前回(【老舗クラブ「PACHA」の50周年アニバーサリーに潜入】)のPACHA50周年のレポートでは、世界屈指のパーティースポットとしてイビサタウンを紹介したが、当レポートでは、同じイビサ島の中でも全く別の顔を持ち、変貌を遂げている知られざるサン・アントニ・デ・ポルトマニの今とここでしか体験できないおすすめのアクティビティを紹介したい。

イビサ島サン・アントニで体験する非日常的な楽園ライフ

サン・アントニ・デ・ポルトマニ(以下、サン・アントニ)とは、イビサ島の西海岸と北西海岸にまたがり、島の他の4つの自治体すべてに接している。面積は126.80km2で、人口約26,000人と2番目に大きな町だ。そして、イビサタウン同様にナイトライフが盛んな町として絶大な人気を誇る。しかし、近年、地元の自治体を中心とした大規模な再生計画が実施されており、町の雰囲気は一変した。

増え続けるツーリストによる過剰なナイトライフは、アルコールやドラッグ、騒音やゴミなどの様々な問題が勃発し、長年に渡り、美しい景観や自然を破壊し続けてきた。そこで、長年に渡るパーティー中心の評判から脱却することを目的としたサステナビリティも踏まえた再生計画に乗り出した。欧州復興基金から予算を得て実際に動き出したのは2022年からだが、コロナ禍によって以前から懸念されていた問題の改善に乗り出したという。

現在は、ナイトライフ目当ての若年層ではなく、高年層や家族連れなど、昼間のアクティビティや自然を求めるツーリストの増加に尽力しているとのこと。事前に聞いていたとはいえ、サン・アントニは、どこを切り取っても絵になるフォトジェニックな景色と驚異的な美しさを誇る自然に溢れており、パーティーアイランドの印象は驚くほどない。

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広大な自然を眺めながら日頃のストレスから解放され、絶景とともにボートクルーズやスキューバーダイビング、ハイキング、サイクリング、ヨガといったアクティビティを楽しんだり、通常の旅行よりワンランク上の満足感を得ることができることを何よりも伝えたい。

以下は、滞在中に実際に体験し、特におすすめしたいボートクルーズとサンセットをメインに、一押しのレストラン、ワイナリーも紹介したい。

目に焼き付いて忘れられない。楽園に浮かぶ奇跡のサンセット

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サン・アントニ港には多数のボートが停泊しており、いつでもボートクルーズを楽しむことができる。私たちがお世話になったのは、“Eclipse Eivissa”という個人で運営を行なっているクルーズサービスだ。ウッドと白を基調としたシックなデザインのボートが高級感漂い、乗船しているだけでも気分が高まる。クルーズだけでも非日常的で贅沢な体験だが、息を呑む絶景を眺めながらの海の上で嗜むワインやシャンパン、タパスはどんな高級店にも勝る贅沢な瞬間を提供してくれる。

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サン・アントニの海の水はどこまでも透明度が高く、太陽の光が当たってキラキラと美しいのが特徴的。

ボートクルーズは午後に港を出航し、見事な岩礁の間を通ったり、海岸沿いに点在する小さなビーチや釣りスポット、自然水族館などに立ち寄ることも可能。サンセットが一番美しく見えるベストスポットでボートを停めて、ただただ、ゆっくり静かに太陽が沈んでいく様を眺める。この瞬間は時が止まり、楽園から天国へきたのか、それとも夢かと思うほど現実離れした絶景を拝むことができた。個人的には、太陽が沈んだあとの驚異的な美しさに呑み込まれそうになった。こんな経験は人生で一度しかないかもしれない。

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肉、魚、野菜、サングリア、ワイン、何を食べても飲んでも絶品!!

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Es Ventall

スペインといえば、美食の国としても知られているが、本当にどこで何を食べても飲んでもおいしいと言っても過言ではないほど。サン・アントニでは、トラディショナルなイビサ料理を楽しめるレストランが多数点在しているが、特におすすめなのが、ディナーで訪れた「Es Ventall」だ。歴代に渡り、家族だけで経営してきた老舗レストランとして高い信用と人気を誇る。

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Es Ventall
https://www.instagram.com/es_ventall/
 
町の中心地にありながら、緑に囲まれており、マイナスイオンを感じることができる。また、高級レストランでありながら、敷居の高さを感じさせず、フレンドリーな接客と温かい雰囲気がとても居心地が良い。
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Es Nàutic
https://www.instagram.com/esnautic_/
 
絶品のパエリアが食べたくなったら「Es Nàutic」へ。ランチに訪れたがかなりのボリュームがあるため、グループで行くことをおすすめする。サン・アントニ港に面しており、広大な敷地とオーシャンビューが美しい最高のロケーションで、トラディショナルなイビサ料理を堪能できる。
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ホテルに併設されているレストランバー。南国の気候にあうフレッシュでフルーティーなサングリアはついつい飲み過ぎてしまう美味しさ。オリジナルのサングリアと美しいサンセットが見える絶景ポイントとして有名で、オープンテラス式の店内からはもちろん、あえて、席は取らずにすぐ目の前の海岸沿いを歩きながらサンセット見にくる人も多数いるほど。

アクティビティの中でも楽しみにしていたワイナリー見学は、町の中心地から車ですぐのところにあるオーガニックワイナリー「Can Rich」へ。温暖な気候と土壌を活かした伝統的な製造法を用いており、その年に採れたぶどうの状態を見ながら、数種類をバランスよくミックスして発酵させるのが特徴。白、赤、ロゼ、スパークリングを醸造しており、工場見学から試飲、購入することも可能。ドイツでも数え切れないほど多くの種類のスペインワインが扱われているが、イビサ産のワインはおそらくこれが初めて。

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ワインのテイスティング時に提供されたタパス。食事の際には必ずと言っていいほど、サラミ、チーズ、オリーブ、パン、そして、アリオリが提供され、それだけでもお腹がいっぱいになってしまうことも。

滞在中に最も文化の違いを感じたのが食事の時間とその贅沢さ。日本はおもてなしの国として知られているが、日本人のせっかちな国民性もあり、一回の食事に何時間もかける人は少ない気がする。イビサに限らず、スペインでは、長時間の昼休憩を意味する“シエスタ”があるため、ほとんどの飲食店はランチ営業が終わったら一旦閉店し、18時以降でないと営業が再開されない。

19時オープンのところも多く、一人で行動している時にうっかりシエスタを忘れていて、遅い時間にランチが取れなかったことがある。プレストリップ中もほぼ毎日ディナー時間は22時と遅く、それまでゆっくりと買い物したり、バーで軽く飲むなどして、通常とは違う時間の使い方を覚えた。これがベルリンだったらラストオーダーの時間に近く、予約なしで入れるレストランも少ないことだろう。

わずか1週間ほどの滞在だったが、もっと早くに訪れるべき場所だったと非常に悔やまれた。誰もがイメージする“パーティーアイランド”のイビサはもはやサン・アントニには存在しない。奇跡のサンセットに出会える楽園で、美しい自然と絶品のソウルフードがあればそれ以外何もいらないことを心底実感した。また来年も夢の島に是非とも訪れたい。

Text:宮沢香奈

協力:Visit Sant Antoni

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