大阪「FLAKE RECORDS」のダワさん。名古屋「stiff slack」の新川さん。cinema staffという現役バリバリのバンドをやりながらも自分のレコード屋をオープンさせちゃった東京「Like A Fool Records」の辻ちゃん。個人経営のレコード屋って大抵キャラの強い名物店長的な人がいるけれど、香港「White Noise Records」のGary Ieongもその類。抑揚の強い、広東語訛りのユニークサウンドな英語で話し出すと止まらなくて、喋り出しにいつも「ライカ〜……(*Like a……のことで、ていうか〜、というニュアンス)」をつけるのが口癖で、垂れ気味の切れ目で愛嬌のある笑顔を見せながら下ネタを話すのも好きな、イージーゴーイングな奴だ。でも音楽のこととなると大抵の日本人が知らないような、日本のアーティストの名前を挙げて「◯◯知っているか?」と熱く語りだすし、一方でゲスの極み乙女。なんかもしっかりチェックしていてお前はあれ、どう思う?なんてことを聞いてきたりもする。
Gary Ieong from White Noise Records
連載第一回はtfvsjsとGDJYBという香港のアーティストの視点を交えながら、香港のミュージック・シーンを紹介してきたが、第二回は、そんなWhite Noise RecordsのGaryとのインタビューを交えて、彼らが香港でやろうとしていることや彼の視点でのミュージック・シーンを紹介していきたい。
「White Noise Records」(以下、WNR)は、九龍(Kowloon)の旺角(Mong Kok)駅近くにあり、香港の観光名所であるナイトマーケット・女人街なども近くて、比較的栄えた、観光次いでに寄りやすいような場所にある。ここは国内外のアーティストのCDやレコードを販売するいわゆるレコード屋。ただ、「WNR」は単なるレコード屋だけではない。「WNR」のオーナーGaryの言葉を借りると、
「WNRは2004年からやっていて、国外のインディーズ音源を輸入してWNRで販売したり、中にはライセンスを受けて、WNRからリリースして香港や他のアジアの国で流通させたりしている。それに、国外のアーティストを香港へ招致してライブを主催したり、香港だけでなくアジアツアーを組んだりもしている。それから、2013年より国内(香港)のバンドで唯一、”tfvsjs”と契約をして彼らの作品をリリースし、マネジメントにも関わっているよ。僕たちの最終的なゴールは、ただ単純に国内と国外の音楽的繋がりや交流を強め、発展させていくことだよ。」
White Noise Records店内
Mei(姉)とJer(弟)の看板兄弟猫が出迎えてくれる
これは冒頭に挙げた三つの日本のレコード屋も同じだが、国外と国内のミュージック・シーンを繋げるためにこのような多角的取り組みを行っている。取り扱っているアーティストはインディーズがほとんどのようなのだが、そもそも音楽のマーケット規模が日本とは全く違う香港で、メジャーとインディーの違いはどの程度あるのだろうか?
「もちろんメジャーとインディーの違いはあるけれど、その差は小さく狭くなってきているね。ソーシャルメディアのおかげでどのアーティストも費用をかけることなく自分たちをプロモートできるし、ラジオやTV番組でもインディーミュージックがかかることも増えてきた。彼らもリスナーがインディーミュージックに興味をより抱き始めてることを知っているしね。ただ、やはりジャンルにもよって、インストゥルメンタル、ポストロック、ハードコアみたいなジャンルはやっぱり難しいね。」
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