from
Maika Loubté
12月の真っ暗な夕方、大掃除をしていました。ガレージの奥の、しょぼい物置と格闘。どんどん捨てよう。べこべこに凹んだゴムボール。錆びついた園芸用道具。撮影で使った小道具、ほか。ほか。どうでもいいものをつぎつぎゴミ袋へ。そのとき、ビートルズの首振り人形4体セットが出現。埃だらけ。これは。たしか2004年頃、当時ビートルズにのめりこんでいた中2の私に小学生の弟がプレゼントしてくれたものでした。すっかり忘れてた。ジョン、ポール、リンゴ、ジョージ。陶器でできた4人のレジェンドが久々に発掘され、にぶい笑顔で首をふっている。これは。思い入れはあるけど、前の大掃除のときも自室に飾るにはちょっとあれだと思って魔窟に突っこんでおいたものでした。どうしようか。今もこれを飾るのは、なんだか恥ずかしい。あんなに純粋に大好きだったのに。これはビートルズを愛するおじさんなどがミュージックバーを経営し、そのバーカウンターかなんかに飾ってあるようなイメージのやつだ。でもビートルズは大好き。とりあえず全員の顔を雑巾で拭いて、元いた場所に戻しました。
数日後、某サブスクリプションにて今年世界で初公開されたビートルズのドキュメンタリー作品を発見。それは1969年から何十年ものあいだ、秘められて、隠されていた解散直前の長編記録映像でした。満を辞しての公開。ビデオがあまりに鮮明なので、まるで現存のバンドのよう。レコーディング、揉め事、やりとり、光景。私は感銘を受けました。画面の中で、ビートルズは人間くさい人間でした。初心に帰って、最近アルバムをまた繰り返し聴いています。