第162回 ニューヨーク青春白書

僕は小さい頃にビバリーヒルズ高校白書という恋愛テレビドラマを夢中で観ていた。高校生になったら絶対に男女のグループを作ってドラマチックな生活を楽しみたいって思ってた。実際には高校で実現出来ず大学3年の頃にようやく結成。男4人女3人。その中に双子が1組。選びに選んだ理想的なメンバー達だ。

誰もが自分を主人公にしたい。もちろん僕もそうだった。でも簡単に主人公になるのはつまらない。ドラマチックじゃなきゃ意味が無い。だからまず口数の少ないイケメンをメンバーにした。次に愛嬌のある双子。実は入れ替わっていた双子と気づかずにセックスしたりするなんてかなりドラマチックだ。青春を謳歌する計画はこれで完璧。のはずだった。

結成から4ヶ月。イケメンは2人の女の子を同時に口説き落とした。3人で交代しながら付き合うことになったらしい。残りの1人の女の子は最初に双子の弟を好きになり、次に兄を好きになった。「でも今はどちらか選べない」と言い出した彼女は、3人で平等に付き合うことになった。嘘だろ。そんなまさか。気づけば僕は2組に挟まれてひとりぼっちになっていた。随分とドラマチックな展開に僕は何も言葉が出てこない。