アジアン・インディー・ミュージックシーン

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GDJYB」「tfvsjs」。この全く意味をなさないアルファベットの羅列は、どうやら香港のインディーズバンドの名前らしい。確かに、インディーズ臭漂ってますよね。こういった少し斜に構えたひねくれネーム、香港では流行ってるんでしょうか?

アジアン・インディー・ミュージックシーン 〜vol.1「香港」with tfvsjs and GDJYB〜 GDJYB-Artist-Photo

GDJYB

アジアン・インディー・ミュージックシーン 〜vol.1「香港」with tfvsjs and GDJYB〜 tfvsjs_Artist-Photo

tfvsjs

先月、京都&滋賀の爆裂変拍子バンド・tricotの自主レーベル〈BAKURETSU RECORDS〉の姉妹レーベルとして、海外のアーティストをリリースするためのレーベル〈BAKURETSU INTERNATIONAL〉を立ち上げた。これはtricotが海外で積極的に活動する中で、実際に世界各国で体感した音楽やシーンに、日本では紹介されきっていない、知られざる面白味やかっこよさを見出したことがきっかけだった。

そこで冒頭の2バンド。tricotのアジアツアー香港編で2014年に「tfvsjs」、2015年に「GDJYB」と一緒に対バンしたわけなんですが、これがまあ、両バンドともにかっこよくて。それは自分にとっても意外だったのだ。香港にもこんな音楽があるんだ、と。どちらかといえば、tricotという日本のかっこいいバンドを見せつけに行くためにアジアツアーを組んだ訳だったので、そんな思ってもなかった世界の広がりを、香港だけでなくアジアツアーで回った各国が与えてくれたのだ。

GDJYB / Double Nono

tfvsjs / days of daze

意外性と新鮮味ってのはいつでも世界を広げ、感受性を刺激してくれるもので、じゃあそのきっかけになった「tfvsjs」と「GDJYB」を日本でリリースしちゃえばいいじゃないかってことで、〈BAKURETSU INTERNATIONAL〉を立ち上げ、スプリットアルバムとしてリリースすることにしたのでした。

そんな、まだ日本人には馴染みのないアジアの「おもしろい、かっこいいミュージックシーン」について、アジア各国のローカルピーポーに聞いてみようということで始まったのがこの連載。第一回目となる今回は「tfvsjs」と「GDJYB」の声を介して、彼らが生まれた香港のインディーミュージックシーンを見ていきたいと思う。

最初に、彼らのいる香港のミュージックシーンってどんなものかをざっくり聞いてみた。tfvsjsはギタリストのAdonがインタビューに答えてくれた。

アジアン・インディー・ミュージックシーン 〜vol.1「香港」with tfvsjs and GDJYB〜 Adon

Adon(Gt) from tfvsjs

香港のミュージックシーンはかなり限られていて、同じ規模の人口がいる他の大都市と比べると多様性が少ないかもしれない。これは音楽以外のことにも言えることで、香港はホモジーニアス(一様な、均一的な)な都市なんだよ。

GDJYBもこう話す。「香港のインディーミュージックシーンは狭い世界で、ライブでのオーディエンスはよく知った顔ばかりになってるわ。

香港という都市には、札幌市と同じ広さの面積に700万人が住む。それ故必然的に、シーンの規模感が日本とは比べものにならないのは理解できる。自分自身もこれまでいくつかの日本のバンドと香港へライブをしに何度か行っていた際に、関係者のみならずお客さんの中にも、毎度会うような人たちが少なくない。ただ、シーンが狭いからこそ、そのコミュニティの雰囲気は親密で、ロイヤリティが高く、フレンドリーな印象を受けた。

また、その人口密度みっちみちの香港で生きていく上で最も大きな問題と言っていいのが、不動産、家賃問題だ。

tfvsjs「地価、不動産がアホみたいに高いからライブハウスも少ない。香港ではライブをやる機会が少ないから、アジアの他の国でもライブをやるようにしてるね。あとは何度も何度もリハーサル・スタジオを転々としていて、2013年の秋なんかは、tfvsjsのドラマー2人がやってたドラムショップ兼リハスタを、1ヶ月後に撤去しろ、と突然通知が来てマジで絶望した。

GDJYB「香港のアーティストは音楽だけでは生計を立てられない。フルタイムの仕事を別で持つか、フリーランスとしていくつも仕事をこなしながら、アホみたいに高いスタジオの賃貸料を払いながら、やってるの。

そんな環境でグッド・ミュージックを鳴らし続けるこの2バンドは、どうやって活動を続けているのかを聞いてみた。

tfvsjs「リハスタを転々として終いには撤去させられてしまうような経験から、レコーディングや練習もできるスタジオも持つ、レストランを作ることにしたんだ。経済的にもサステイナブルだしね。それが今やっている「談風:vs:再說(tfvsjs.syut)」というレストランで、tfvsjsが生まれた場所でもある”Ngau Tau Kok”という工業地帯の、Dai Yip Streetにあるんだ。ここは、家賃も比較的安くて、たくさんのミュージシャンや、アーティスト、デザイナーや職人が集まっているよ。同じ理由で今最もアクティブなライブハウス「Hidden Agenda」もここにある。

アジアン・インディー・ミュージックシーン 〜vol.1「香港」with tfvsjs and GDJYB〜 tfvsjs-syut

談風:vs:再說(tfvsjs.syut)

アジアン・インディー・ミュージックシーン 〜vol.1「香港」with tfvsjs and GDJYB〜 Portobello-mushroom

先月の限定メニュー「ポルトベロマッシュルーム」

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吉本 翔(Sho Yoshimoto)

吉本 翔(Sho Yoshimoto)

コラムニスト

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