“彼女”のことを知っている人は多いかもしれない。国内外のアーティストのブッキングエージェントとして、時に、モデルとして、そして、二人の子どもを持つ母親として。想像を絶するほど多忙を極めるであろう日々の中で、彼女は“大変だと考える暇もなかった”と語る。そんな彼女に突如訪れた時間の“空白”は皮肉にも新型コロナウイルスがもたらしたパンデミックによるものだった。一変した世界は、エンターテイメントも私たちの環境も、そして、人間関係さえも変えてしまうほどの威力だった。

少しずつ収束に向かっているとはいえ、未来に約束されたものはまだ何もない。何かできることはないだろうか? と模索する日々の中で話を聞きたいと思った人物がいた。ベルリンを拠点に国内外の一流アーティストたちのブッキングを長年に渡り手掛けてきた佐藤モコだ。パーティーの表舞台の主役といえば、出演アーティストである。しかし、スポットの当たらない場所で、誰よりも努力と気遣いをしているのが裏舞台の主役であるブッカーやエージェントなのだ。そんな彼らにとって、2020年のコロナパンデミックは最も大きな打撃と衝撃を与えたことだろう。

エンターテイメントに未来は残されているのか?

そう考えない日はない。しかし、コロナパンデミックで世界が揺れ動く中でも、彼女は凛とした姿勢で、すでに違う未来を描き、動き始めている。そんな今回は、佐藤モコさんをゲストに迎え、見慣れたベルリンの街を歩きながら、これまでの活動、今の心境、そして、未来について語ってもらった。

ベルリンで生きる女性たち – Moko Sato

Videography:Ari Matsuoka

ブッキングエージェントとしての課題と心構え

インタビュアー宮沢香奈(以下、Kana) 実は、以前からモコさんの仕事にとても興味があったんです。仲の良いアーティストや音楽関係者などから名前を聞くことも多かったし、共通の知り合いが多いというのもありますが、具体的にどんな仕事をしているのか知りたかったんですよね。

佐藤モコ(以下、Moko) これまでこういった形で自分の仕事について話すことはなかったかもしれません。見つめなおしたり振り返ったり先を見る良いきっかけになりました。こんな機会をどうもありがとう!

Kana こちらこそ感謝です! 私は以前から、どんな業界においても裏方で腕を振るう人たちに興味がありました。そういう人たちにこそスポットが当たるべきだとも思っていました。なので、今日はいろいろとお話聞かせてもらいたいと思っています!

まず、結婚と妊娠をきっかけにベルリンに移住し、そこから長年に渡り、ブッキングエージェントとして活動されてきたと思いますが、子育てと仕事の両立についてはあとで聞かせてもらうとして、まずは、モコさんの主な仕事内容を教えてもらえますか?

Moko 私の主な仕事は、担当しているアーティストのギグを取る確約する、アーティストがどんなことをしているのかプロモータに伝える出演料の交渉ツアーを組み立てることです。ブッキングエージェントがいることによって、アーティストがプロモーターと直接スケジュールや金銭面をやり取りしなくてよくなるし、間に入ることで、より良い条件で出演できるように交渉することができます。良い条件が取れたら、しかるべき条件に契約書を書き換えたりして、プロモーターの意思が変わらないうちに契約書を締結させることも大事なタスクの一つです。

Kana ベルリンだけに限らず、いろんな国のアーティストを担当されてますよね?

Moko 今現在担当しているアーティストは、海外だと、Ishome aka Shadowax, Keta Cavier,Lag などを主に担当していますが、他にも、DJ Hell, Aril Brikha, Beroshima aka Frank Muller, Dj Le Roi, Eric Volta, Stee Downes, Nikita Zabelin, Sofia Rodina、日本のデュオUsaginingenなど多くのアーティストに関わらせてもらってきました。国内アーティストだと現在は、Akiko KiyamaDJ sodeyamaTaeji SawaiTomoki Tamuraですが、近日中に追加されるアーティストもいますのでお楽しみに!

Kana すごい数ですね。アーティストそれぞれ国も性格も違うし、ジャンルも出演するパーティーやフェスのカラーや条件も違ってきますよね? 当然ながら、交渉相手であるプロモーターも日本人でないことがほとんどかと思いますが、想像を絶する精神力が必要ではないでしょうか?

Moko そうですね、やっぱりヨーロッパでのブッキングが多くなりますが、結果としてオファーにこぎつけるためには、それぞれのアーティストの個性や特性を掴んだプレゼンテーションをすることが重要になってくるので、常に念頭に入れています。いかに短くインパクトのある説明をするかも考えますね。もし、簡潔に説明できない場合は1:1で時間を取ってもらうように丁寧に立ち回ります。

ヨーロッパの場合は、オープンに話せることが多いので、お互い違う意見を持っていたとしても、それを容認しながら進められるケースが多いです。物事をはっきり言う分、波風は立ちやすいですが、それがあるからこそ出てくる道筋もありますし、波風が立つ中で、自分が投げたアンカーはどこなのかそこに辿り着くまでにはどういう交渉をしていくのか、ブッキングを行う上でずっと課題になっていることですね。

『ベルリンで生きる女性たち』ブッキングエージェント篇|佐藤モコ column210824_kana-miyazawa-06
Photography : Ari Matsuoka

Kana 確かに、欧米人とのやり取りは白黒ハッキリしていて曖昧さがないことが多いですよね。私個人としてはその方が仕事しやすいですが。他に、仕事をする際に気を付けていることや気を配っていることはありますか?

Moko 複雑で常にアップデートが必要だと感じるのは、関わる土地で何が支持されているか、どんなことが起きているか、宗教歴史の背景地理(全ての交通網を駆使してツアーを時間内に完成させるため)、経済貨幣の状況です。目まぐるしく変わるのでその都度リサーチしたり同業者と情報をシェアをするようにしています。

あとは、アーティストの希望に沿えるよう、動く要点は何かを考えて動いています。自分がその国の背景の知識をより持っていたら、現地のプロモーターやアーティストともっとコミュニケーションを深められ、良いものができると思っています。他にも、人種差別LGBTQ,フェミニズムも避けては通れない課題ですよね。

Kana 宗教に関してはとてもセンシティブな問題ですね。日本の教育では各国の宗教について学ぶ機会が少なく、詳しく知ることもなかった気がします。だからと言って、仕事をする上で“知らない”では済まされないし、ギャラの交渉より気を配らないといけないことのように思えます。

話は変わりますが、モコさん自身がアーティストのギグやツアーに同行することもあるんですよね? 現場での大変なことや特に印象に残っているギグはありますか?

Moko 全てではないですが、ツアーに同行することもあります。Akiko Kiyamaが出演したモントリオール、NYのツアー時に、機材の入ったスーツケースだけロスバゲしてしまって届かないというトラブルが起きた時はひやりとしましたね。

Kana うわ! でもそういった話はアーティストからもよく聞きますが、どうやって対処したんですか??

Moko 現地で全部揃えました。現地の知り合いのプロモーターや他のエージェント仲間に端から聞いて助けてもらうことができたんですが、何より、そういったトラブルに見舞われて自分の機材でライブが出来ないのに、ギグをこなすAkikoちゃんには敬服しました。

彼女の作る音は、透明空間の中にコワコワもふもふと生えてくる苔のような音だと思っていて、電子音楽のアーティストでも唯一無二のスタイルを持っているアーティストだと思っています。話をしていて、自分の考えや視点をインスパイアさせてくれる貴重な存在でもあり、心の鍵を渡した大事な友人でもあります。

『ベルリンで生きる女性たち』ブッキングエージェント篇|佐藤モコ column210824_kana-miyazawa-03
Akiko Kiyama(左)

成功も失敗も挑戦も一緒

Kana 現地にいるからこそですが、そういったケアも臨機応変に対応しないといけないんですね。現場で集めた、言ってしまえばあり合わせの機材でパーフェクトなパフォーマンスができるKiyamaさんもすごいですが、モコさんの現場での活躍っぷりもすごくないですか?

Moko ははは、そう言ってくれてありがとう。どうなんだろう、そのシチュエーションになったらもうやるしかないですよね。解決できたのも好意を持って付き合ってくださっている同業者のみんなのおかげです。こういうトラブルに臍を曲げる人もいますが、一緒になんとか越えられる“ソリ”があうアーティストや同業者が多いのかもしれないです。

それと、トラブルシューティングに関しては割と得意なんだと思います。トラブルの臭いがすると俄然腕をまくるというか(笑)。機材トラブルの話ではないですが、どうやったらこのトラブルを回避できるのか? を即座に考えるくせがついているんです。育児が役に立ったのでしょうか? 若い頃よりもドスン! と強く気持ちを持てることはありますね。

他にも、手強そうなプロモーター相手の時とか、例えば、Robert Johnsonのように世界有数の唯一無二のクラブにアーティストをどうしても出演させたい時とか俄然燃えますね(笑)。“あ、このドア開きそう!”って感じた瞬間にアドレナリンがブワーっと溢れ出てくるんです。

Kana 違う職種ですが、アドレナリンが出た時のたまらない感触はとてもよく分かります(笑)。Robert Johnson(以下、RJ)の話が出ましたが、DJ Sodeyamaさんがプレイされてますよね?

Moko 2017年のヨーロッパツアーの時ですね。それも思い出深いギグの一つですね。RJって確か朝までの営業のはずなんですが、DJ Sodeyamaの時は11時ぐらいまでやってました。フロアーは移動が出来ないぐらいパンパンで、Sodeyamaくんも躍り疲れないゾンビのような大量のオーディエンスを相手にあの手この手でクモの巣を紡ぐようにつないでいました。

Sodeyamaくんは、DJキャリアも長くて、パーティの特性を知っているのでオールラウンドでどの役割もフルにこなせるとても貴重で器用なアーティストです。他のアーティストやプロモータからもものすごく良いフィードバックをもらっています。また、一緒にツアーに行きたいですね。

Kana RJの朝の盛り上がりは本当に素晴らしくて美しいし、良いパーティーは11時までやりますよね。今一番もう一度行きたいクラブがRJです。モコさんにとって、ブッキングエージェントの仕事はもう天職だと思いますが、どうですか?

Moko どうなんだろう? でも、気が付いたら長く続いていて本当に好きな仕事ですね。難しい案件の交渉を始める時に、“これは絶対突破出来る”って、少し前くらいから分かる瞬間があるんですよね、直感というか。

アーティストの作る音やセット内容に惚れ込んでいることと、ボランティアや趣味ではないからギグが取れる自信のあるアーティストと仕事をするという基本前提はありますが、結果やお金には代え難いやりがいのある仕事ですね。アーティストとは持ち場がそれぞれ違う一つのチームであり、ある意味流動的な運命共同体だと思っています。

Kana それはアーティストにとっても嬉しいことですよね。同じ視点で同じ目標を持って、同じ気持ちで挑んでくれる人がそばにいるって本当に心強いと思います。

Moko そういう存在でありたいですね。特に自分でセレクトしたアーティストには思い入れが強い分、プロモーターから条件が噛み合わないとブッキング が頓挫したり、小さいオファーになってしまったり、それらをアーティストに伝える時はいつも心苦しいです。申し訳ないですし。でも、折れないで一貫性を持ちながらあの手この手で打開策を見つけて伝えたい、と思っています。

アーティスト自身は音楽というツールで“これだけできる“アーティストです”と、表現しているとすれば、私は違うツールを使い、表現して伝える動きをしています。アーティストが魂削って活動している中で、制作や公演に集中できるような環境作りのサポートをするために私のような役割があるんだと思います。だから、アーティストがガス抜きが出来るように話をしたり、成功も失敗も挑戦も一緒だと思ってやっています。

Kana “成功も失敗も挑戦も一緒”って良いですね。私もそういう気持ちを持てる人と一緒に仕事がしたいと思います。
他にも日本人アーティストだと灰野敬二さんのロシアツアーにも同行されてますよね? それはどう言った経緯からだったんですか?

Moko 以前から関わりのあるモスクワのプロモーターから、灰野さんを招聘することになったからツアーのヘルプをしてもらえないかと打診をもらい、同時通訳・アシスタントとしてツアーに同行することになりました。

灰野さんがモスクワに到着する前に現地入りして、ホテルやリクエストされた要項の確認をしたり、空港にお迎えに行ってモスクワ市内を散策したり、食事をしたり、買い物をしたりと貴重な時間を過ごさせてもらいました。リハに行ったら、数週間前にサイズや高さの指示を出しておいたはずのライブ用の卓が用意されてなくて、会場にいたスタッフを数人捕まえて目の前でチェーンソーで切ってもらって組み立ててもらうというトラブルも発生しましたが(笑)。

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2019年 灰野敬二(右)ロシア・モスクワツアーにて

Kana やはりここでもトラブルシューターとしての腕を発揮してますね(笑)。単なるプライベート旅行であっても何かしら起こるのが海外だと思いますが、世界的アーティストを呼んでのギグであって、そこはプロとしてきちんとやって欲しいですよね。日本だったらあり得ない展開だと思います。

Moko そうですね。ロシアとはここ数年関わることが多くて、特殊でおもしろい国だと思っていますが、ものすごくインプロに長けているんですよね。ギグの直前までかなりのんびりしていたかと思えば、突然目が覚めたようにやり出すんです。そして、どうにか形にしてしまうんですよね。そういったスタンスにはとても驚きます。歴史的に経済クライシスなどがあり、いつ何があるかわからないという背景からか、瞬発力が高くて、破壊力がかなり大きいという印象を受けました。

それでも灰野さんの現場では、“夜までにやっておくよ”と言われてもいまいち信用が出来ないので、作業が終わるまで張り付いて見張ってました(笑)。そのまま数時間のリハに突入してしまい本番前の休憩が取れなくなってしまったんですが、リハの最中からすでにオーディエンスが集まり出していて、モスクワ外からも灰野さんを一目見るためにやってきた熱狂的なファンもいて、会場はパンパンの大盛況なギグになりましたね。

Kana 苦労の甲斐あってのパンパンの会場は感極まりますよね。灰野さんは誰もが知っている世界的アーティストですが、とてもミステリアスな雰囲気もお持ちだなと思います。実際に一緒に過ごされてどうでしたか?

Moko 灰野さんとは、モスクワについて初めてお会いしたのですが、するりと会話が溶けて、楽しかったというと簡素すぎる表現ですが、自然に打ち解けられるチャンネルがどこかにあったと感じています。ギグの翌日には、灰野さんのドキュメンタリー撮影があったんですが、朝から晩まで張り付いて、ヨーロッパで最大と言われるレコードショップに行って音源を探したり、現場で学ぶこともたくさんありました。

同ツアーでは、不都合が次々と起こる中で打開策を見つけていくことができた気がします。実は、2020年にもモスクワとサンクトペテルブルクのツアーが決まっていて、ビザやフライトの準備も出来ていたのですが、残念ながらコロナで頓挫してしまいました。でも、コロナが収束して、然るべき時が来たらまたできると思っているので、今から楽しみにしています。

Kana とても貴重な体験をされてますね。良い余韻があるからこそ2020年のキャンセルは余計に残念で悔しいと思ってしまいますよね。もう音楽業界コロナパンデミックは切っても切り離せないし、多くの人にとってこれまでの人生が引っくり返るほどの衝撃の年になったと思いますが、モコさんにとってはどうですか? 仕事も大打撃ですよね?

Moko そうですね。こんな世界や、こんな時間の流れが存在することを実感しました。パンデミックは、子供たちの学校さえ閉鎖し、多くの規制がかかりましたしね。毎朝6時に子供たちを起こす生活から、眠れないで6時まで起きてるような日も多くなりました(笑)。仕事では、Ibizaの公演、Boiler Roomの公演、など多くの公演が保留になり、いまだにそのままです。去年の東京オリンピック開催に向けて動いていたバンドの初来日も飛びました。

ただ、パンデミック前の忙しかった日々の中で疑問に感じていたことも多くあったので、それと向き合える最大のチャンスだったとも思います。好きなことができていることは間違いなく充実の一つではありますが、“忙しさ”のみに忙殺され続けることには疑問を持ってしまいますね。時間ができたおかげで新しい音楽をたくさん聴いたり、じっくり聴き込んだり、新しいアートデザインの理解を掘り下げることができています。

子育て、モデル業……
ベルリンで、様々なチャレンジを続ける背景

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ジュエリーブランド“Naoko Ogawa”のモデルとして
Photography:Sylvia Steinhäuser

Kana やはり大打撃を受けていますよね。忙殺されていた日々に疑問を持つ気持ちも分かります。これまでジェットセッターだったアーティストからも良く話を聞きますが、誰もが自分のこれまでの人生と向き合うタイミングだったように思えます。モコさんは、ブッキングエージェントの真逆とも言えるモデル業もやられてますよね? ここまで両極端にある仕事をしている人はなかなかいないと思いますが、その辺はどうですか?

Moko 以前からやる機会があったというのもありますが、ベルリンに来てから、それで成したい! という大志があったわけではないです。でも、自分が必要とされていて、できることならゼロからでやってみようという気持ちで取り組んできました。ベルリンでは、ユニークなニーズがあるんですよね。私のような小さいアジア人でもファッション、化粧品やジュエリー、ビデオクリップ、車の広告、また国を代表するチョコレートのCM等に関わることがありました。気がついたらベルリンのエージェンシーに所属して20年が経っています。

今はJanina Zaisというユニークなヘアメイクのアーティストのエキシビジョンや彼女の製作中の作品集に関わったりしています。私にとってメインはエージェント業子育てですが、デザインの持つ力や知識を深めることにはものすごく興味があるし、広告プロジェクトなど製作するのも好きなので、Janinaのように誰かが声をかけてくれて、おもしろいと思ったら引き受けるようにしています。

Kana そのチャレンジ精神がすごいと思います。でもそこに、子育ても入ってくるわけですよね? 私個人としては、一番すごいと感心したことですが、子育てと仕事の両立はどうやってこなしてきたんですか?

Moko 両立というと聞こえはいいですが、ベルリンでの子育ては日本と比べたら少しのんびりで自由だと思います。お風呂に毎日入れる必要もなければ、サマータイムは夜9時過ぎまで明るいので公園にお弁当を持っていって、クタクタになるまで遊んで、そのまま一緒に寝るのもしょっちゅうでした。楽しかったですね。今振り返ると本当に愛しい時間でした。2人を迎えに行く時に自分に課していた一つの約束があるんですが、それは、その日どんなストレスフルな仕事だったとしても、できるだけ気持ちを切り替えて機嫌良くお迎えに行く、ということです。100%できていたかどうかは分かりませんが……。

Kana それはとても見習いたい点です!!(笑) とても大事なことですよね。

Moko 基本的には、2人が幼稚園や学校にいる間に仕事をしていました。料理と洗濯と子供たちと遊ぶのは好きですが、あまり片付けが得意ではないんですよ、実は。家事を完璧にこなしたり、キャラ弁を作ったりもできません。なので、できるだけ得意なことをより上手にやろう時間を楽しく過ごそう得意ではないことはそれなりにやればいい、そういった考えでやってきたと思います。

ベルリンでは送り迎えをするのが決まりなので、朝8時に家を出て子供たちを学校に送り、そこから17時頃まで仕事して、一緒に家に帰るような生活をずっとしていました。父親が自宅で仕事をしていることもあり、協力の手を差し伸べてくれました。でも、やっぱり、日本にいる家族、友人、ベルリンの友人たちのサポートがあったからこそ出来たことは紛れも無い事実ですし、この場を借りてみんなにありがとうを伝えたいです。そして、私の状況をとてもよく理解してくれている仕事の関係者の皆さんにもありがとうと伝えたいです。

Kana のんびりな子育てというのは海外ならではかもしれませんが、それでもやはり1人では不可能ですよね。私には到底できそうにありません(笑)。モコさんは学生時代に培った語学のスキルがあったり、いろんなコネクションを持っていたり、普通の人とはスタート地点から違うからこそできたこともあるかもしれませんが、今回お話を聞かせてもらって、苦労や大変さを感情として表に出さない真の努力家なんだと思いました。あとは、そのチャレンジ精神にも感服ですね。今後の活躍にも期待していますし、エンタメを救うために一緒に動いていきましょう! 本日は、ありがとうございました!!

『ベルリンで生きる女性たち』ブッキングエージェント篇|佐藤モコ column210824_kana-miyazawa-01

Text:宮沢香奈
Photography&Videography:Ari Matsuoka