最後に、これからの目標は?
令和 売れたいっすよね。1番は早く礼満に追いつきたい。
礼満 いい大人になりたいね。いい男になりたい。ホストだからとかじゃなくて、普通に男としていい男で勝負したいなってのはあるから。ホストの勝負じゃない。結局男売ってるからね俺ら。だから、いい男で居たいし。
令和 かっこいい奴になってたいかな、やっぱ。
礼満 そうだね。かっこいい男で。
令和 かっこいい男でいたいから。ですね。なのでこれからもお願いします。
礼満 なんかちょっと恥ずかしかったな(笑)。