Qeticでは『アートブックノススメ』として、毎月編集部がピックアップしたアートブックを紹介しています。
今回は年末年始特別版として、アーティストやクリエイターがオススメする書籍をご紹介! アーティストたちの本棚にはどんな本が並んでいるのか、中でもオススメの一冊とは!? リアルな本棚の写真や、お気に入り書籍の紹介コメントも。2022年に向け、新たなインスピレーションを与えてくれる一冊をぜひ見つけてほしい!
今回は、初VR作品『VR CYPHER』がファッション/カルチャー/アート分野のXRコンテンツアワードNEWVIEW AWARDS 2021のファイナリストに選出されたEguo a.k.a. Video Bouillonが『問題外科』(『宇宙衛生博覽會』収録)/筒井康隆をピックアップ!
Eguo a.k.a. Video Bouillon -『問題外科』(『宇宙衛生博覽會』収録)/筒井康隆
読書といえば最近は専ら電子書籍で役に立つ専門書や実用書を読むばかりの残念な人間になってしまったのですが、10代から20代の頃はよく小説を読んでいました。
安部公房、フィリップ・K・ディック、ウィリアム・バロウズなど、影響を受けた小説家は数多くいますが、特に強く影響を受けた小説家といえば筒井康隆です。
長編ですと『脱走と追跡のサンバ』『虚人たち』『虚航船団』『残像に口紅を』『朝のガスパール』『夢の木坂分岐点』などの実験小説は創作面において強く影響を受けましたし、『旅のラゴス』『パプリカ』などは何度も読み返したほど好きな小説です。短編ですと『幻想の未来』『問題外科』『マグロマル』などなど。筒井康隆は超多作なので随筆も含めて好きな作品を挙げたらマジでキリがない。
今回はその中でも最も衝撃を受けた短編小説『問題外科』(『宇宙衛生博覽會』に収録)をオススメしたいと思います。
医者が手違いで健康な女性を手術してしまうというあらすじのこの作品は、極めて非倫理的で極めて残虐的です。救いもなく、教訓もなく、風刺や皮肉が効いている訳でもなく、ただただ狂気に満ちているだけのエロ・グロ・ナンセンスなコメディ(!)小説なのですが、その狂気が突き抜けすぎていて爆笑と同時に感動を覚えた最高な作品です。
近年のポリコレ的な配慮も大事ですが、このような倫理的に非常によろしくない作品も許容される世の中であってほしいと切に願っています。
2021年はアーティストやクリエイターがフリースタイルにXR表現し合うコミュニティ活動「NEWVIEW CYPHER」に参加し、VR/AR表現に初挑戦しました。
2022年も引き続きXR表現を追求し、XR表現を取り入れたオーディオビジュアルライブも精力的にやっていきたいと思います。
PROFILE
Eguo a.k.a. Video Bouillon
東京出身のオーディオビジュアル・アーティスト。これまでに自作の電子音楽と映像を融合させたビデオ作品を数々発表。
2017年、Video Bouillon(ヴィデオブイヨン)名義でオーディオビジュアル・ライブパフォーマンスの活動を開始。恵比寿リキッドルームや音楽動画メディアBoiler Room/DOMMUNEなどでライブを行う。2019年、Eguo名義で音楽アルバム『Digital Maze』と4本のMVをリリース。
2021年からはVR/AR作品の制作も行っており、初VR作品『VR CYPHER』がファッション/カルチャー/アート分野のXRコンテンツアワードNEWVIEW AWARDS 2021のファイナリストに選出されている。
その他VJやフライヤー/ポスターなどのアートワーク、YouTubeのインタビュー番組ニートtokyoに所属するなど多岐に渡って活動中。10代の頃はラップをしていた。