映画ファン必見のビッグ・イベント、<第86回アカデミー賞>まで2週間あまり。Qeticでは先日「作品賞」のゆくえを予想したばかりだが、どの部門も大混戦&充実のノミネーションであるため、「今年は満場一致でコレ!」と言った本命馬が見当たらないのも事実。裏を返せば、どれ(誰)が受賞してもまったくおかしくないノミネーションというワケで、これほどオスカー予想が面白い年も珍しい。
作品賞や主演男優・女優賞といった主要5部門にも注目ながら、今回Qeticでは「助演男優賞」にクローズアップ。昨年は『ジャンゴ 繋がれざる者』に出演したクリストフ・ヴァルツが、タランティーノ監督との2度目のタッグで再びオスカーを獲得したことも記憶に新しいが、その前年は『人生はビギナーズ』のクリストファー・プラマーが歴代最高齢(82歳!)で受賞に輝き、過去には『ダークナイト』のジョーカー役における怪演ぶりでヒース・レジャーが死後の受賞となった08年など、毎年話題には事欠かないこの部門。今月2日に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマンが、同部門ノミネートの常連だったことはファンならずともご存知だろう。
主人公の魅力をあぶり出し、時には主人公よりもスクリーンを支配してしまう憎めない存在=助演男優。今年も5組の名優・怪優・新星が入り乱れたノミネーションだが、この中から一番キャラ立ちしている俳優こそが<第86回アカデミー賞>のオスカーを獲得するのではないか? という無茶苦茶な基準で、彼らの“キャラ立ち度”をご紹介!
【キャラ立ち度】海賊からFBIに女装のHIV患者まで!? 超キョーレツなキャラクター達
バーカッド・アブディ『キャプテン・フィリップス』
キャラ立ち度 ★★★
ソマリア出身の28歳。貨物船をハイジャックする海賊のリーダー役に抜擢され、名優トム・ハンクスを前に一歩も譲らない鬼気迫る演技を披露、銀幕デビューにして初ノミネートとなった。映画業界に進む前はミネソタでリムジン運転手やディスクジョッキーとして働いていた叩き上げで、その人脈を活かして(?)映画やミュージック・ビデオの監督を務めるなど、多方面で才能を開花。観客自身も人質になったかのようなスリリングな映像体験は間違いなく彼の功績だが、いかんせん知名度が低い。ビギナーズ・ラックじゃないことを証明して、故郷に錦を飾れるか!?
ブラッドリー・クーパー『アメリカン・ハッスル』
キャラ立ち度 ★★★★★
前年度の主演男優賞に続き、再びデヴィッド・O・ラッセル作品でノミネートとなったアメリカ出身の39歳。お馴染み『ハングオーバー!』シリーズに比べれば、すっかり「悩める色男」っぷりがサマになってきたが、今作では詐欺師コンビに翻弄されるFBI捜査官リッチーを好演。パンチパーマ&ブチ切れキャラは横山のやっさんを彷彿とさせる新境地で、まるで感情移入できない自己チューっぷりには思わず「ざまあw」と言ってやりたくなるほどキャラ立ちしていたと言えるでしょう。
マイケル・ファスベンダー『それでも夜は明ける』
キャラ立ち度 ★★★★
「世界で最もハンサムな顔100人」でも堂々1位に選ばれた、ドイツ生まれの36歳。セックス依存症の男性を演じた『SHAME -シェイム-』では惜しくも選考外となり涙を呑んだが、同じくスティーヴ・マックイーンが監督した今作で待望のアカデミー賞初ノミネート。恍惚の表情で奴隷を虐待する農園支配人=エドウィンを怪演している。極悪非道の農場主…といえば昨年『ジャンゴ 繋がれざる者』に出演したレオ様だけど、ファス様はマジでドSっぽい気もするので、オスカーくれないとお仕置きダゾ!
ジョナ・ヒル『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
キャラ立ち度 ★★★★★★★
米カリフォルニア出身の30歳。ぽっちゃりキャラでコメディ映画には欠かせない人物だが、出世作『マネーボール』以来2度目の助演男優賞ノミネートであり、その演技力は各方面で評価されている。スコセッシ監督の最高傑作との呼び声高い今作では、レオ様演じる主人公と共に成り上がっていく副社長ドニー役を獲得。人懐っこさと狂気をはらんだ演技は『グッドフェローズ』におけるジョー・ペシを思わせるほど凄まじく、そのペシと同じようにオスカーを手中に収めるのではないかと予想される。
ジャレッド・レト『ダラス・バイヤーズクラブ』
キャラ立ち度 ★★★★★★★★★
米ルイジアナ州出身の42歳。近年は自身のバンド=サーティー・セカンズ・トゥー・マーズでの音楽活動に忙しかったが、09年の主演作『ミスター・ノーバディ』以来の本格的な映画復帰となる今作では女装(!)のエイズ患者レヨンを熱演。激痩せ/激太りを繰り返す過激な役作りで知られるが、今回はHIV患者を演じるために30ポンド(!!)もの減量を行ったというから恐れ入る。すでに<ゴールデン・グローブ賞>をはじめ前哨戦を総なめにしており、今回の大本命は間違いなく彼。ちなみに、授賞式後の4月にはバンドとして来日ツアーも控えています。
・・・
全5作品中3本が日本公開もスタートしているので、すでに彼らの素晴らしい演技に魅了されたという読者も多くいるだろう。下馬評では圧倒的にジャレッド・レトが優勢だが、セクシャル・マイノリティには保守的とされる<アカデミー賞>においてどう転ぶかはまだわからない。また、<アカデミー賞>は奴隷制度を描いた映画が冷遇されるというジンクスもあるので、奴隷を虐待する役でしかもイギリス人――という事実はファスベンダーにとって足枷となる可能性も大いにあり得る。クーパーやジョナ・ヒルにとっては悲願だし、アブディが受賞することになれば映画ファンの<アカデミー賞>を見る目も変わるはずだ。
誰が獲っても初受賞、彼らのキャリアにとっても大きなステップアップとなること間違いナシな今回の「助演男優賞」。あなたは誰に賭けますか?
(text by UK)
Program Information
生中継! 第86回アカデミー賞授賞式
2014.03.03(月)9:00[生][二][同時通訳]
2014.03.03(月)21: 00[リピート][字][5.1]
放送チャンネル:WOWOWプライム
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2014.03.09(日)15:00ほか
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2014.03.09(日)15:20
放送チャンネル:WOWOWプライム