初めまして! カナダ・トロントで生活をしている星原喜一郎と申します。2017年春に5年半勤めたライブハウス新宿MARZ(以下、MARZ)を退職後、同年6月よりワーキングホリデー制度(以下、ワーホリ)を利用し、トロントにやってきました。
日本ではライブハウス業務の傍、DJとしても活動していた僕ですが、そもそもなぜワーホリをしているのか。なぜトロントに来たのか。そして実際に暮らし、働き、遊び、経験したこと感じたことを通し、ワーホリの良さやトロントについて紹介をしていきたいと思います。
職を捨てよ、海へ出よう
まず結論から言います。30歳以下の方、今すぐワーホリビザの申請をして荷物まとめて国外へ出ましょう!!!
ワーホリビザ……海外旅行とは違い長期滞在の許されるビザ。18〜30歳の日本国民なら日本とワーキングホリデー協定を結んだ外国に1~2年の滞在許可が下り、その間の就学、旅行、就労と生活することが許されている貴重な制度。
そもそもワーホリって皆さんご存知でしたか? かく言う僕も、ワーホリしようと決めるまでは、名前こそ聞いたことはあるものの、自分と縁のないものだと興味を持ったことがありませんでした。
ではなぜ僕がワーホリをしようと思い立ったのか。退職を意識し始めた頃、過去の仕事を振り返ると、悔しかった思い出がいくつか蘇りました。そのうちの1つが、海外アーティストを招致した際に言葉の壁を感じたこと。当時、MARZによく出演してもらっていたSTOKHOLMというバンドを介して、個人的にファンだったオーストラリアのLast Dinosaursというバンドと仲良くなる機会があり、職場である東京・新宿MARZをはじめ全4都市を巡るツアーを組み、同行しました。最初のメールのやり取りから現場でのやり取りまで、Google翻訳を頼りに全て自力で行ったのですが、それが非常に大変で……。幸いメンバーの4人中3人がハーフなのもあり、彼らのカタコトの日本語と僕の拙すぎる英語を交えて、何とかコミュニーケーションを取っていました。
過去にも海外のアーティストに出演してもらったことはありましたが、どれもイベンターやレーベル経由でのお話だったので、英語のやり取りをする機会はなく。この件で初めて自分の英語のできなさを痛感することに。ただこの経験のおかげで、「もっと気軽に海外アーティストを誘えるようになりたい! ビジネス英語とまではいかないけど、気軽にやり取りと会話ができるようになりたい!」という思いが芽生え、その矢先にインスタグラムでワーホリ中の友達の投稿を見つけて、「ん? 何? ワーホリ? 30歳まで? ギリいけるじゃん!」……ということでノリと勢いで決めてしまいました。ワーホリ。ちなみに、ギリギリの年齢でワーホリすることをギリホリと言うらしい。(豆知識)
さて、決めたのはいいものの、どこの国にしよう。海外は、仕事で中国と台湾、旅行でニューヨークしか行ったことない……そういえばニューヨーク旅行は最高だったなあ。トロントってニューヨークからすげー近いじゃん。ここにしよう! という具合でトロント行きを適当に決めてしまいました。
井の中の蛙、大海を渡る
さて約15時間のフライトを経てやってきました。日本との時差は14時間(サマータイム時は13時間)。世界の面積ランキング第2位、カナダ最大の都市・トロント。写真で見る限り高層ビルが立ち並ぶ近未来的都市! 期待が高まります。
実際に住んでみた
最初の期待とは裏腹に、トロントは東京に比べると小さな街でした。規模感的には福岡や名古屋と近いように感じます。栄えているエリアも限られていて、自転車さえあれば端から端までだいたいカバーできます。僕は東京での生活に慣れていたせいか、正直物足りず刺激ないなというのが第一印象でした。
ですが、面白い部分もあります。僕が感じた一番の魅力は、個性豊かなネイバーフッド(=地域ごとのコミュニティ)。この小さなトロントに多種多様な文化が点在しています。チャイナタウン・コリアタウン・リトルイタリー・グリークタウンなど各国からの移民街があり、立ち並ぶ飲食店の看板や、地域住人同士の飛び交う会話は、英語ではなく母国の言葉。一足踏み入れるだけで、食文化をはじめ様々な文化に出会えるのはトロント特有の魅力だと感じました。